#導入事例
ITサービス管理

株式会社キッツ様
株式会社キッツ様

グループ35社・社員約5300名のITSMをITILにより標準化
システム運用工数を70%から30%に削減して、IT活用の高質化につなげる

バルブを中心とする流体制御用機器の総合メーカーで創業70年を超える株式会社キッツ。2024年に向けた中期経営計画のひとつとして、IT部門の組織・技術・活動の強化を目指している。
一方、これまでのIT部門は新規開発30%・運用保守70%と守りのIT活用が中心となっていた。たとえば、ITサービスの各種申請方法がバラバラでユーザーからわかりにくい。アラートやリマインド機能が弱く、作業遅延になりやすい。構成管理情報やサービスカタログがExcelで管理されているといった多くの課題を抱えていたのだ。
こうした状況を改善するためグローバル標準のITILを適用しようと、ITサービス管理のプロセスや用語を見直すと共にITサービス管理ツールとしてクレオの提供する「SmartStageサービスデスク」を導入した。
ITサービス管理業務の見直しとITSMツールの導入に携わったメンバーの皆様に、導入の経緯とその効果について詳しく聞いた。

※ITIL(IT Infrastructure Library®)はAXELOS Limitedの登録商標です。

SmartStageは、私たちにとって必要十分な機能が揃っていて、自分たちの業務に合わせられる柔軟性も備わっていました。

株式会社キッツは、1951年に設立されたバルブを中心とする流体制御機器の総合メーカーである。創業70年を超えて、グループ会社34社を含め連結社員数約5300名でグローバルに事業を展開している。2022年2月には長期経営ビジョン「Beyond New Heights2030『流れを変える』 」を公表。現在は、第1期中期経営計画2024(2022〜2024年度)の実現に向けて活動している。

「IT統括センターでは、この中期経営計画に沿って"Kitz Digital 2025"というIT部門戦略を推進しています。ビジネスを支援するためにはインフラも整備しなきゃいけない。インフラを整備するためにはIT部門も強化しなければいけない、という具合です」
このように説明してくれたのは、IT統括センターでIT戦略企画部の部長を務める藤森正樹氏である。
「以前は、ITサービス管理の業務工数が約70%、新しいシステムなどの開発が約30%でした。今回これを逆転させて、システム運用30%・開発70%にするのが目標です。いま現在、今までの無駄な業務の廃止や自動化・効率化を進めて50対50位まで来ています」(藤森氏)

システム運用の非効率さが運用課題を改善する足かせに

IT統括センターの業務範囲は、ERPなどの基幹システムから、設計開発部門・生産品証部門・マーケティング販売部門・バックオフィスなどの業務システム、オフィスツールなどの運用保守と、社員IDなどの管理・PCやモニターなどのIT機器管理などと多岐に渡る。これらを対象に、ユーザーからの各種問い合わせや申請業務に対応している。
IT統括センターには約50名のメンバーがおり、サービスデスク3名が常駐している。ここに、月1400件もの問い合わせが寄せられるという。

以前は、各種申請の窓口ごとにワークフローツールがバラバラで、ユーザーから分かりにくくなっていた。また、アラートやリマインド機能が少なく遅延になりやすい、自動連携しておらずインシデントなどのアラートを様々な管理システムに再入力する必要がある、といった非効率な面があった。
こうした運用課題を解消すると共に運用工数の大幅削減を実現するため、システム運用のアウトソーシングを検討したが、社内の独自ルールや独自用語のままではアウトソ―ス先とのコミュニケーションがどうしても非効率になってしまう。そこで、ITILという「基準」を導入することにしたのだ。
「社内独自の業務プロセスや用語の利用になっており、1年くらい前まで正直ITILの用語はよく分かっていませんでした。しかし内部統制対応は必要ですので、プロセス管理などはできていました。ですので、プロセス自体をゼロから整備する必要はありませんでした」(藤森氏)
さらに、ITILの導入に合わせて、ITサービス管理ツールの統一を目指した。

IT統括センター IT戦略企画部
部長 藤森正樹 氏

コストパフォーマンスに優れて身の丈に合ったツールを選定

IT統括センターでは、2022年1月から上流提案(業務コンサル)も含めてツールの選定を開始した。一次選定で10社から3社に絞り、6ヵ月間のトライアルを経て最終的にSmartStageサービスデスクの導入を決定した。
「クレオのSmartStageを選定した一番の理由はコストパフォーマンスでした。私たちにとって必要十分な機能が揃っていて、自分たちの業務に合わせられる柔軟性も備わっていました。そのうえで、ちょうど良い価格帯でした」(藤森氏)
グローバルのサービス管理ツールは、非常に多機能だが自分たちのやりたいことを実現するには大きな手間が必要になるという。費用も高く、他のワークフローツールなどと重複するところが出てきてしまう。また従来使っていたワークフローツールを再利用していたら、ITILのプロセスや構成管理データベースなどを実現するのに、かなりの工数がかかっていただろう。

「使わない機能がたくさんあるよりも、無駄を削ぎ落してシンプルなツールのほうが私たちには合っていました。SmartStageは機能面でもコスト面でも身の丈に合っていて、私たちの規模にドンピシャにはまりました」(藤森氏)
「そして、クレオには、PoC期間やサポート体制を調整頂きながら、数回のワークショップと手厚いQ&Aで対応してもらいました」(藤森氏)

ベテランと若手を組み合わせた導入チームメンバーを選出

今回の導入にあたっては、IT全般統制の業務フローやIT社内規程を理解しているベテラン社員とITILプロセスはあまり熟知していない若手社員でチーム編成した。ではここから、チームメンバーの皆さんが話してくれたSmartStageについての評価を紹介しよう。

  • IT統括センター IT戦略企画部

    上田祐資 氏

    「この導入プロジェクトでは、プロジェクトマネージャーを務めました。
    今回の導入では、ユーザー満足度をとくに意識していました。今までももちろん納期に対する意識はありましたが、SmartStageのおかげで、我々にもユーザーにもリマインドメールを飛ばせるようになって、納期に対する意識が向上したと思います」

  • IT統括センター ビジネスシステム部

    大坂友梨奈 氏

    「SmartStageの導入では、プロジェクトリーダーを務めました。プロジェクトを進めるにあたってレビューなどを実施しました。またITプロジェクト案件やシステム改善申請・作業依頼申請などを設定しました。
    私個人は、あまりプログラミングは得意ではなかったのですが、SmartStageは設定画面で色々なアクションを作れて、自分が作りたい機能をすぐに実現できました」

  • IT統括センター ビジネスシステム部

    加治俊哉 氏

    「インシデントと問題管理の設定とユーザ教育を担当しました。
    SmartStageは、テンプレートが充実しておりノーコードで設定できるので、一度操作を覚えてしまえば、すぐに変更はできそうかなと思いました。従来は、ツールが分散していて、わかりにくかったんですが、ツールをひとつに統一できたことで、メンテンナンスが楽にできるようになったのが良かったと思います」

  • IT統括センター ITインフラサービス部

    駒野直輝 氏

    「私は、サービス要求の機器提供申請の設定を担当しました。
    SmartStageは、テンプレートが充実しているので、ゼロから作り上げるのではなく、既にあるものを流用して作れるところがとても使いやすく、設定変更も自分たちで自由に簡単にできるところが、とても気に入っています」

  • IT統括センター ビジネスシステム部

    奈良風汰 氏

    「システム利用申請の設定を担当しました。
    SmartStageは、いい意味で余計な機能がなく、とても使いやすいと思っています。
    たとえば、このステータスになった時に項目を初期設定できるという具合に、本当に必要となる機能が揃っていて、設計者から見ると、とても使いやすいと感じました」

  • IT統括センター ITインフラサービス部

    原 夏美 氏

    「データ依頼申請の設定を担当をしました。
    私は、他のツールで申請画面やワークフローの設定をやったことがあるのですが、設定や変更が難しかったりするんですね。SmartStageは、こうやったら実現できるんじゃないか?と感覚的にやってみると結構できたりして、とても直感的に使えるツールだと思いました」

SmartStageをそのまま利用して今後はシステム運用のアウトソーシングにもチャレンジします。

上流工程に株式会社DXコンサルティングが参画

今回の導入プロジェクトでは、ITサービス管理の上流コンサルティングとして株式会社DXコンサルティングが参加している。プロジェクトの様子をコンサルタントの視点から森 透氏に説明してもらった。
「キッツではITILの用語は使っていませんでしたが、インシデント管理・問題管理・変更管理などをきちんと実施していました。用語は変わりましたが、プロセス自体がガラッと変わってユーザーが困ることはなかったと思います。“インシデント管理とは、皆さんが普通にやっているこの業務のことですよ"と言うだけだったので、コンサル的には楽でした。
ITILの導入にあたっては、現状とあるべき姿を整理しつつ、皆さんにITILプロセスを理解してもらって、実際の業務に沿ってプロセスを作っていきました。
キッツの業務フローは特殊な部分もあり、他のツールで実現すると大変だったと思います。SmartStageは柔軟に対応できるので、やりたいことが実現しやすいツールだと思います。直感的に操作できるので、動きが違えばすぐに直して、その場その場で解決していけました。
このほかに、プロセスにITILを適用するために合わせた規定の修正や、構成管理データベースやサービスカタログの整備をお手伝いしています」(株式会社DXコンサルティング 森 透氏)

きめ細かなヒアリングを徹底して利用者の声を反映させる

SmartStageの導入は、2023年1月からスタートした。約3ヶ月の導入期間を経て、ゴールデンウィーク明けから本番稼働を始めた。
ITILプロセスは、サービスオペレーションが中心になっている。要求実現、インシデント管理(問合せ、トラブル対応など)、変更管理、問題管理、サービスカタログ管理を実装した。また自動ではないが構成管理データベースと連動させて、サービスレベル管理やキャパシティ管理、IT運用管理へ繋げている。
ツール自体は、ITILプロセス単位にチケットを管理するのではなく、各プロセスを要求ベースで申請プロセスに組み込んだ形にしている。

「本番稼働の1ヵ月前ぐらいから利用者にアナウンスを始めました。各ステップごとに動画マニュアルを作ったり説明会を開催したりして、使い方を周知しました。
始めは、使い方がわからない人とか、ちょっとした不具合とかもありましたが、大体1ヶ月半ぐらいで重要な課題は解決できました」(大坂氏)
「一番質問が多かったのは、申請を確認したあとに起票するアクションを実行するところでした。申請を確認したら、自動で起票されると思う人が結構いたんです。主に説明会に出席していなかったりマニュアルをよく読んでいなかった人たちから"確認しても起票されない"といった声が寄せられましたが、マニュアルをよく確認して承認依頼のアクションを実行してくださいと説明しました。マニュアルにも注記を入れてあるので、一度伝えればできるようになりました」(上田氏)
なお、各種申請の完了時にはアンケートフォームを表示させて、受付や対応の満足度を5段階で判定してもらっているという。回答率は30%程度だが非常に関心が高く、建設的なコメントや感謝のコメントを数多くもらっているそうだ。
さらに評価が低かった利用者には、直接連絡してどのような不満があったのか詳しくヒアリングしている。
「こうした取り組みを徹底しておこなうことでサービスデスクの存在感が高まり、ユーザー満足度の向上にもつながっていると思います」(上田氏)

システム運用業務を効率化して、アウトソーシングの導入へ

SmartStageの導入で、次のような効果が得られたという。
まずは、申請入口の統一による煩雑さの解消である。ユーザーにとっても分かりやすくなり、申請内容や進捗状況なども一元管理できるようになった。
リマインダー/アラート機能による遅延の削減も効果が大きい。IT部門にもユーザーにもリマインドメールが送信されるので、期日を意識して作業を進められるようになった。
さらにアラート通知の自動取り込みによる入力工数削減や、ユーザー情報の連携なども実現できたそうだ。
「全体のユーザー満足度調査でも、従来は66%から76%ぐらいの評価だったのが90%以上になりそうです。システム運用の工数削減も目標の30%を達成できる目途が立ってきました。
ITILを適用したプロセスも整備できたしツールも導入できたので、ITサービス管理のアウトソーシングを始めようとしています。SmartStageをアウトソーサーにそのまま使ってもらうことで、スムースに作業を移行できると思います」(藤森氏)
今後はユーザー部門のツール管理やPoCの申請などにも適用範囲を広げていきたいと考えているそうだ。
「クレオは、ツールのバージョンアップのときに、私たちの声を前向きに聞いてくれていると思います。今後も、このスタンスで取り組んでくれると嬉しいなと思います」(藤森氏)

※掲載情報は、2023年7月現在のものです。
※記載されている会社名、システム名、製品名は一般に各社の商標、又は登録商標です。
※本資料に記載されている製品の仕様は事前の予告なしに変更する場合があります。

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