キヤノンマーケティングジャパン株式会社様
目的あったツール選定が、システム運用の高質化を実現
キヤノングループにおける⽇本国内のマーケティング活動やソリューション提案を担い、光学機器メーカーとして⻑年培ったキヤノンのイメージング技術や数理技術など、時代に先んじる独⾃の技術を活かしたシステム開発にも注力。また、中堅・中⼩から⼤⼿企業まで広範で強固な顧客基盤を⽣かした⾼付加価値なソリューションにより、顧客のDX(デジタルトランスフォーメーション)を⽀援しているのがキヤノンマーケティングジャパン株式会社である。
同社のシステム運用部門は、基幹系システムから部門システムまで多数のシステムやアプリケーションの開発・運用を手がけているが、以前からシステム運用ツールなどが対象アプリケーションごとにバラバラで、作業ルールの標準化も不十分という課題を抱えていた。
そこで、2019年に基幹システムの一部をリプレースすることに合わせて、ITILに準拠したシステム運用プロセスを導入。同時に、ITサービス管理ツールとしてクレオの提供する「SmartStageサービスデスク」を採用した。
キヤノンマーケティングジャパンで、基幹系システムやシステム共通基盤を整備するミッションを持つIT本部ITアーキテクト部と、実際にシステムの導入や運用を手がけるキヤノンITソリューションズ株式会社のキーマンたちに、現在のシステム運用の状況などをインタビューした。
クラウド基盤やSaaSの利用が増えてきたので
それらを適切に束ねて管理していきたい
最初に、システム運用体制について、キヤノンマーケティングジャパンIT本部 ITアーキテクト部部長の田中太郎氏が、次のように語ってくれた。
「IT本部は、主に社内の基幹系システムやシステムインフラ等を整備するミッションについています。元々、社内システムはオンプレミスが主体でしたが、数年前からクラウドやSaaSの利用が増えてきて、いろんなシステムが入り乱れて動くような状態になっていました。それらをちゃんと束ねて管理していきたいというニーズがありました」
すでに、キヤノンマーケティングジャパンでは、SmartStageで25システムを管理している。2019年5月以降に稼働したアプリが対象で、全システムのうちおよそ5分の1にあたる。たとえば、商品パーツの入出荷状況を管理するアプリケーションやシステム共通基盤などがこれに該当している。
実際にシステム運用にたずさわるキヤノンITソリューションズの三浦氏が、システムの運用規模と状況を説明してくれた。
「キヤノンITソリューションズ システム統括部では、キヤノンマーケティングジャパンのシステム開発や運用を手がけています。
そのメンバーがうちの部門だけでも100名くらいいます。そのなかでSmartStageを使っているのは30名くらいです。インシデント対応は年間300件近くあり、それに伴ったリリース対応が年間450件ほどあります。それ以外にも、業務部門からの作業依頼だったりITシステム間の作業依頼など年間およそ500件近くの対応をしています。
2019年からITILに準拠した運用プロセスを導入して、次のプロセスなどをSmartStageで管理しています」
「基本的に、2019年5⽉以降に稼働したアプリケーションに関してはSmartStageを使ってますが、それ以前からのシステムは、スクラッチで開発した案件障害管理システムを使っていたり、RedMineやエクセルで管理している状況でした。現在、SmartStageへの全面置換を進めているところです」
以前のシステム運用体制の課題について、田中部長が補足してくれた。
「これまではシステム毎に障害管理の方法が異なるなど、管理統制が行き届いていない面がありました。スクラッチで作成した案件障害管理システムも、ワークフロー機能がないため入力が運用担当者任せとなっており、統制が効きにくいものでした」
そこで、業界標準であるITILに準拠した運用プロセスを導入し、システム運用の標準化を目指すことになった。そのためのITサービス管理ツールとして「SmartStageサービスデスク」を導入した。
さまざまな案件の状態がステータス管理でき
リアルタイムで把握できるところが素晴らしい
IT本部 ITアーキテクト部
田中 太郎氏
IT本部 ITアーキテクト部
山崎 俊氏
IT本部 ITアーキテクト部
キヤノンMJグループIT事業部
第二システム部
屋代 圭司氏
システム統括部
多機能なツールより目的にあったツールを選ぶことが重要
SmartStageを選んだ理由について、キヤノンマーケティングジャパン IT本部 ITアーキテクト部の山口 文久氏が説明してくれた。
「当時はSmartStageの導入担当をしていました。このとき、OSSも含めて4種類ほどのツールを比較検討しました。
もちろん、海外ベンダーが開発しているサービスや、国産の統合運用管理ツールなども選定候補にあがりました。どちらも非常に多機能なんですれけど、僕らがそれらの機能を必要としているのか?と考えた時、何割も使わない、ひょっとしたら数パーセントしか必要としない、といった感じでした。
私たちの目的は、システム管理ツールを導入することではなく、ITILのプロセスを導入し、それに伴った運用管理を実現することでしたので、そう考えたときに、ちょうど我々の要求したプロセス管理に見合ったものとしてSmartSageを選定しました」
キヤノンITソリューションズとして、SmartStageの導入ベンダーとなり、導入責任者を務めた屋代圭司氏が、SmartStageのメリットを次のように語ってくれた。
「国内定番の統合運用管理ツールに比較すればSmartStageの機能は非常に限られていますが、ITILに対応したテンプレートもあり、カスタマイズ開発の必要もなく、設定ベースで十分に要件を実現できる、今の私たちの目的に十分合ったツールだと評価しました」
案件情報だけでなくワークフローも統合してツールを標準化
では、実際にSmartStageを使ってみて、どのような感想を持ったのだろうか。皆さんに聞いてみた。
「以前は、案件障害管理システムとは別にワークフローツールを併用していましたが、SmartStageを導入することによって、システム運用ツールを統一できました。案件や障害管理だけでなく、作業依頼やそれに対する確認・承認などのワークフローもSmartStageで一元管理できるようになったのは良かったと思います」(三浦氏)
「メールで連絡が来て、それに従っていけば作業が進むメールドリブンなところも気に入っています。メールが届いたらそれを見て、こういうことが起きているのかと、すぐにわかるところは便利だと感じています。
あと細かなところですが、案件の現在の状態がステータスとして一目で把握できるところもわかりやすいと思っています。SmartStageはレイアウトがよくできていて、画面上部にステータス表示があって、さまざまな案件がどういう処理状況か、そこを見れば把握できるのです」(山口氏)
「ツールの操作がWebブラウザだけで完結しているところもメリットだと思います。余計なアプリをインストールする必要もないですし。
あと、案件に対する操作は全てアクションボタンから操作するのですが、Web APIとして呼び出せるようにもなっているところが秀逸ですね。
また、統制との兼ね合いもありますが、監視システムから上がってきたアラートから、自動でインシデントをを起票することも実現可能です」(屋代氏)
実際の稼働状況について、キヤノンマーケティングジャパン IT本部 ITアーキテクト部の山崎 俊氏が説明を加えてくれた。
「SmartStageは、ほとんど止まりません。先日も、バージョンアップすると連絡をいただきましたが、これまでの設定にもほとんど影響ありませんでした。非常に安定したサービスで、安心してお任せできると思っています」(山崎氏)
ITサービスマネジメントのコンサルも利用し
さまざまな角度から、プロセス設計を実施しました
複雑になりすぎた管理プロセスを改めてブラッシュアップする
SmartStageの導入効果について、キヤノンマーケティングジャパンの田中部長は、こう語ってくれた。
「ITIL標準のシステム運用プロセスに統一できた点が、いちばん大きなことだと思います。SmartStageを導入したことで、たとえばITILの運用プロセスに詳しくない人がいても、ワークフローに従ってちゃんと承認が進んでリリースしていけるようになりました。
ただ、ITILを標準プロセスとして採用するにあたって、2つの課題があったと思っています」
一つは、ツールだけ入れても定着は難しい点だという。ルールを守ってもらうためには、ITILを導入した目的やITILを理解することが重要だという。
もう一つは、ツールとしては非常に柔軟性が高いため、プロセスやフローさえ決めてしまえば何でもできてしまう点だ。プロセスが正しく効果的で使いやすいものになっているか、ツールが保証してくれる訳ではないのだ。そのため、エキスパートに相談したり、実際に利用しながらブラッシュアップしていくことが重要となる。
さらに山口氏と屋代氏も以下のように語ってくれた。
「ITILのプロセスを採用するにあたって、ITIL運用のプロ集団である株式会社DXコンサルティングに参加してもらって、プロセスを設計するセッションを十数回にわたって実施しました。
我々も、運用のスタンダードを詳しく知ってるわけではないので、そこを筋道立てて導いてくれて非常に感謝しています。SLAの雛形を作る活動もあって、その知見を提供していただけて助かりました。
その結果かなり作り込んだものができましたが、ちょっと作り込みすぎたんですね。ITILの原則に合わせるためにバーチャルな組織を定義して、そのうえで開発ロールと運用ロールを定義して。結果として非常に複雑なプロセスになりました。あっちこっちに承認プロセスが入るような、複雑なフローができ上がってしまいました。
それでは使いづらいという声をあったため、2022年1月の新しいシステムのリリースに合わせて、大々的にフローを見直しました」(山口氏)
「当時は、私たちのITILに関する知識も十分ではなく、馴染めないところもありました。何らかの理由で中断していたサービスがあって、それを再開したらインシデントはクローズしますよね。でも、恒久対策ができていないうちはインシデントをクローズしちゃだめだろう、なんて話をしていました」(屋代氏)
今後、蓄積されたデータを活用して運用品質の向上につなげたい
最後に、今後のシステム運用とSmartStageの活用について説明してもらった。
「ひとつは、SmartStageで管理するシステムの拡大です。現在は基幹システムの一部でしか使っていないので、他の基幹システムや部門システムにも拡大して、もっと集中管理していきたい。そして、管理ツールを統一することで、案件や障害の管理プロセスの標準化を進めていきたいと思います。
もう一点あげるとすると、SmartStageに蓄積されたデータを活用したITサービスの品質の向上にも、つなげていきたいと考えています。
ITILベースのシステム運用を採用したことで、業界標準の考え方のなかで、案件や障害のプロセス管理を実現できています。おかげで、プロセスやステータス単位で、ITサービス提供に関する経過時間なども集計できるようになりました。それを活用すれば、インシデントの復旧時間の適正化であるとか、恒久対策の予実管理とか、従来のツールではできなかったことに、高いレベルで取り組んでいけると思っています」(三浦氏)
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キヤノンマーケティングジャパン株式会社
本社所在地: 東京都港区港南2-16-6
※「SmartStage」および「BIZ PLATFORM」は、株式会社クレオの商標、又は登録商標です。
※記載されている会社名、システム名、製品名は一般に各社の商標、又は登録商標です。
※本資料に記載されている製品の仕様は事前の予告なしに変更する場合があります。
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