株式会社東京証券取引所様
〜膨大なシステムの安定した保守・運用を支える〜
日本の証券市場におけるセントラル・マーケットとしての地位を確立している株式会社東京証券取引所(以下、東証)。企業株式を中心とする有価証券を売買する現物市場を受け持っている。さらに、株価指数や株価情報などのマーケット情報を発信している。
東証では、こうした取引や情報発信を支えるため、約40のシステムを抱えており、その開発・運用・保守に200名以上のスタッフが携わっている。しかし、システム運用を支えるためのITサービス管理システムは、「システムとユーザーの増加による機能不足」「ベンダーの企業再編によるサポート品質低下」といった課題を抱えていた。
そこで東証は、2019年4月、ITサービス管理システムを、クレオが提供する「SmartStageサービスデスク」にリプレースした。従来のITサービス管理レベルを維持しながら、カスタマイズ性の向上とサポートコストの低減を実現した。選定ポイントの一つになったのは、「従来の運用ログを、添付ファイルを含めて移行できる」ことだった。
ITサービス管理システムの構築・運用に関った方々から、導入の詳しい経緯とSmartStageサービスデスクについての評価を聞いた。
日本の金融市場を支えるシステムには、高い信頼性と継続的な安定性が求められる。
森本 雅弘 氏
内田 真人 氏
「東証のITサービス部では、株式やデリバティブなど、さまざまなシステムの保守・運用しています。加えて、システム運用を支援するツールなどの開発も担当しています」
このように説明してくれたのは、株式会社東京証券取引所のITサービス部で、統括課長を務める 森本 雅弘 氏である。
「東証には、約40あまりの様々なシステムがあって、そのために統一されたITサービス管理システムを使っています。24時間365日システムを監視するシフトメンバーから、保守・運用の担当者、システム開発メンバーまで約300名のユーザーアカウントがあって、ここに運用情報を集約して、日々の運用を行っています」(森本氏)
実際のシステム運用の様子を、東証のシステム保守・運用などを手掛ける株式会社東証システムサービスの高橋 勇喜 氏が説明してくれた。
「ITサービス管理システムに登録されるインシデント数は、毎月250件程度です。システムで発生した突発的なエラー事象を、インシデントとして発生から解決までの管理をしたり、各システムの変更開始から終了までのプロセス管理、リリース管理などを行っています。
そのほかに、システムの統合監視サーバーがあって、そこで検知した事象や障害情報をITサービス管理システムに、インシデントとして起票するという機能を自動化しています。
あとは、発生したインシデントに対するワークアラウンド(回避手順)など、ナレッジをまとめるデータベースを用意してあります。システムは24時間365日動いているので、それを監視しているメンバーの運用日誌みたいなものもあります」(高橋氏)
従来システムの課題は、サポート品質の低下と、システムとユーザーの増加
ITサービス管理システムのリプレースのきっかけは「ベンダーの企業再編によるサポート品質低下」「システムとユーザーの増加による機能不足」といった問題だった。
ITサービス部の調査役である内田 真人氏が説明してくれた。
「リプレースのきっかけになったのは、ベンダー企業の再編によるサポート品質低下でした。サポートに問い合わせしても、回答までのリードタイムが長かったり、1次回答で、こちらの求めている答えが帰ってこなかったり、といった状態になっていました。
製品自体では、まずはカスタマイズ性ですね。こちらの思うような機能を追加できず、改善の余地があると感じていました。それから、この10年で、管理対象のシステムや利用者が圧倒的に増えてきました。しかし、従来のITサービス管理システムは、同時接続数が80セッションという制限があって、使いたいときに接続できないといった状態でした。
そこで、リプレースの検討に入りました」(内田氏)
実現したかったことをバランスよく実現できるクレオのSmartStage
「選定にあたって、十数製品に及ぶ様々なITサービス管理システムを調べていきました。Webサイトやカタログといったネットで見られる情報を比較して、最終的に5製品にまで絞りこみました。この段階では、クラウドかオンプレミスには、こだわっていませんでした。
そして、それぞれの製品の詳しい機能や導入・保守サービスについて比較・検討したところ、実現したかったことを一番バランスよく実現できるのが、クレオのSmartStageだったんです」(内田氏)
運用チームのメンバーからは、GUIが直感的で分かりやすいと言われています。
ITビジネス本部ITビジネス二部
高橋 勇喜 氏
「選定にあたってもっとも重要なポイントは、従来の管理項目をきちんと引き継げるかという点でした。
今回リプレースしたシステムは、IT部門のほとんどのメンバーが毎日のように利用するツールです。新しいプラットフォームに移行するにあたって、今までできていたことが当然同じようにできることが不可欠です。運用ログについても、約10年分の蓄積があったので、そこをなるべく完全な形で移行することが、我々としては非常に重視したポイントでした」(森本氏)
「候補になった製品では、『管理内容などテキストでデータベースに入っているものは、そのまま移行できますが、添付ファイルは難しい』と言われていました。でも、添付ファイルには、作業指示書だとか、システムが出力したアクセスログなどがありますから、できれば移行したいと考えていました。
そんな中で、"運用ログを添付ファイルを含めて移行できる"と言ってくれたのはクレオだけでした」(高橋氏)
クレオは、RPAを利用したデータ移行を実施することにより、この難題を低コストにてクリアした。
「もしも移行する方法が見つからなかったら、直近のファイルだけ手で移行するか、みたいなことは話し合っていました。ひとつのフォルダに、インシデント番号と添付ファイルを全部放り込んでおいて参照してもらうとか。添付ファイルを参照するためだけに、前のシステムを一定期間あげておくとか、そういう議論をしていました。
でも、約10年分あるので、人間が移行する量ではないなと。そういう意味で、移行できたのは非常に助かった部分でした」(森本氏)
その他の選定条件についても、高橋氏は話してくれた。
「従来システムの同時セッション数などの機能制限が解消できるかも重要でしたし、カスタマイズ性の柔軟さも選定ポイントでした。
従来システムでは、そのツール専用の言語(業務プロセス名や項目名など)を利用する必要がありましたが、SmartStageはブラウザ上で動作し、管理項目を追加したり、その項目について入力ルールを設定したりが、すごく設定しやすくなっていました。GUIでカスタマイズできるので、一番最初に説明を聞いた時から、すごくわかりやすいなぁと感じていました。
もちろん、従来のシステムと100%完全に同じ動作で作業することはできませんが、ほぼ許容範囲でした。
他の候補のなかには、我々のやりたいことを実現するため、今提供している製品に対して追加開発が必要です、というツールも多くありました」(高橋氏)
安心して同じように利用できることが第1の導入効果
今回、東証では、オンプレミス版のSmartStageを導入している。
「システム導入にあたっては、最初にクレオに画面やフローまで構築していただいて、それを我々のチームが検証・検収しています。そして、維持保守のフェーズから、東証システムサービスのチームで修正・カスタマイズしてもらっています。
2019年1月から試行運用をはじめて、4月まで並行稼働させて、ユーザーにも自由に使ってもらいました。このとき、この機能は、ちゃんと確認してくださいとチェックリストも配って動作確認してもらいました。期間も十分にありましたし、比較的スムースに移行できたのかなと思います」 (内田氏)
自分の好みの検索条件を保存して使える、マイタスクという機能が好評です。
「実際に使ってみると、業務としては劇的に何かが変わったというところはありませんでした。従来と同じように、200名以上のスタッフが月間約250件のインシデントをさばいてと、同じような業務レベルを維持できているというのが、第1の導入効果です。
我々としては、それができないと、すごくまずいことになるので。そこは、とてもホッとしているところです。」 (森本氏)
「もう1つの導入効果は、カスタマイズ作業の工数削減です。新しいスタッフが来た時にも、専用の言語を覚えなくても、習得が簡単ですし、作業時間がだいぶ短くなっています。
それから、サポート費用についても、以前より下がっています」(内田氏)
「運用チームのメンバーからは、GUIが直感的で分かりやすいと言われています。じつは、初期開発を担当していたメンバーが途中で抜けてしまったんですけど、すぐに他のメンバーに引き継ぐことができました。そのくらい操作がしやすいというのが実感です」(高橋氏)
「ユーザーからは、違和感なく使用できるし、レスポンスが速くなったと、よく聞きます。あと、自分の好みの検索条件を保存して使える、マイタスクという機能が好評です」(内田氏)
今後の取り組み
「今は、4月に稼働して半年ちょっと。従来のシステムで提供していた機能を、そのまま使い続けている段階です。ユーザーからの意見を取り入れてながら、ちょっとした改修を続けているのが現状です。
今後は、そこから先、新しい機能の改修というのを徐々に考えていきたいなと思っています。
直接、ITサービス管理システムが関わるところではないかも知れませんが、今後、クラウド利用も広がっていく場合、いろんな運用にも対応できるようにしていきたいなと思います。
ITサービス管理システムだけで何とかするというより、統合監視サーバーなどと組み合わせて、より運用を効率化していくといった、変化に対応してきたいと思います」(森本氏)
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本社所在地: 東京都中央区日本橋兜町2-1
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