#ITIL用語解説

ワークアラウンド(workaround)とは

ワークアラウンド(workaround)とは、問題が発生した場合の応急処置や回避手順、次善策などを指す英単語です。
問題が発生したものの、すぐに根本的な解決策を講じることができない場合に講じる応急処置がワークアラウンドとなります。

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  • ワークアラウンドのケース

    たとえば、ある計算プログラムを導入しているとします。
    通常であれば問題なく計算できるものの、特定の状況下では計算結果に誤りが生じることがわかったとしましょう。


    すぐに根本的な解決策が講じられない場合、一時的に計算結果を確認する別のプログラムを導入することで、計算結果の誤りを修正することができます。 ただし、別のプログラムの働きにより、計算結果の誤りは正されるものの、特定の状況下で計算結果に間違いが生じるという根本的な問題は解決していません。


    さらに別のプログラムを導入したことにより、別の問題が発生する恐れもあるため、どのような問題が発生したか、どんな応急処置を行ったかを明記しておくことが重要となります。

  • ワークアラウンドとフォールバックの違い

    ワークアラウンドと似たような言葉に「フォールバック」があります。
    応急処置という意味では似ていますが、事前に問題が予測できるかどうかが異なります。


    フォールバックは、問題が発生することがあらかじめ予想でき、事前に用意できる対応策という意味合いがあります。


    一方でワークアラウンドは、予期しなかった問題やエラーが発生した場合にその場で考え出される対応を指します。
    さらにフォールバックの場合、対応策を繰り返し利用できることが多いのに対し、ワークアラウンドは一度限り行われる対応策と考えられます。

  • 問題管理とワークアラウンドの関係性

    ワークアラウンドは、問題管理で行われるべきプロセスの1つです。
    プログラムなどでは、利用者に不利益をもたらすインシデントが発生することがあります。


    インシデントが発生してしまうと、顧客からの信頼を失うことになりかねないため、早急に対処しなければなりません。
    このインシデントを引き起こした原因となるのが「問題」と呼ばれるものです。


    発生してしまったインシデントを早急に解決するのが「インシデント管理」なのに対し、インシデントの原因である問題を突き止めて再発防止策まで講じるのが問題管理となり、ワークアラウンドは、この問題管理の一環です。

    問題管理では、発生したインシデントをワークアラウンドによる一時的な処置を講じます。
    一時的にインシデントが解決している間に、問題の根本原因を見極め、恒久的な対応策を実施しなければなりません。


    こうした対応により、インシデントの再発を防ぎ、ビジネスへの影響を最小限に抑えることができるのです。


    加えて、ワークアラウンドは応急的な処置をすぐに講じることが必要なのに対し、問題解決は時間をかけてもよいという特徴があります。
    インシデントをスピーディーに解決してビジネスへの影響を最小限に抑えることが目的のインシデント管理に対し、問題管理は時間がかかっても問題の根本原因を見極めることが求められるからです。


    問題管理とワークアラウンドの関係をよく理解しておくことで、インシデントが発生した場合の対応をスムーズに行うことができます。