#ITIL用語解説

ITILとは

ITIL (Information Technology Infrastructure Library)とは、ITサービスマネジメントにおけるベストプラクティス(成功事例)をまとめた書籍群です。また、ISO/IEC 20000のベースになっています。最新バージョンは、ITIL 2011です。
書籍群というと、マニュアルや報告書の束を思い浮かべるかも知れません。実際には、ITサービス管理の考え方を整理したもので、そのドキュメントの構成自体が、ITサービス管理のためのテンプレートになっています。そのため、ITILを理解する場合には、フレームワーク思考で、トップダウンに読み取ることが求められます。

  • ITILの構成要素

    ITILの対象は、サービスの企画・構築・運用というシステムライフサイクルに沿って、5つのカテゴリに分類されています。


    サービス・ストラテジ

    ITサービスの戦略立案について解説しています。事業目標に応じて、ITの役割と要件を整理しており、ビジネスとITサービスとの関係性を整理するため、財務管理や需要管理・サービスポートフォリオ管理・事業関係管理といった項目を整理します。
    ビジネス領域を決定するための市場分析や、サービスを提供するための資源確保、ROIやコストの管理を行う財務管理など、様々な角度から内容を吟味していきます。


    サービス・デザイン

    ITサービスの設計や変更について解説しています。サービス・デザインは、サービスカタログ管理や可用性管理・キャパシティ管理・継続性管理・サービスレベル管理・デザインコーディネーション・情報セキュリティ管理・サプライヤー管理などで構成されています。
    品質、顧客満足度、費用対効果を保持しながら戦略を実現するために、スムーズな運用フローなどを開発していきます。


    サービス・トランジション

    ITサービスの立ち上げや、現在運用中のサービスから新しいサービスへの移行について整理しています。サービス・トランジションは、移行の計画立案・変更管理・サービス資産と構成管理・リリースおよび展開管理・サービスの妥当性確認およびテスト・変更の評価・ナレッジ管理などで構成されています。
    設計した通りのサービスへの変更を反映させる上で生じる、変革による組織へのダメージを抑制しつつ、スムーズに移行を進めていくことが重視されます。


    サービス・オペレーション

    ITサービスの運用について整理しています。「インシデント管理」「要求実現」「イベント管理」「アクセス管理」「問題管理」の5つのプロセスでサービス要求を処理していきます。


    継続的なサービス改善

    ITサービスの継続的な改善について整理しています。どの段階においても、フローの見直しやPDCAサイクルを実施し、断続的にITサービスの改善を行うことで、組織として高いパフォーマンスを実現できるように、サービス品質を管理しています。

    継続的なサービス改善のイメージ
    • サービスストラテジ

      ITサービス戦略管理
      サービスポートフォリオ管理
      需要管理
      ITサービス財務管理
      事業関係管理

    • サービスデザイン

      デザインコーディネーション
      サービスカタログ管理
      サービスレベル管理
      可用性管理
      キャパシティ管理
      ITサービス継続性管理
      情報セキュリティ管理
      サプライヤ管理

    • サービストランジション

      移行の計画立案及びサポート
      ナレッジ管理
      サービス資産管理と校正管理
      変更管理
      リリース管理及び展開管理
      サービスの妥当性管理及びテスト
      変更評価

    • サービスオペレーション

      サービスデスク
      イベント管理
      インシデント管理
      要求実現
      問題管理
      アクセス管理
      技術管理*
      IT運用管理
      アプリケーション管理

    継続的サービス改善

    7ステップの改善プロセス*はプロセスではなく機能

  • ITILは特別な存在か?

    では、ITILは何か特別な存在なのでしょうか? そして、ITシステムの開発・運用を改善する銀の弾となるのでしょうか?
    すでに、ITシステムの開発・運用に関わっている人であれば、ITILの内容は決して目新しいものではない思う人も多いでしょう。なぜなら、ITILは、ITシステム管理を利用者視点で見直したものだからです。しかし、新しい視点から見直してみることで、獲得できる利点も多いはずです。
    ITILが登場して、すでに30年以上が過ぎました。大手企業のIT部門やシステムインテグレータのITシステム運用部門を中心にITILは確実に広まっています。
    一方で、ITILは、絶対に守らなければいけないルールブックではありません。自社のITサービスの状況に応じて、部分的に利用したり、カスタマイズしたりするべき成功事例集となっています。ですので、自社環境に合わせて、目的と範囲を明確にして、どのようにITILを適用していくか、自分たちで考えていくことが不可欠なのです。