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2022.02.15
更新日:
2018.07.24
全2回 RPA・AI導入が盛んな今、最新のITサービスマネジメントとは 《連載:第2回》 改めて振り返るITサービスマネジメントの重要性
前回の記事では、クラウドやSoE(Sytem of Engagement)などに代表される近年のITシステムの変化と、それがシステムの運用にもたらす影響を指摘しました。こうしたIT環境の変化の中で、ITILに代表される優れたITサービスマネジメントのあり方は、依然と重要になってきます。
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全2回RPA・AI導入が盛んな今、最新のITサービスマネジメントとは
ITサービスマネジメントの成功事例に学ぶ
「攻めのIT」を実現するさまざまなクラウドサービスを業務部門が導入し、それらは情報システム部門の力を必要としないものが多いのも事実です。しかし、情報システム部門自身も変わらなければなりません。従来のようなITシステムの管理者という考え方から脱却し、社内のすべてのユーザーを“顧客”として有益なITサービスを提供するビジネスパートナーへと自らのミッションを転換すべきです。
その鍵を握るのがITサービスマネジメントです。これまで属人的あるいはその時々の場当たり的な判断によって行ってきた各業務プロセスを標準化・可視化・自動化するもので、ITサービスの品質を向上すると共に、無駄な作業を排除して情報システム部門の業務を効率化します。
では、どうすれば適切なITサービスマネジメントを導入・実践できるでしょうか。社内に経験も知識もない状態では、どこから、何から、手をつけたらよいのかもわかりません。そうした中での有効な手立てとなるのが、世界の先進企業における成功事例(ベストプラクティス)に学び、参考とすることです。そのガイドラインとしてITIL(Information Technology Infrastructure Library)と呼ばれるフレームワークがよく知られています。
見方を変えればITILをベースとしたITサービスマネジメントの考え方をあらゆる業務部門に適用し、定着させていくことで、情報システム部門は再びリーダーシップを取り戻すことが可能となります。これは大きなチャンスなのです。
昨今、モノづくり一辺倒にこだわってきた製造業もサービスモデルへの転換を加速するなど、あらゆる企業が変革を加速させています。このデジタルトランスフォーメーションの波に乗って自社が競争力を発揮していくためには、将来が見通せない中でも戦略的なITサービスを迅速に立ち上げるとともに、環境変化にあわせて運用改善や軌道修正を行い、場合によっては他社サービスとの連携や共創も臆せず進めるなど、これまでにないフレキシブルな対応が必要となります。業務部門や経営者のサポート役として、情報システム部門にはかつてない期待が寄せられています。
ITIL導入の第一歩はサービスデスクから
ITILは、前バージョンのV2では、日常的な運用手法を記述した「サービスサポート」と中長期的なサービスの管理手法を記述した「サービスデリバリ」の大きく2つのガイドラインを軸にしていました。そして最新のV3では、この2つの考えを踏襲しつつ、分類としては「サービスストラテジ」「サービスデザイン」「サービストランジション」「サービスオペレーション」「継続的サービス改善」の5つに基づいた概念となっています。
それぞれがITサービスの各プロセスのあるべき姿を示していますが、この中でも「サービスデスク」「インシデント管理」「問題管理」「変更管理」「リリース管理」「構成管理」(V2でいうサービスサポートが含有)と「サービスレベル管理」「ITサービス財務管理」「キャパシティ管理」「ITサービス継続性管理」「可用性管理」(V2でいうサービスデリバリが含有)は重要な概念としてしばしば挙げられます。
これらのプロセスの中で起点となるのはサービスデスクです。日本企業の間にITILが普及し始めたのは2000年代前半ですが、そうした中で過半数を超える企業が最初に導入したのがサービスデスクでした。ITサービスの品質改善に関して、最も早く目に見える効果を出せるというのがその理由です。
実際、サービスデスクの現状に目を向けてみると、メールや電話でのやりとりでワークフローを回しているケースは決して珍しくありません。ユーザーは自分が挙げたリクエストのステータスが今どうなっているのかさえ確認できないのです。一方で各部門のマネージャーや経営者もビジネス現場の担当者が何でつまずいているのか把握できず、課題に優先順位を付けようにも、それを判断するための情報が集まってこないのが実情です。
こうした非効率なサービスデスクの運用体制にまずメスを入れて改善することで、全社最適のITサービスマネジメントのワークフローを確立すると共に、最新技術に対応したシステム運用管理の先を見据え、ユーザーの満足度を向上して仕事のモチベーションを高めることが可能となります。