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2022.02.15
更新日:
2019.11.12
全2回 IT部門も注目の「タレントマネジメント」とは?先進的な取り組み事例も紹介 《連載:第1回》 DXとともにIT部門が注目する「タレントマネジメント」――期待される効果とは?
かつて日本で一般的な働き方であった終身雇用制度はすでに崩壊し、現在は人材の流動化が進んでいます。また、デジタルトランスフォーメーションによって企業のあり方や事業そのものも大きな変革を迎えようとしている現在、タレントマネジメントとよばれる人材マネジメント手法が注目されています。
今回の記事では、IT部門がタレントマネジメントに注目すべき理由を紹介すると同時に、どのような効果が期待できるのかも含めて詳しく解説していきます。
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全2回IT部門も注目の「タレントマネジメント」とは?先進的な取り組み事例も紹介
デジタル時代の企業に求められるタレントマネジメント
そもそもタレントマネジメントとは、自社の従業員がもっているスキルを把握しながら、それぞれの得意分野を活かした人材活用に取り組むことを指します。
もともと米国が発祥のタレントマネジメントという考え方は、かつての日本ではあまり定着していませんでした。それは日本の雇用形態には終身雇用が大前提としてあったためです。欧米ではさまざまな会社を渡り歩くビジネスパーソンが多く、日本に比べて人材の流動性が高いため企業としてはできるだけ安定して人材を確保しておかなければなりません。一方、日本では企業が長い時間をかけて人材を育成するという考え方があったため、欧米のような人材育成の手法は不要と考えられていました。
しかし、現在日本における求人市場は圧倒的な売り手市場となっていることから、優秀な人材ほど外部に流出してしまう傾向があります。
2018年にパーソナル総合研究所が今後の就業者数について予測した結果、2025年には583万人もの労働力が不足するという結果が算出されました。このような客観的なデータからもわかるように、日本は深刻な人出不足が今後も継続していくと見られています。
だからこそ企業は優秀な人材流出を防ぐための対策を講じなければならない時代に突入しており、これまでのように「企業が人材を選ぶ」のではなく「優秀な人材から選ばれる企業」になる必要があります。そこで、時代に即した企業に変革するために近年注目されているのがタレントマネジメントという手法です。これまでのように組織単位でマネジメントを行うのではなく、社員一人ひとりの “個”にフォーカスした新時代の人事評価として注目されています。
データ分析が要!タレントマネジメントによってもたらされる効果と課題
経済産業省が2019年1月にまとめた「人材マネジメントの在り方に関する課題意識」というレポートでは、経済のグローバル化にともない、多様な人材ポートフォリオと柔軟な人事制度の構築がポイントとして挙げられています。
これは単に世界市場での競争が背景にあるだけではなく、デジタルトランスフォーメーションによって既存の事業が変化し求められるスキルも変わっていくためです。例えば、現在人の手によって行われている事務作業もRPAなどの業務自動化ソリューションに置き換わっていったとき、処理のスピードよりもRPAのロボットを作れるスキルのほうが重要になります。
タレントマネジメントによって従業員一人ひとりのスキルがきちんと把握できていれば、業務内容や業務フローが変わったとしてもそれに対応したスキルをもった従業員をアサインできるようになります。
人材の流動性が高い現在、企業が従業員を適切に評価しないと優秀な人材は組織に定着せず、外部に流出していってしまうリスクがあります。これまでのように組織単位で人材活用を考えるのではなく、自社で働く従業員一人ひとりの経験やスキルを考慮し、企業がキャリアアップの支援を行うことも重要です。これによって優秀な人材は定着しやすくなり、結果として組織のガバナンスも強化されていきます。
また、デジタルトランスフォーメーションの実現に向けて、会社として今後どのような姿を目指すべきなのか考えている企業も多いです。新たな事業のスタートや、他社と提携するといった場合においても、どのようなスキルをもった従業員が不足していて今後必要なのかが見えてきます。タレントマネジメントで従業員のスキルや能力がきちんと管理できていれば、今後新たに必要とされている人材が明確化され、人員を募集しやすくなります。
タレントマネジメントは企業にメリットがあると同時に従業員個人においても、人生100年時代を生き抜くうえで多様なキャリア観の形成を可能にします。どのようなスキルをもった人材が重宝されるのかが明確に分かれば、それに向けて能力開発に励むことができます。
しかし、さまざまな部署がある中で個人のスキルを一元的に管理するためには、ITによるシステム化が必要不可欠です。そのため、タレントマネジメントは一見IT部門とは無関係なように思えますが、社内システムを検討する場合において技術的な知見を提供しながら協力して進めていく必要があります。