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システムの安定稼働、コスト削減、コンプライアンス強化など、IT部門の「作業」は年々増加しています。
しかし、新規事業や新技術の立ち上げなど、企業力強化のうえで不可欠なものは、IT部門の「知恵」です。
IT部門がビジネスクリエイティブ集団に生まれ変わるためのヒントやトレンド情報をご提供いたします。

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  • 事例

2023.06.01

 更新日:

2023.05.16

全2回 『ChatGPT』で再注目! 企業のAI活用事例 《連載:第1回》 国内企業のAI活用事例

国内企業のAI活用事例

一時はメタバースWeb3の陰(かげ)に隠れてしまった印象があったものの、『ChatGPT』の登場により、再びAI(人工知能)に注目が集まっています。もちろん「陰に隠れていた」と言っても、AI自体の革新性は疑うべくもなく、近年も様々な形でビジネスに活用されてきました。今回は2回にわたって、『ChatGPT』も含めたAIの活用・サービス事例を紹介。自社でも取り入れられるものはないか、ぜひチェックしてください。

需要(来客)予測のためのAI活用事例

創業100年以上の老舗ながら、DX推進企業としても注目を集めている有限会社ゑびや。同社は創業以来経営している飲食店の需要=来客予測にAIを活用しています。

高精度で予測するためには来客数と関連性の深い項目を特定することが必要なため、150種類ものデータと来客数の関係性についてデータ分析を実施。現在では、天候や近隣宿泊者数などの外部データと自社保有データをもとに、90%以上の精度で将来の来客数を予測できるようになっているということです。

その結果、それまで勘や経験に頼っていた発注業務の脱属人化が可能に。余計な調理業務及び食材の廃棄ロスも減少し、他施策の効果も含まれているようですが、従業員数を維持したまま4倍の売上アップを実現しています。

※参考:戦略的基盤技術高度化・連携支援事業(中小企業のAI活用促進に関する調査事業)|経済産業省

顧客満足度向上のためのAI活用事例(1)—ビッグデータ分析

レンタカー・カーリース事業を展開するニッポンレンタカーサービス株式会社は、顧客満足度の向上を目的にAIを活用しています。それが、年間10万件以上寄せられるというお客様アンケートの分析。親会社である東京センチュリー株式会社の専門人材や外部AI技術保全企業とも連携しており、自然言語処理(NLP)による記述回答の解析も実施しているということです。

それまで分析作業はすべて人が手作業でおこなっていたそうですが、AIの導入で工数は大幅に削減。分析結果はサービス向上だけでなく、スマートフォンアプリの開発や、Webサイトの改善にもつなげています。

※参照:DX銘柄2021|経済産業省

顧客満足度向上のためのAI活用事例(2)—AIカメラ

総合スーパーを展開するイオンリテール株式会社では、店舗にAIカメラを導入し、顧客満足度向上につなげています。AIカメラとは、カメラの映像データを画像認識技術などによって処理・分析するシステムのこと。同社では来店客を待たせず接客対応するために、購入を検討している来店客を自動で検知して従業員へ通知させるという使い方をしています。

もう一つの活用目的が売り場改善。映像をAIで分析することにより、来店客の立ち寄り時間の長い売場や手を伸ばす頻度が高い商品棚を可視化することができるため、店舗ごとの売場レイアウトや商品構成の最適化につなげているということです。

※参照:“スマートな”買物体験を実現するAIシステムを順次拡大|イオンリテール株式会社

バックオフィス業務効率化のためのAI活用事例

バックオフィス業務効率化のためのAIとして一般的なのがAI-OCR。紙の文書や手書き文字をデジタルデータ化できるITツールです。パソコン定型業務を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)というITツールと連携することで、経理業務の場合、紙の請求書の読み込みから経理処理(支払い・入金の消込処理など)までの一連の作業を脱属人化することができます。

食品・雑貨などを扱っているある卸会社では、受注処理を効率化するためにAI-OCRとRPAを導入しました。以前は繁忙期になると、顧客によってフォーマットの異なる数百枚のFAX注文書を約10名のスタッフが毎日基幹システムに手入力していたそうですが、データ化からシステム格納まですべて自動化を実現。人による作業は、データ化後の合計値の目視確認と、合計値が合わない場合の再確認のみになり、作業時間は50%削減できたようです。

※参考:戦略的基盤技術高度化・連携支援事業(中小企業のAI活用促進に関する調査事業)|経済産業省

異常検知のためのAI活用事例

機器・施設などの異常や故障の検知にもAIが活用されています。関西電力株式会社は火力発電所内を自動で巡視点検するロボットを開発。ロボットにはカメラや集音マイク、ガスセンサーが搭載されており、発電所内を移動して収集したデータから、独自開発した異常診断AIモデルが異常の有無を診断する仕組みとなっています。

AIには、正常な画像データとの違いから異常の有無を判断する“差分検知モデル”を活用。従来は巡視員の五感に頼っていたという業務の脱属人化だけではなく、見落としの削減や人が発見できなかった異常を検知するなど、業務品質の安定化にもつながっているということです。

同様の技術を“真偽”の判定に活用しているのが、中古ブランド品流通大手の株式会社コメ兵ホールディングスです。同社は査定の際の偽ブランド品の見分けや、商品情報の特定に用いるAIシステムを開発。持ち込まれたブランド品を小型カメラで数ヵ所撮影し、データと照合することで真偽を判定しています。

※参考:スマート保安先進事例集|経済産業省 産業保安グループ
※参考:コメ兵、リアル店舗に「AI真贋」導入 リユーステックで偽物を排除し、健全なリユース市場を創造|株式会社コメ兵ホールディングス

ここまで紹介した以外にも、農業での生産量予測やアパレル企業のバーチャル試着など、興味深い事例はまだまだありますが、今回はここまで。次回第2回記事では、AI技術を活用して新事業を創出した企業と、今話題の『ChatGPT』の事例を取り上げます。

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