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IT部門をビジネスクリエイティブ集団に

システムの安定稼働、コスト削減、コンプライアンス強化など、IT部門の「作業」は年々増加しています。
しかし、新規事業や新技術の立ち上げなど、企業力強化のうえで不可欠なものは、IT部門の「知恵」です。
IT部門がビジネスクリエイティブ集団に生まれ変わるためのヒントやトレンド情報をご提供いたします。

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  • 業務プロセス

2022.02.15

 更新日:

2021.05.25

全2回 【DX時代の必須知識】IT部門も知っておきたいCXの基礎 《連載:第2回》 CX向上のためにIT部門が担うべき役割とは?

CXは元々マーケティング分野で使われていた概念でしたが、タッチポイント(顧客接点)におけるデジタル活用の重要性が増すにつれ、IT部門も他人事ではいられなくなっています。前回のCXの概要と事例に続いて、今回はCXを向上させるために必要なポイントとIT部門の役割について紹介します。

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全2回【DX時代の必須知識】IT部門も知っておきたいCXの基礎

CX施策に有効な効果指標

例えどんなに小規模なものであっても、ビジネスにおいて施策やプロジェクトを成功させるためには効果検証のステップが欠かせません。CXを向上させるための取り組みを総称して「CXM(カスタマー・エクスペリエンス・マネジメント)」と呼びますが、当然CXMにおいても同様です。

といっても、効果検証のやり方があやふやだったり、勘や経験に頼ったりしたものではまったく意味がありません。意味のある、つまり有効な改善策につながる効果検証を行うために必要なのは、有効な評価指標を設定すること。CXMに取り組む企業の多くで使われているのが、顧客ロイヤリティ(企業や商品に対する信頼・愛着度)を数値化する「NPS(ネット・プロモーター・スコア)」という指標です。

NPSの特徴は、ロイヤルティという目に見えないものを定量評価するところと、そのために「(顧客が)他人に薦めたいか」というポイントを最重要視しているところです。

具体的には、タッチポイントごとに「あなたはどのくらい〇〇(企業や商品)をご家族や友人・知人に薦めたいと思いますか? 0~10点で点数を付けて下さい」というようにアンケートを実施します。同時に、その理由や改善してほしい点、その他の施策の満足度を聞く場合もあります。そして点数の高い順に回答者を「推奨者」「中立者」「批判者」という呼称で分け、回答者全体に占める推奨者の割合(%)から、批判者の割合(%)を引いた値をNPSのスコアとするのです。

多くの企業がNPSを採用している理由は、スコアと売上の相関性の高さと言われています。あるクレジットカード会社では、NPSアンケートの結果、クレジットカード紛失時の対応が大きくスコアに影響を与えることがわかり、対応の質を改善したところ、解約率は減少し平均利用率が10%も増加したそうです。

先ほども書きましたが、感情や印象のような目に見えないものを対象とした施策は、なかなか効果を実感しづらいこともあり、いつの間にか(言い方は悪いですが)グダグダになって頓挫するケースが多々あります。特に顧客の顔や姿が見えないデジタルにおいては尚更です。そういった意味でも、顧客の満足度を数値化=可視化するNPSは有効と言えるでしょう。

IT部門が生まれ変わるチャンス

以上、2回に渡ってCXの概要とCXMの基本的なポイントを紹介してきましたが、実は実際にCXMに取り組む際に鍵となるのがIT担当者の知識や働きなのです。

その役割は「組織に横串を通す」こと。企業が本気でCX向上に取り組むのであれば、様々なタッチポイントを改善するために社内の多くの部署を巻き込んでいく必要があります。そうした全社的な取り組みにおいて、NPSスコアなどの実績データの分析・効果検証、関係各所への情報共有・発信、スムーズな意思決定や臨機応変な対応を実現するシステム開発、といった中核的な役割を担うのに、デジタルとデータ分析の専門集団であるIT部門ほど適した部署はないからです。

CX向上に熱心に取り組んでいることで知られている某大手保険会社も、プロジェクトの中心を担っているのはIT部門です。メールやSMSでNPS用アンケートを実施し、その結果をホームページで公表したり、イントラネットで社内共有して営業やカスタマーサービス部門に働きかけて改善策を実現したりと、部署をまたいで戦略の多様化に貢献しています。IT部門が、単なるITデリバリー集団ではないというところが特徴的です。

他方で、このような「攻め」以外の面、例えば従業員の業務効率化や働き方改革を支援することも、IT部門にとっては重要な役割です。いわゆる「EX(エンプロイー・エクスペリエンス:従業員体験)」と呼ばれる考え方ですが、CXと背中合わせの関係にあり、EXが良好な企業はCXも優秀であると言われています。

EX向上のために有効な取り組みはいくつもありますが、面白いところで言えばRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の活用でしょうか。RPAとは、入力やデータ集計、レポート作成、メール送信など、パソコンでの定型作業を自動化できるITツール。リサーチ会社のMM総研が実施した「RPA国内利用動向調査(2019年1月調査)」によると、導入企業の約6割が「満足」と回答。理由として「業務が楽になった」「人手不足対策につながった」「残業等を削減できた」といった声が挙がっています。もちろんリモートワークの効率化にも最適です。従業員満足度をあげる手段のひとつとして、検討してみる価値はあるでしょう。

CXもEXも注目は集めているものの、危機意識の高い企業を除けば、まだまだ取り組んでいる企業は少ない状況です。新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化する直前の、2020年2月にガードナー社が発表した調査結果では、従業員数2,000人上の企業でCX向上に取り組んでいる企業の割合は35.9%でした。しかし、コロナ禍によって顧客と直接対面しないコミュニケーションが常態化している現在では、多くの企業が新たな顧客価値を模索しているはずです。

何よりCXの目的である「新たな顧客価値の創出」は、DXの目的とも重なります。見方を変えれば今の状況は、自社のIT部門が他社に先んじてビジネスクリエイティブ集団へと生まれ変わるチャンスと言えるかもしれません。

全2回【DX時代の必須知識】IT部門も知っておきたいCXの基礎

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SmartStage編集部

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