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  • 働き方改革

2022.02.15

 更新日:

2021.03.23

全2回 IT/情シス部門のジェネレーションギャップについて考えた 《連載:第2回》 IT部門のマネージャーが知っておきたい若手社員のマネジメント方法

前回はIT部門における「おじさん問題」について考察しました。今回は対して若年層、特に現在の新入社員を含む、90年代後半以降生まれで「Z世代」「デジタルネイティブ」などと呼ばれる世代の社員に効果的なマネジメント手法を紹介します。

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全2回IT/情シス部門のジェネレーションギャップについて考えた

「Z世代」「デジタルネイティブ」世代の価値観

若年層世代と良好なコミュニケーションを取るためには、ある程度、その世代独自の価値観やライフスタイルを理解しておくと有効です。

といっても、「ぴえん」や「ぱおん」、あるいは「べびたっぴ」のような、若者言葉の意味を知るということではありません。もちろん知っていても損はないでしょうが、調子に乗って使用するのは避けた方が無難です。一度目はまぐれ当たりでウケたとしても、あまりに乱用すると、すり寄っているような不気味な印象を与えかねないからです(当人のキャラクターにもよるので断言はできませんが)。

電通PRが2019年に発表した『Z世代と新ライフスタイル』というレポートによると、現在の若年世代の価値観の中心となるのが「フェア」と「シェア」。具体的には、「自分の嗜好だけではなく、社会にいいことを好み、情報やモノを囲い込まず共有する」傾向にあるということです。

株式会社リクルートマネジメントソリューションズの『2020年新入社員意識調査』でも、2019年に引き続き、「鍛え合いや競争よりも、互いに助け合い成長していく」職場や働き方を理想としているという結果が出ていますが、この辺りにも「フェア」と「シェア」を大切にする価値観があらわれていると言えるでしょう。

もう一つ注目すべきなのが、「ジェンダーフリー」の価値観です。優先するのは「男らしさ」「女らしさ」よりも「自分らしさ」。男性がメイクやコスメを楽しむことも、女性が男性物の服を着ることもめずらしくはありません。SNSではLGBTであることをオープンに語る有名人が増えていることもあり、いわゆる性的マイノリティに対する理解も進んでいると言われています。

『IT人材白書2017』(独立行政法人情報処理推進機構)によれば、日本の情報処理・通信に携わる女性の割合はわずか13.1%(日本の全就業者における女性の割合は43.9%)。まだまだ男性社会です。だからと言って、「女性は細かいところによく気が付く」「女性ならではの視点で」など、「女性であること」を強調したり求めたりすると、先日辞任した某国の某大会組織委員会元会長のように批判の集中砲火を浴びせられる可能性もあるでしょう(例え面と向かって口にすることはなくても、彼らにはSNSという武器があります)。

もちろん同世代だからといって全員が同じ価値観を持っているわけはありませんし、あくまで他世代との比較、傾向として捉えるべきものだとは思います。しかし、中・高校生の頃からスマホを通して世界中の多種多様な情報や価値観、そしてSNSのシェア文化などに触れてきた経験が背景にあると聞けば、何となく納得できるものがあるのではないでしょうか。

そして当然ながら、このような特長を持つ若年世代に対して、旧来のやり方や過去の成功体験を押し付けるだけのマネジメントでは上手くいくはずがありません。

では、具体的にどのようにマネジメントすれば良いのでしょうか。

ジェネレーションギャップを「組織の武器」に変える2つの方法

前回も紹介した『劣化するオッサン社会の処方箋』(光文社新書)で著者の山口周氏は、これからのリーダーは「現在の私たちが趨勢として有している『支配型リーダーシップ』という枠組みから離れることが必要です」と語り、今必要なのは「サーバントリーダーシップ」であると説いています。

「サーバントリーダーシップ」は、「サーバント(奉仕者)」の名の通り、メンバーを支援してビジョンや目標の達成に導くリーダーシップの手法を指します。サーバントリーダーに必要な属性として挙げられているのが、「傾聴」「共感」「癒し」「気づき」「概念化(ゴールやビジョンの明確化)」「成長へのコミット」「コミュニティーづくり」など。コーチングやフィードバックを提供しつつも、ある程度若手社員に権限を委譲して、主体的に働いてもらう環境を整えるスタイルと言っても良いでしょう。

シリコンバレーでは収益やパフォーマンス面での効果も証明され、ペイパルやエバーノートなど錚々たる企業が採用しています。日本でも、1990年代後半に経営危機に陥った資生堂が、経営改革の一手として取り組んだことで知られています。

もう一つ、「リバースメンタリング」という手法もあります。元々、2020年に亡くなったゼネラル・エレクトリック社のジャック・ウェルチ会長(当時)が、インターネットなどの新しい動きについて学ぶために始めたと言われている取り組みで、簡単に言うと、「若手社員が経営幹部や上司の先生役となって指導(メンタリング)する」こと。日本でも取り入れる企業が増えつつあるそうです。

若手社員が最新のITに関する知見を教えるのが一般的なやり方ですが、目的はあくまで相互の高め合い。若手ならではの知見とベテラン社員の幅広い視点が影響し合って、新たな発想が生まれることも期待できます。

もう気付かれた方もいるかもしれませんが、「サーバントリーダーシップ」も「リバースメンタリング」も、成否を分けるのはリーダーやベテラン社員の「謙虚さ」です。しかし、というべきか予想通りというべきか、まだまだ年功序列が当たり前の日本企業では、採用に抵抗感を覚える年配社員が多いようです。とはいえ、保守的や前例主義であることが停滞あるいは後退を意味するほど変化の激しい現代に、その姿勢はあまりにも傲慢ではないでしょうか。

もちろん若手の方が発想力は豊かといっても、全員が全員スティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグのようなイノベーションを起こせるはずはありません。それどころか勉強や自己研鑽を怠っていれば、近い将来、新たな世代に「クラウドおじさん」や「ソーシャルおじさん」と呼ばれる日が確実にやってくるでしょう。そうした点でも、経験の少ない若手を主役に据える「サーバントリーダーシップ」と「リバースエンジニアリング」は、育成方法としても効果的な取り組みと言えるかもしれません。

イノベーションの真の源泉は、若さではなく、多様性(ダイバーシティ)であるという見方もあります。いずれにせよ、これからのリーダーやマネージャーは、ジェンダーギャップをポジティブに捉え、組織の武器に変えていくことが求められています。

偉そうなことも書いてきましたが、何を隠そう私も中年男性のひとり。心無い「オッサン」呼ばわりに屈することなく、「好奇心」と「謙虚さ」を持って「学び続け」ていきましょう。

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SmartStage編集部

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