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  • サービスデスク

2024.02.27

 更新日:

2024.02.27

全2回 社内ITヘルプデスク改善を実現するチャットボット、その可能性とは? 《連載:第2回》 【事例で紹介】AIチャットボットでITヘルプデスクを改善する方法

【事例で紹介】AIチャットボットでITヘルプデスクを改善する方法

様々な技術を活用しながら進化を続けているチャットボット。今回は現在の主流とも言えるAIを活用したチャットボットによるITヘルプデスク改善事例と、相乗効果が期待できるチャットボットと外部ツールとの連携事例を紹介します。

AIチャットボットによるITヘルプデスク改善事例

●AIチャットボットによるITヘルプデスク改善事例(1)

ITサービス大手のSCSK株式会社がAIチャットボットを導入した理由の一つが、ITヘルプデスクへの問い合わせ件数が多過ぎたこと。ピーク時には月1万件もの問い合わせメールが届くほどで、どうしても対応が遅くなり、社内の評価も芳しくありませんでした。また、「働き方改革」を進めるために長時間労働の是正が求められていたものの、人員増員が難しかったことも大きかったようです。

チャットボットを構築するためには質問と回答の作成・登録が必要ですが、その際に同社が取り組んだのが、既存のFAQからのチャットボットで対応できそうな質問事項の洗い出し。そこで、例えば「アプリケーションの使い方」のような多様なパターンの回答が想定される分野は対象から外し、担当者が応対することにしました。

効果は導入後すぐに現れ、担当者が対応する問い合わせ件数は20~25%減少。また、AIが1回のやり取りで解決してくれたり、あいまいな質問は事前に聞き返して明確にしてくれたりするおかげで、以前のメールでの問い合わせのように何度もやり取りをすることが減り、1件の問題解決にかかる工数削減にも役立っているということです。

※参考:AIチャットボットは、社内ヘルプデスクに有効だ 月間1万件の問い合わせ対応に、AI導入の効果は?|『FRONTGATE』 (SCSK株式会社)

●AIチャットボットによるITヘルプデスク改善事例(2)

高速道路の建設・管理など、社会インフラを担う企業。同社がAIチャットボットを導入した目的は、情報システム部門の負担軽減とITヘルプデスクの対応力向上でした。具体的には、ヘルプデスク業務のしわ寄せがシステム運用など他業務に及んでいる状況を改善すること、問い合わせが立て込む時間帯にスムーズに対応できるようにすることなど。サブスクリプション型クラウドサービスの利用拡大により、サービス追加時や機能アップデート時に問い合わせ対応の準備が必要になったことも大きな負担になっていたそうです。

サービスを選ぶ上で重視したのは、「教えてほしい」「知りたい」のような、質問文の表記ゆれへの対応力。チャットボットが柔軟かつ精度の高い回答を提供するために必須の能力です。同時に、IT技術者以外のメンバーでも運用できるよう操作性と使いやすさにもこだわったそうです。

導入後は、簡単な質問をAIチャットボットに自動応答させることで、メンバーが他業務に専念できる環境を実現。中でも、それまで伝わりやすいようにスクリーンショットを貼るなどの手間を掛けていたFAQ作成作業から解放されたことが、大幅な工数削減につながっているということです。

外部ツールとチャットボットの連携事例

ここまで紹介したようにチャットボットは単体でも大きな成果をもたらしますが、外部ツールと連携することでさらなる改善効果が実現できます。

●チャットボットとRPAとの連携事例

約2万人の従業員を抱える電気通信業界の大手企業。社内WebサイトにFAQを掲示していたものの認知が低く、同社のヘルプデスクには電話での問い合わせが集中していました。そので、件数の多かった単純な質問とパスワードロック解除に関する問い合わせへの対応を省力化するためにチャットボットを導入しました。

導入後、電話による単純な質問は、自動化により運用開始直前と比較して月当たり約70%の減少を実現。しかし、もう1つのパスワードロック解除については、セキュリティー上ヘルプデスク担当者による操作が必要なため、チャットボットだけでは対処が不可能です。そのために同社が採用したのが、RPA(ロボティック・プロセス・オートメション)との連携でした。

RPAは人がパソコンでおこなう定形業務をロボットに置き換えて自動化できるITツール。同社はこの連携により、問い合わせ受付からパスワード解除処理までの工程をすべて自動化し、セキュリティー基準を下げることなく電話での問い合わせをほぼゼロにすることに成功しています。

チャットボットとRPAの連携事例では、大手ビールメーカーの取り組みも有名です。同社は約4,000 件に上る社内FAQサイトとAIチャットボットを自動同期させるためにRPAを活用。日々更新されるFAQサイトの情報をRPAが定期的にダウンロードして特定フォルダに格納し、それをAIチャットボットが学習して回答に反映する仕組みを構築しています。

もちろんチャットボットとの連携が有効なツールはRPAだけではありません。ITヘルプデスク以外の用途でも、在庫管理システムと連携すれば、営業担当者からの商品在庫確認の問い合わせ対応を自動化することができます。採用代行などの人材サービスを提供する外資系大手企業では、チャットボットとGoogleカレンダーを連携し、転職希望者からの問い合わせや面談日時の設定を省人化することで会員登録から面談までのリードタイムを大幅に短縮しています。

チャットボット自体は決して新しい技術ではありませんが、前回紹介したツールとしての進化や、上記のような外部ツールとの連携に見られるように、まだまだその可能性は汲みつくされていません。何よりIT/情報システム部門にとっては、社内ITヘルプデスクの改善だけでなく、その先のビジネスに貢献できる部署への変革を実現するための可能性にも満ちたツールと言えるでしょう。

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SmartStage編集部

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