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2023.07.11
更新日:
2023.07.11
全2回 定番から最新型まで!IT部門を変える「システム運用自動化ソリューション」 《連載:第1回》 今求められる「システム運用自動化」と定番ツール
企業活動のあらゆる領域で“変革”が求められている昨今、当然ながらIT部門の重要任務であるシステム運用管理もその例外ではありません。今回は、その運用管理の効率化に欠かせない自動化ソリューションを定番から最新トレンドまで紹介します。
厳しさを増す運用現場
まずは、なぜ今、システム運用管理の自動化が求められているのか、その大きな理由を2つ説明します。
1つ目は、運用管理対象となるシステム1や管理ツールの増加・多様化による運用負荷の急増です。ご存じの通り、オンプレミス、クラウド、仮想化、AI、IoTなどの技術進展やデジタルトランスフォーメーション(DX)の普及により、企業のITシステムの数や種類は急速に増加しています。
そうした流れと同時に、ユーザーが求めるサービスレベル(SLA:Service Level Agreement)も高くなり、システムのパフォーマンスやレスポンスに対する評価も厳しくなっています。その結果、運用担当者はこれまで以上に大きな負荷にさらされることになり、QCD(品質・コスト・納期)の低下やミスのリスクが高まっているのが現状です。
2つ目に、IT部門に求められる役割の変化が挙げられます。従来の役割では主にコスト削減や効率化に重点が置かれていましたが、様々な環境変化により、現在の経営サイドはビジネスニーズに迅速に対応し、成果に直結する貢献を期待しています。 とりわけ求められているのが、データ利活用やアプリケーション開発などの「攻めのIT活用」です。そうした取り組みを実現するためのDevOpsやCI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)といったアプローチは既に一般化していますし、Googleがこれまでの運用担当者に代わる新しい技術者として提案した、運用と開発のスキルを併せ持つ「SRE(Site Reliability Engineer)」という役割も広く知られるようになっています。
当然こうした状況のもとで従来通りの運用管理を続けていても、負荷は軽減されませんし、経営サイドの期待に応えることもできません。要員を増やすにしても、特に高スキルなIT技術者の人材不足は深刻化しています。そこで解決策として注目されているのが、運用管理の脱属人化・工程削減を実現する自動化という訳です。
自動化のソリューションについては、以前サービスデスク・ヘルプデスク業務などを自動化するITSMS(ITサービス管理システム)を取り上げたことがありますが、今回はその他の業務やさらに幅広い領域を自動化できるツールを紹介します。
運用自動化ツールの定番「RBA」と「RPA」
運用管理自動化ツールとして、定番と言えるほど広く活用されているのがRBAとRPAです。
・RBA(Run Book Automation)
RBAは2010年頃に登場した自動化ツールです。Run Book=“運用手順書”という名前の通り、従来は人が手順書に基づいておこなっていたサーバー・システム運用管理業務をワークフロー化して自動化することができます。RBAが普及するまで一般的だったジョブスケジューラ(ジョブ管理システム)と違い、上司の承認のような人の判断=条件分岐を伴う業務も含めて自動実行できるのが特徴です。
RBAの課題としては導入のハードルがやや高い点が挙げられます。事前の設計が複雑で、運用対象業務が標準化できていなければ、業務のたな卸しやサービスデスク整備による標準化作業が必要です。また、異なるアプリケーションやツールを連携させる際に、プログラミングやAPIなどの専門知識が必要なケースもあります。
・RPA(Robotic Process Automation)
RPAは、人が手作業でおこなっているPC入力や検索、資料作成などの定型作業を自動化するITツールです。注目を集めるようになったのは2016年頃から。一般に事務作業を効率化するツールとして知られていますが、システム運用の自動化にも活用できます。具体的には、定期的あるいはインシデント発生時のログ収集、既知の障害に対するリカバリー処理、サポート作成などが挙げられます。また、こうした定型業務の自動化だけでなく、RBAを含む自動化ツールや監視ツール、エスカレーションに使用する自動電話通話サービスなどと連携できることもRPAの強みです。
RPAは比較的プログラミング知識が少なくても利用できるため、RBAより導入のハードルが低く、既存のシステムやインフラストラクチャに変更を加えずに導入することも可能です。ただし、RPAはRBAの代替ではなく、それぞれの長所を活かしながら上手く組み合わせて利用することで、より効果的な自動化を実現することができます。
次回第2回目の記事では、DX時代とも呼ばれる現在、特に脚光を浴びている運用自動化ソリューションを紹介します。