SmartStage

IT部門をビジネスクリエイティブ集団にpowerd bysmart stage

IT部門をビジネスクリエイティブ集団に

システムの安定稼働、コスト削減、コンプライアンス強化など、IT部門の「作業」は年々増加しています。
しかし、新規事業や新技術の立ち上げなど、企業力強化のうえで不可欠なものは、IT部門の「知恵」です。
IT部門がビジネスクリエイティブ集団に生まれ変わるためのヒントやトレンド情報をご提供いたします。

sp_kv

  • 事例
  • Tips

2023.06.01

 更新日:

2022.10.25

全2回 DXの現在地~日本企業のDXはどこまで進んでいるか~ 《連載:第2回》 DXの前には〈IT部門の変革〉が欠かせない

DXの前には〈IT部門の変革〉が欠かせない

第2回目となる今回は、前回あまり取り上げられなかった社内向けのDXや、中小企業のDX事例を紹介します。最後にDXにおいてIT部門に求められる取り組みについても説明していますので、現在DXに関わっている方もこの先取り組んでいきたい方も参考にしてみてください。

老舗中小企業の知的なDX戦略

■アフラック株式会社のDX事例

保険会社としてだけでなく、DX先進企業としても注目を集めているアフラック生命保険株式会社。同社のDXで注目すべきは、「デジタル決済プラットフォーム」や「3Dアバターチャットポッド」などの顧客向けサービスを次々と創出しながら、同時に従業員の生産性向上に寄与する「守りのDX」においても革新的な取り組みをおこなっている点です。

保そのうちの一つが「AI搭載の社内ナレッジ検索システム」。お客様サービスを始めとする社内業務の正確性とスピード向上を目的として開発され、社内に存在する様々な情報やマニュアルの中から、AIによって最適なものをスピーディーに探索することができるシステムです。

自社従業員だけでなく、代理店や募集人(販売員)向けの取り組みも充実しています。「営業サポートAI」は、募集人が顧客1人ひとりに有意義な提案をおこなえるようサポートするシステム。AIがビッグデータ解析によって営業トークのベストプラクティスを学習し、担当者に最適な提案ポイントをリアルタイムでアドバイスすることができます。

※参考:デジタルトランスフォーメーション戦略(DX@Aflac)|アフラック生命保険株式会社

■もりやま園株式会社のDX事例

当然ながら、DXは大企業の専売特許ではありません。もりやま園株式会社は青森県で100年以上続くりんご園を営む中小企業。経済産業省が選ぶ「DXセレクション2022」で審査員特別賞を受賞した同社は、老舗ながらIT・デジタル技術を活用して進化を続けています。

同社の経営理念の一つが「農業を知的産業に変える」。DXでまず取り組んだのは、従業員の作業記録を取得し、農作業を可視化するクラウドアプリケーションの開発でした。目的はデータ分析による業務効率化。実際に取得したデータから作業を非効率化する構造的な問題が明確になり、PDCAを回して業務内容の改善を進めることで労働生産性を2倍以上向上させたということです。

こうした知的な戦略は「攻め」の領域でも効果を生んでいます。同社の長年の課題が、収穫時期が年1回しかなかったことでした。そこで毎年大量に捨てられていた摘果りんご(未成熟なりんご)の安全な収穫方法を実用化し、リンゴジュースを開発。1年を通して製造・販売できる商品を生み出したことで、売上向上だけでなく雇用の安定化にもつながっているそうです。

※参考:デジタルトランスフォーメーション銘柄2022|経済産業省(P.6)【DXセレクション2022】審査員特別賞企業取組紹介 もりやま園株式会社|経済産業省(YouTube)

IT部門に求められる「創意工夫」

以上2回にわたって企業のDX事例を紹介してきました。前回引用した経済産業省による定義にも書かれていたように、DXの目的はビジネスモデルや組織を「変革」すること。そして現在、それ以前の取り組みとして必須と言われているのが「IT部門の変革」です。DXにおけるIT部門の役割は企業によって異なりますが、中心組織となって主導するにせよ、側面的支援に注力するにせよ、旧態依然とした姿勢のままでは十分に貢献できないことは確実だからです。

システム運用ひとつとっても、DXに関わるシステムの多くは従来と異なり、稼働後も継続的なブラッシュアップが欠かせません。業務以外でも、全社横断的なアプローチを有機的に進めるために、事業部門とのフラットな関係構築が必須です。前回紹介した株式会社LIXILでは事業部門が業務ツールを開発できるようノー・コード開発ツールを導入しているそうですが、企業によっては、こうした専門知識を持たない従業員がスムーズにIT・デジタル技術を業務に活用できる環境づくりも求められるでしょう。

では、IT部門はどのような組織に変革すべきなのでしょうか。一般的にDXにおけるIT部門といえば「迅速かつ柔軟な“アジャイル型組織”」というのが決まり文句のようになっていますが、今回紹介した事例を見ても、それだけでは不十分であることは明白です。ユニークかつ革新的な取り組みを実現するために求められるのは、もっと単純で根本的なこと。外部からの要請に応えるだけではない、「創意工夫のできる組織」であることです。

創意工夫といっても、何も最初から大掛かりなものである必要はありません。先述のノー・コード開発ツール導入のようなアプローチもそうですし、リモート会議で使用するディスプレーを大型化しただけで会議が活性化したという事例もあります。前回、AIの説明で「AIの可能性は使う側の創意工夫次第」と述べましたが、それは他のツール・技術でも同様です。要は役割や立場にかかわらず、IT・デジタルの専門家として貢献できる領域は無限に広がっているということ。そういった意味でも、DXという前例のない挑戦を前にして、「大変そう」と捉えるか「面白そう」と捉えられるかが、組織として変革できるか否かの分かれ目と言えるかもしれません。

SmartStage

SmartStage編集部

IT部門がビジネスクリエイティブ集団に生まれ変わるためのヒントやトレンド情報を発信していきます。

「システム運用改善セミナー」ITIL準拠のサービスデスク管理システムが構築できる「SmartStageサービスデスク」を体験! 《システム運用改善事例》 西武グループ、イオングループ、JALグループの運用事例に学ぶ!