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2023.06.01

 更新日:

2022.05.31

全2回 アイデアと行動力で広がる可能性~社会課題解決におけるIT・デジタル活用事例~ 《連載:第2回》 オープンイノベーションによるIT・デジタルを活用した社会課題解決事例

オープンイノベーションによるIT・デジタルを活用した社会課題解決事例

今やIT・デジタルは社会課題を解決するために欠かせない技術ですが、特にスケールの大きな課題解決に挑む際に有効なのがオープンイノベーション型の取り組みです。

オープンイノベーションとは?

オープンイノベーションの提唱者である経営学者ヘンリー・チェスブロウ氏によると、オープンイノベーションとは「組織内部のイノベーションを促進するために、 意図的かつ積極的に内部と外部の技術やアイデアなどの資源の流出入を活用し、 その結果組織内で創出したイノベーションを組織外に展開する市場機会を増やすこと」(※)。もっと簡単に、外部連携によるイノベーション創出のための取り組み、と言い換えても良いでしょう。

※出典:オープンイノベーション白書 第三版|国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構

日本では現在、内閣府が積極的に推進活動に取り組んでいますが、オープンイノベーションが求められている背景としては、近年のグローバル競争の激化とテクノロジーの急速な進化、それに伴う製品ライフサイクルの短縮化や顧客ニーズの多様化などが挙げられます。こうした変化に対し、以前のような一企業・一組織ですべてをまかなう自前主義(クローズドイノベーション)では対応しきれなくなり、大企業を筆頭にベンチャー企業や専門家、公的機関など、社外の人材や技術と連携し、新たな市場価値の創出を図るようになったのです。

とりわけ今回のテーマである社会課題解決の分野では、次の弘前大学の事例のような、産学あるいは産学官連携の大規模なオープンイノベーションが目立ちます。

弘前大学COI(センター・オブ・イノベーション)研究推進機構のオープンイノベーション事例

日本で最も平均寿命が短く、“短命県”とも呼ばれている青森県。2005年、その呼び名を返上すべくスタートしたのが「若木健康増進プロジェクト」でした。弘前大学医学研究科を中心に、東京大学・京都大学のAI研究者、花王株式会社など50以上の企業・研究機関が“寿命革命”を旗印に連携。それまでの住民健診データを軸に構築した健康ビッグデータをAIなどで分析し、約50種の疾患・病態の発症予測モデルやヘルスケア事業の開発、社会環境の整備などに取り組んできました。

プロジェクトは着実に前進を続け、2017年には男性の平均寿命の伸び率で全国3位を記録。さらに推計で約242億円の経済効果、約1,812人の雇用創出、約527億円の医療費抑制が見込まれています。こうした成果と、県民の健康に対する価値観の変化への貢献を評価され、2019年には「第1回オープンイノベーション大賞 内閣総理大臣賞」を受賞しています。

参考:「第1回日本オープンイノベーション大賞」受賞取組・プロジェクトの概要について|内閣府

社会課題解決につながるマーケット創出事例

また、オープンイノベーションというと研究開発のための連携というイメージが一般的ですが、実際はもっと多様な取り組みがおこなわれています。例えば、フードシェアリングサービスを運営する株式会社コークッキングは、今までにないマーケットを創出したことにより「第2回日本オープンイノベーション大賞 環境大臣賞」を受賞しています。

株式会社コークッキングのオープンイノベーション事例

フードロスは、SDGs(持続可能な開発目標)の目標の一つにも掲げられている世界的な問題です。ところが日本は食料自給率が世界最低水準にもかかわらず、1人当たりの食品ロス発生量はアジアの中で最多。株式会社コークッキングのフードシェアリングプラットフォーム及びアプリ『TABETE(タベテ)』は、こうした矛盾を解決すべく開発されました。

サービスの仕組みは、飲食店がまだ美味しく食べられるのに売り切るのが難しい食事を出品し、ユーザーが購入することでロス(廃棄)を防ぐというもの。同社がユニークなのは、拡販のために静岡県浜松市を始めとするフードロス削減に取り組む地方自治体と連携したことで、サービス開始から2年弱で登録店舗数465店舗、登録ユーザー数20万人以上を達成。ロスから救った食事は1万6,000食を超え、持続可能な「食の2次流通マーケット」の創出に取り組んでいます。

参考:「第2回日本オープンイノベーション大賞」受賞取組・プロジェクトの概要について|内閣府

ちなみに経済的利益の追求だけでなく、社会課題の解決を目的としたオープンイノベーションは従来のオープンイノベーションと区別して「オープンイノベーション2.0」と呼ばれ、企業の社会的責任(CSR:Cooperate Social Responsibility)が求められるようになって以降活発化しているようです。

以上2回に渡って、IT・デジタルを活用した社会課題解決の取り組み事例を紹介してきました。日々の仕事に直接役立つ内容ではなかったかもしれませんが、普段当たり前のように使っているツールの別の使い方を考えるヒントや、アイデアや行動力次第でいくらでも仕事の可能性が広がっていくことに気付くきっかけになれば幸いです。

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