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2023.06.01

 更新日:

2022.05.17

全2回 アイデアと行動力で広がる可能性~社会課題解決におけるIT・デジタル活用事例~ 《連載:第1回》 企業のIT部門も必見! 地方創生におけるIT・デジタル活用事例

企業のIT部門も必見! 地方創生におけるIT・デジタル活用事例

ウィズ・コロナ、あるいはニューノーマルと呼ばれている現在、社会の様々な領域でITやデジタル技術に対する関心・期待が高まっています。機能は同じでも、使い方やアイデア次第で大きく可能性が広がるのがIT・デジタルの面白いところ。今回のテーマはビジネス関係だけではありませんが、異分野の事例を知っておくと、いざという時にアイデアのヒントになるでしょう。

地方創生にIT・デジタルが求められる理由

最近のデジタルトランスフォーメーション(以下:DX)の盛り上がりを見ても明らかなように、IT・デジタルというと何かとビジネスに関連付けて語られがちですが、当然それらは企業の利益だけを目的とした技術ではありません。もっと社会にとって重要なこと、例えば教育や福祉、ヘルスケア、インフラ、環境など、いわゆる社会課題を解決するためにも大いに活用されています。

今回のテーマである地方創生も、その目的のひとつです。一般に地方が抱えている課題といえば、少子高齢化や都市部への人口流出による過疎化が知られていますが、同時にIT・デジタル化の遅れや、その遅れが招いた新型コロナウイルス感染拡大による生活や経済への影響も看過できません。

こうした状況を受けて、国による地方創生の取り組みも活発化しています。政府が最初に地方創生法案である『まち・ひと・しごと法案』を提出したのは2014年の臨時国会。以来、その戦略や方向性をまとめた『まち・ひと・しごと創生基本方針2020』を毎年策定していますが、中でもIT・デジタルの活用について大きく取り上げたのが、コロナ禍の2020年7月に閣議決定された『まち・ひと・しごと創生基本方針2020』です。

資料によると、政府の戦略は「雇用の維持と事業の継続、経済活動の回復を図るとともに、感染症克服と経済活性化の両立の視点を取り入れ、デジタル・トランスフォーメーション(DX)を推進しつつ、東京圏への一極集中、人口減少・少子高齢化という大きな課題に対し、取組を強化する」こと。具体策としては、結婚・出産・子育てしやすい環境の整備、5G等の情報通信基盤の早期整備、デジタル専門人材の派遣、都市部の企業に向けた地方でのリモートワークやサテライトオフィス設置の推進などが挙げられています。

今やIT・デジタルによる地方創生は、国が進んで取り組むべき喫緊課題。ただしそれまでも、地方の自治体などが主導して様々な取り組みがおこなわれてきました。続いてそれらの事例を紹介します。

IT・デジタルを活用した地域創生の成功事例

IT・デジタルを活用した地域創生の成功事例として特に知られているのが次の2つの事例です。

佐賀県のIT・デジタルを活用した地域創生事例

救急搬送患者の増加により、搬送時間の長時間化と特定医療機関への搬送集中という問題を抱えていた佐賀県。現場では救急隊員が勘や経験で患者の搬送ルートを判断し、受け入れ可能な医療機関を探し出すためにいくつもの医療機救急医療情報クラウド関に問い合せをする必要がありました。

ボトルネックは「どの病院が空いているか」という情報をリアルタイムで共有できないこと。そこで、各病院の搬送受入の可否や過去の受入実績、搬送患者の現場傷病判断情報などを一元化したシステムを構築。さらに現場と連携させるために県内のすべての救急車にタブレットを配備し、関係者が必要な情報をリアルタイムで可視化・共有できる救急医療情報クラウドシステムを確立したのです。

この取り組みにより佐賀県の救急搬送は迅速化・効率化し、全国で初めて救急搬送時間の短縮を実現。その後、複数の都道府県で同クラウドをベースとしたシステムが導入されています。

参考1:ICTによる地方創生の成功事例|総務省

参考2:救急医療でのICT活用(「99さがネット」)|佐賀県

徳島県上勝町のIT・デジタルを活用した地域創生事例

徳島県の中部に位置し、“四国で一番小さな町”と言われている上勝町。少子高齢化の進むこの地域をよみがえらせたのが、料理の飾り(つまもの)に使用する葉っぱを採集・販売する事業でした。

中心として携わっているのは地元の平均年齢70歳の女性たちです。市況をリアルタイムで共有できるシステムとパソコン・タブレットを駆使して各自で市場を分析、最適なタイミングで全国に出荷することで年商2億6000万円の産業に成長。中には年収1000万円の方もいるそうです。

事業の効果は経済面だけではありません。高齢化率は徳島県内トップですが、後期高齢者一人当たりの医療費は平均を大きく下回り、町では寝たきり高齢者の姿が消えたとのこと。こうした一連の取り組みは『人生、いろどり』というタイトルで映画化もされています。

参考1:ICTによる地方創生の成功事例|総務省

参考2:『おばあちゃん達による葉っぱビジネス』から『SDGs未来都市』へ|農村漁村ナビ(農林水産省)

以上2つは2010年代初頭の事例ということもあり、ともにタブレットやクラウドが中心となっていますが、今後5Gを始めとする最先端テクノロジーの普及が進めば、遠隔診療や自動農場管理など、さらにイノベーティブな取り組みが増えることが予想されます。

イノベーティブと言えば、現在、多くのIT・デジタルを活用した社会課題解決に採用されているのが「オープンイノベーション」という取り組みです。次回はそちらの事例を紹介します。

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