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2023.06.01

 更新日:

2022.03.22

全2回 インターネットの世界を一変させる?「Web3」の基礎知識 《連載:第2回》 広告を見るだけで報酬!? 常識を覆すWeb3のサービス事例

広告を見るだけで報酬!? 常識を覆すWeb3のサービス事例

まだまだ数こそ少ないものの、Web3を視野に入れたアプリやサービスは既に登場しています。今回はその中から、日本発のものも含め、特に革新的なものをいくつか紹介します。

Web3の技術を活用したサービス

Brave(ブレイブ)

『Brave』は、近い将来、Google Chromeに取って代わる存在になるとも言われているWebブラウザです。JavaScriptの生みの親、ブレンダン・アイク氏が設立した米Brave Software社によって開発され、 2019年11月に正式リリース。当初はGoogle Chromeの検索エンジンを利用していましたが、現在は『Brave Search』という独自の検索エンジンを実装しています。

『Brave』の大きな特徴は、ユーザーのプライバシーを最重視していること。匿名で検索できる他、広告やトラッキング(行動追跡)をブロックする機能がデフォルトで備わっており、Webサイト閲覧中に広告が表示されたり、一度訪問したサイトの広告に追いかけられたりすることがありません。反対に広告を表示するよう設定することも可能ですが、その場合、広告の視聴数に応じて、ユーザーに報酬として独自のトークン(仮想通貨)「BAT」が支払われる点でも注目を集めています。

2021年12月末の月間アクティブユーザー数は約5000万人。まだまだGoogleの足元にも及びませんが、5年連続で前年比倍増を続けており、このまま順調に増え続ければ、現在のインターネットにおける広告中心のビジネスモデルを覆す可能性もないとは言い切れません。

Filecoin(ファイルコイン)

Google Cloud PlatformやDropboxのようなクラウドストレージに代わるサービスと言われているのが、分散型ストレージ『Filecoin』です。その特徴をひとことで言うと、空きストレージのシェアリングサービス。前回紹介したユーザーのコンピュータ同士を直接結ぶP2P(ピアツーピア)型のネットワークを活用しており、ユーザーはストレージを利用するだけでなく、自分の空いているストレージを貸し出すこともできます。ストレージを提供したユーザーには、既存の仮想通貨と変換可能な「FIL」というトークンで報酬が支払われます。

なお、分散型ストレージは他にも『Storj(ストージ)』など、いくつかのサービスが登場しています。

Steemit(スティーミット)

『Steemit』は2016年にリリースされたソーシャルメディアサービスです。ブログやFacebookなどと同様、投稿したコンテンツに対して読者から「いいね」やコメントをもらえる仕組みですが、『Steemit』は従来のSNSにはない報酬機能を実装しているのが特徴。しかも、投稿に対して高評価のリアクションを集めたユーザーだけではなく、高評価の集まった投稿をいち早く評価したユーザーにも同じくトークンで報酬が支払われるのです。

こうした仕組みによって同サービスが目指しているのは、広告収入ではなく、コンテンツの質によって収益化できるメディアやジャーナリズムを確立すること。2018年には九州でシェアトップを誇る新聞社、西日本新聞が多言語で記事配信をスタートさせて話題を呼びました。

以上3つはいずれもアメリカの企業による事例ですが、日本からもWeb3の技術を活用したサービスが少しずつ登場しはじめています。2019年1月には、株式会社Alisが『Steemit』と同じく報酬機能を持つソーシャルメディア『Alis(アリス)』のオープンβ版をリリース。また2021年1月には、有料音楽配信サイトなどを手がける株式会社レコチョクが「Web3.0プロジェクト」の第一弾として、音楽業界向けワンストップECソリューション「murket(ミューケット)」にNFT(非代替トークン性)アイテムの販売機能を追加したと発表しています。

Web3は“たわごと”という批判も・・・

前回紹介したWeb2.0の課題を克服する「分散型インターネット」というコンセプト、そして今回紹介したいくつかの革新的なサービス。一見するとWeb3にはバラ色の未来が待っているように思えますが、さすがにまだそこまでは言い切れないのが実状のようです。関連メディアにざっと目を通すだけでも、スケーラビリティやルール整備など、技術面・環境面ともに多くの課題が山積みしていることが確認できます。

加えて、Web3という考えそのものに対する手厳しい批判も存在します。2021年12月には、電気自動車メーカー・テスラのCEOイーロン・マスク氏がTwitter上で「Web3はたわごと(bullshit)だ」と発言。さらに、元Twitter CEOのジャック・ドーシー氏も、「Web3はあなたのものではない。ベンチャー・キャピタルとその投資者(リミテッド・パートナー)のものだ。それは結局のところ、別のラベルを持つ中央集権的な存在である」と、Web3のコンセプトを根底から否定するツイートを投稿し話題を呼びました。

こうした発言を、それこそ「Web2.0の既得権益者による自己保身のためのたわごと」と一蹴することも可能かもしれませんが、同時期に米ウォール・ストリート・ジャーナル紙が「わずか0.01%のビットコイン保有者が、流通するコインの27%を支配している」と報じた記事を目にしてしまうと、あながち間違いではないような気がしてくるのをどうしようもありません。

とはいえ、かつてはWeb2.0も単なるバズワードとして扱われていたことを考えれば、現段階でWeb3を全否定するのは速断に過ぎるでしょう。何より、現在のインターネットに関して「まったく問題なし」と断言できる人はいないはずです。ビジネスに資するIT部門を目指す担当者としては、然るべき時に後手に回るような事態だけは避けるためにも、派手なあおり文句や宣伝文句は適当にスルーしつつ、今回紹介したサービス事例のような実際の動きを追っていくのが最善の策かもしれません。

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SmartStage編集部

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