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システムの安定稼働、コスト削減、コンプライアンス強化など、IT部門の「作業」は年々増加しています。
しかし、新規事業や新技術の立ち上げなど、企業力強化のうえで不可欠なものは、IT部門の「知恵」です。
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2022.02.15

 更新日:

2021.09.14

全2回 DXで注目!基礎から知るクラウドネイティブ 《連載:第1回》 【入門編】クラウドネイティブの特徴・メリット・事例

デジタルトランスフォーメーション(以下:DX)の拡がりとともに注目を集めているクラウドネイティブ。とはいえ、インターネットや雑誌の記事を読んでも、専門用語ばかりでわかりづらく、困っている方も多いのではないでしょうか。今回はそうした方に向けて、クラウドネイティブの特徴やメリット、事例などをわかりやすく紹介します。

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全2回DXで注目!基礎から知るクラウドネイティブ

クラウドネイティブとは何か

クラウドネイティブの定義でよく知られているのは、Microsoft AzureやGoogle Cloud、AWS(Amazon Web Service)などが所属する「CNCF」(Cloud Native Computing Foundation)という団体の、「クラウドネイティブ技術は、パブリッククラウド、プライベートクラウド、ハイブリッドクラウドなどの近代的でダイナミックな環境において、スケーラブルなアプリケーションを構築および実行するための能力を組織にもたらします」というものです。

ただしこれではわかりづらいので、もっと簡潔に、「クラウドに最適化し、クラウドの利点を徹底的に活用した技術やアーキテクチャのこと」と言い換えても良いでしょう。何か特定のITツールを意味するわけではなく、また、言葉は似ていますが、SaaSのようなクラウドシステムの活用を推奨する「クラウド化」や「クラウドファースト」とは次元の異なる考え方です。「クラウドはガラケー、クラウドネイティブはスマートフォン」と例えると、そのスケールの差がイメージしやすくなるかもしれません。

クラウドネイティブの具体的なモデルやアプローチは多岐に渡りますが、一般的に活用されているのは「コンテナを活用したマイクロサービス」です。

マイクロサービスとは、複数の小さなサービス(ビジネスロジック)を組み合わせ、一つのアプリケーションを構成する開発技法を指します。従来の単一のモジュールで構成されたモノリシック(一枚岩)なアプリケーションとは違い、サービスごとに開発・テスト・運用を進められるため、新機能を追加してもシステムが複雑化することはなく、また障害が発生しても影響を最小限に抑え込みやすいというメリットがあります。

コンテナは、そのマイクロサービスを実行する容器のような役割を担います。アプリの動作環境を仮想的に構築する技術の一つで、オンプレミスで一般的な仮想マシン(サーバー仮想化)よりも負担が少なく、高速かつ安定したアプリケーションの構築・稼働が可能です。コピーも簡単で、本番環境と検証環境を同じ状態で動かせるため、リリース品質が向上するというメリットもあります。

ECサイトを例に、モノリシックなアプリケーションとマイクロサービスの仕組みを図解にすると、次のようになります。

クラウドネイティブ

(※実際に「コンテナを活用したマイクロサービス」を実現するためには、オーケストレーションやサービスメッシュなどの技術も必要ですが、ここでは説明を簡略化するため省略しています)

マイクロサービスとコンテナの説明でも少し触れましたが、クラウドネイティブの大きな特徴は、スピーディーかつフレキシブルな運用が可能であること。つまり、DXに不可欠とされている、アジャイル開発やDevOpsを実現するために最適なアーキテクチャなのです。

企業の競争力強化に求められるもの

スピードとフレキシビリティ(柔軟性)が重要なのは、何もDXに限った話ではありません。

経済産業省が発表した『ものづくり白書2020』には、これからの企業の競争力強化に欠かせない要素として、「ダイナミック・ケイパビリティ」という能力が紹介されています。もとは戦略経営論における学術用語ですが、意味は「環境や状況が激しく変化する中で、企業がその変化に対応して自己を変革する能力」のこと。

変化が小さい時代には「効率化」が高い価値を持ちますが、現代のような変化の大きい時代には当てはまりません。それよりも、市場や顧客の変化に合わせて、スピーディーかつ柔軟にアクションを起こすことのできる「変革力」こそが、競争力の源泉になるというわけです。

そしてその「変革力」を支えるのが、クラウドネイティブのスピードとフレキシビリティ。当然ながら、近年急激に成長しているSpotifyやNetflix、Uberといった企業も、軒並みクラウドネイティブを取り入れています。

Netflixは、データベースの障害により、宅配サービスのDVD発送が数日間止まってしまったことがきっかけだったそうです。その後、約7年の歳月をかけて、モノリシックなアプリケーションからマイクロサービスの集合体へとアーキテクチャを一変。自社システムの大部分をクラウドネイティブ化したのが2015年に入る直前でした。その後の快進撃は誰もがご存知でしょう。

国内において目立つのも、ヤフー株式会社やメルカリ傘下の株式会社メルペイといった先進企業の取り組みですが、数こそ少ないものの、一般に変化が遅いと言われている大企業においても導入が進んでいます。

例えば世界的にも有名なバイクメーカー。同社がクラウドネイティブを導入した理由は、「危機感」でした。近年の顧客ニーズの多様化にともない、従来の需給調整方法では上手くいかなくなってきたのです。そこで着手したのが高度なPOS システムの構築。販売店での接客時の情報をクラウド上にリアルタイムで記録し、そのデータを分析することで、顧客の隠れたニーズを探り、本当に欲しいモノを迅速に供給できる仕組みづくりを目指したのです。

システム開発においてはスピードと柔軟性を重視し、クラウドネイティブアーキテクチャを活用したアジャイル開発を採用。その結果、なんと3ヵ月で完成。その後も現場の販売員の要望をもとに、アイデア出しから実装まで1ヵ月というスピードで改善を重ねているそうです。このPOSシステムによって、ディーラーや営業から販売状況の話を聞くというスタイルから脱却。スピーディーかつデータドリブンな施策を実現できるようになったようです。

以上、クラウドネイティブの基本知識について説明してきましたが、実際にクラウドネイティブを導入するにあたっては、より専門的な知識・技術の習得が必要です。しかし、それだけでもクラウドネイティブのメリットを充分に生かすことはできません。では他に何が必要なのでしょうか? 次回の記事で解説します。

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SmartStage編集部

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