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IT資産管理とは?ツール導入のメリットやおすすめのツール7選も紹介

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  • 企業が管理すべきIT資産はパソコンやプリンタ、サーバー、ソフトウェアなどから、通信回線、ケーブル類などなど多岐に渡ります。IT資産の管理を行うことで、コストやセキュリティなどIT資産を適切に使用しなかったために発生するリスクを回避することができます。

    とはいえ、IT資産は管理の内容が複雑なため手作業で行うには効率が良くありません。

    そこで本記事では、IT資産管理とは何か解説した上で、その業務を効率化するIT資産管理ツールの機能について解説します。おすすめのIT資産管理ツールも紹介しますので、IT資産管理に課題を抱える企業のご担当の方はぜひ参考にしてみてください。

  • IT資産管理とは?

    IT資産管理とは、企業がパソコンやプリンタ、サーバー、ソフトウェアなどから、通信回線、ケーブル類などのITに関連する機器類の現状を把握し適切に管理することです。

    IT資産と一口にいっても、情報端末、周辺機器、ソフトウェア、記憶媒体など多岐に渡り、IT資産の定義は明確に決まっていません。IT資産によって作成され、保管されている膨大な情報もIT資産といえます。

    企業はIT資産の管理を日頃から行い適切な状態を保つことで、余分なIT機器やソフトウェアの購入による無駄なコストの発生リスクを回避ができます。最近ではコンプライアンス違反のリスクや情報漏洩などのセキュリティリスク対策のためにIT資産管理ツールを導入する企業も増えています。

  • IT資産管理をする目的は大きく2つ

    先程も少し触れましたが、IT資産管理をする主な目的について詳しく解説します。ここでは近年重要性が増してきている2つの目的をご紹介します。

    ・ コンプライアンス遵守
    ・ 情報漏洩対策とセキュリティの強化

    それぞれ詳しく見ていきましょう。

    コンプライアンス遵守

    最近では、ソフトウェアメーカーが自社の製品を利用している企業に対して、ライセンス違反を犯していないか監視するケースも珍しくありません。ライセンス違反が発見された場合、多額のペナルティが課されます。そうしたことからも、多くの企業がソフトウェアライセンスに対する高い意識を持ち、著作権や利用規約を守って利用しなければならないと考えています。

    また、固定資産の会計処理では、少なくとも年に一度はソフトウェアの利用状況に合わせてソフトウェアを無形固定資産として計上しなければなりません。このときに、誤った数値を計上すると、企業の社会的信用が落ちることもあります。こうしたミスを防ぐためにも、ソフトウェアの利用状況の把握など、IT資産管理に対する日々の取り組みは欠かせません。

    情報漏洩対策とセキュリティの強化

    PCにインストールされているOSやWebブラウザ、アプリケーションなどが最新のバージョンでない場合、マルウェアから攻撃を受ける可能性が高まります。

    セキュリティを強化し、情報漏洩を防ぐことは、自社のIT資産を守ることはもちろん、社会的信頼にも影響します。マルウェアによる攻撃を回避するためにも、脆弱性が明らかになったらすぐに最新のバージョンにアップデートしなければなりません。

    また、USBメモリなどの記憶媒体の取り扱いもIT資産管理に含まれます。PCに不正なデバイスを接続できないようにするなど、情報漏洩を防ぐための対策が必要です。

  • IT資産管理ツールは何ができるのか

    IT資産管理ツールでできることは主に下記の7つです。

    ・ インベントリ管理
    ・ ソフトウェア資産管理
    ・ ライセンス管理
    ・ セキュリティ管理
    ・ 操作ログ管理
    ・ デバイス制御
    ・ 検疫システム

    それぞれ詳しく見ていきましょう。

    インベントリ管理

    インベントリ管理は社内のIT資産に関する全データを一元管理する取り組みのことです。インベントリ管理にはLAN上の接続機器やPC、サーバー、ネットワーク機器の本体、端末の周辺機器、ソフトウェアなどが含まれます。

    PCのインベントリ情報は種類が多く、更新作業を手作業で行うには膨大な時間がかかります。そのため、自動収集機能は不可欠です。

    ソフトウェア資産管理

    ソフトウェア資産管理とはソフトウェアを資産とみなし、適切な管理を行うことです。ソフトウェアの運用を正しく行うことで、著作権侵害などのライセンスコンプライアンス違反を防げます。

    ソフトウェアの資産管理を行う重要性は年々増しており、国際規格の他、日本独自の管理基準の開発も進んでいます。

    ライセンス管理

    ライセンス管理とは、購入済みのソフトウェアを使用許諾契約書に従って利用するために管理することです。使用許諾契約書には複製や不正利用を禁じる旨や監査権などについて説明されています。利用者の違反が発覚した場合、多額の違約金が発生するケースもあります。

    また、ライセンス管理を正確に行っていれば、ライセンスコストの削減にもつながるでしょう。必要のないライセンスの購入を回避できるため、コストダウン効果があります。

    セキュリティ管理

    IT資産管理におけるセキュリティ管理では、セキュリティパッチの管理が鍵となります。セキュリティパッチは端末にインストール済みのソフトウェアやOS上のセキュリティの欠陥にも対応可能です。

    ただし、これらの機能を活用するには、最新のセキュリティパッチが適用されていることが前提です。

    操作ログ管理

    操作ログ管理を使用することで、社内の全端末のONとOFFやアプリケーションなどの操作ログを記録できます。

    操作ログを記録しておくことで、トラブルが生じた際にその経緯や原因を追求しやすくなります。

    また、操作ログが搭載されていることを全社員に周知しておくことで、不正防止にもつながるでしょう。

    デバイス制御

    デバイス制御では外付けのハードディスクやUSBメモリに、特定のデバイスのみに接続を許可するなど利用制限を設けます。

    利便性の高さが利点の一つであるUSBメモリですが、万が一紛失した場合は情報漏洩にもつながります。また、USBが原因となってPCにウイルスが感染するケースもあるため注意が必要です。

    検疫システム

    検疫システムはセキュリティ対策が脆弱なクライアントの検出、ネットワーク接続制御、各種セキュリティ対策の実施、ネットワークへの回復までのプロセスを一貫して管理する仕組みです。また、社内のネットワークにPCやタブレットなどからのアクセスが発覚した場合、セキュリティポリシーに従っているかの確認も迅速に行います。

    検疫システムを活用することで、ウイルスソフトの更新状況や定められたセキュリティポリシーが実現されているかなどの確認も容易になります。

  • 具体的な管理対象

    IT資産は幅広く多岐に渡るのは先述のとおりですが、ここではIT資産管理で主な管理対象となる3つのカテゴリについて解説します。

    ・ ハードウェア
    ・ ソフトウェア
    ・ ライセンス

    ハードウェアにはPCやUSBメモリ、サーバーなどが含まれます。PC上にインストールされているソフトウェアを把握した上で、誰がいつどこでPCを利用しているのかの把握も重要です。

    また、ソフトウェアにはプログラムやデータなどが含まれます。ソフトウェアはバージョンが変更されることが多く、可視化されにくいため管理を忘れがちです。ソフトウェアの管理はIT資産管理ツールを活用するなど自動化することをおすすめします。

    前述のようにソフトウェアを利用する際はライセンスの規定に従わなければなりません。そのためには、どのPCにどのソフトウェアがインストールされているのか把握しておく必要があります

  • IT資産管理ツールのメリット5つ

    IT資産管理ツールのメリットとして下記の5つが挙げられます。

    ・ IT資産の一元管理
    ・ IT資産のコスト適正化
    ・ セキュリティ対策の強化
    ・ コンプライアンス遵守
    ・ 棚卸業務の負担軽減

    それぞれ詳しく見ていきましょう。

    IT資産の一元管理

    IT資産管理ではハードウェア、ソフトウェア、ライセンスを一元的に管理します。一元管理を行うことで、ライセンスの情報やソフトウェアの稼働状況について把握することも可能です。

    IT資産の管理を一元的に行うことで、運用の効率化や安全性、端末の適正化につながります。また、IT資産の管理を個人による管理から一元管理に切り替えることで、社内のIT資産のセキュリティ強度も均一にできます。

    IT資産のコスト適正化

    機器の利用状況を日頃から確認し、把握しておくことでコスト削減効果も。使われていないPCやソフトウェアライセンスをチェックし、それらを再割り当てなどすることで不必要なPCやライセンスの購入を回避できます。

    また、ライセンスの利用状況を把握しておくことでライセンスの追加購入時期を予想できるようになり、必要以上の購入を回避できます。

    セキュリティ対策の強化

    前述のようにPCにインストールされたOSやアプリケーションなどが古いバージョンだと、マルウェアによる攻撃などを受ける危険性が高まるので注意が必要です。IT資産管理をしっかりと行うことで、脆弱性が懸念されるPCを把握できるため迅速に対応できるようになります。

    その他にも、IT資産管理は不正防止にも効果的です。PC上の操作ログの取得や、定期的に監査を行っていることの周知は不正の抑止につながるでしょう。また、IT資産管理を徹底して行っていれば、不正ソフトウェアのインストールも防止できるでしょう。

    コンプライアンス遵守

    近年においてIT資産管理が注目されている理由の一つとして、コンプライアンスの遵守が挙げられます。多くの企業がコンプライアンス遵守に関する取り組みを実施し、利用実態の把握を正確に行うなど工夫しています。

    新型コロナウイルス感染対策をきっかけに、テレワークを導入している企業も少なくありません。IT資産を適切に管理することで、勤務状況をPCの稼働状況から見える化することもできるため、従業員のコンプライアンス遵守に役立ちます。

    棚卸業務の負担軽減

    IT資産を適切に管理するには棚卸業務を定期的に行わなければなりません。棚卸業務には手間も時間もかかるため、企業によっては従業員に負担を強いることになるでしょう。

    IT資産をIT資産管理ソフトに接続することで、稼働状況や使用状況についてソフト内の管理ファイルを台帳として利用できます。IT資産の運用がスムーズにできるようになるため、棚卸業務の負担軽減効果も期待できるでしょう。例えば、IT資産管理ソフトの活用で、IT資産の保有者や端末の使用者などを細かく管理できます。

  • おすすめのIT資産管理ツール7選

    ここではおすすめのIT資産管理ツールを7つ取り上げて紹介します。

    ・ SmartStageサービスデスク/株式会社クレオ
    ・ SKYSEA Client View/Sky株式会社
    ・ LANSCOPE オンプレミス版/エムオーテックス株式会社
    ・ System Support best1(SS1)/株式会社ディー・オー・エス
    ・ Asset View/株式会社ハンモック
    ・ MaLionCloud/株式会社インターコム
    ・ ISM CloudOne/クオリティソフト株式会社

    それぞれ詳しく見ていきましょう。

    SmartStageサービスデスク/株式会社クレオ

    SmartStageサービスデスクはITIL®に準拠しており、大手企業を中心に多くのIT部門で採用されているツールです。このツールを導入した企業の多くがシステム運用の改善やコスト削減を実感しています。

    SmartStageサービスデスクは柔軟性の高さも特徴です。各種業務プロセスの定義の変更や拡張を自由自在に行えます。また、このツールはセルフ導入が可能なユーザーフレンドリーツールとなっており、誰もが簡単に操作できます。

    出典:株式会社クレオ,ITサービス管理ツール「SmartStageサービスデスク」(参照日2022-10-29)

    SKYSEA Client View/Sky株式会社

    SKYSEA Client Viewは直感的な操作も可能なIT資産管理ツールです。資産情報の収集を自動で行うことができるため、作業の手間を最小限に抑えられます。

    また、IT資産管理に関する機能の充実度が高く、自社以外の製品と連携してソリューションを生み出すことができる他、Webサイトへの投稿といった違反行為の対策も徹底できます。

    それ以外にも、利用者の要望を考慮したアップデートが毎年行われているため、ITを取り巻く変化にも柔軟に対応できます。

    出典:Sky株式会社,テレワークの運用支援 SKYSEA Client View (参照日2022-10-29)

    LANSCOPE オンプレミス版/エムオーテックス株式会社

    LANSCOPE オンプレミス版はサイバーセキュリティやウイルス対策にも強いIT資産管理ツールです。導入実績も高く、上場企業4社に1社、金融機関の3社に1社において導入されています。

    このツールは直感的に操作できる他、収集した情報のレポート表示など便利な機能も多数搭載されています。また、メールやUSB経由でのデータ持ち出し操作を記録する機能も搭載されているため、情報漏洩の防止にも効果的です。

    出典:エムオーテックス株式会社,LANSCOPE エンドポイントマネージャー オンプレミス版(参照日2022-10-29)

    System Support best1(SS1)/株式会社ディー・オー・エス

    System Support best1はITreviewカテゴリーレポートのIT資産管理、およびログ管理(2022 Winter)で顧客満足度No.1を獲得したIT資産管理ツールです。

    System Support best1は時代の変化に応じてバージョンアップしているため、新しい法規制などにも対応できます。

    このツールを導入することで、自社で保有しているIT機器を一元管理できる他、ソフトウェアライセンス管理やセキュリティ対策、ヘルプデスクの業務効率化、ログ活用による業務可視化などにも活用できます。

    出典:株式会社ディー・オー・エス,IT資産管理ツール・ログ管理ソフトのSS1(参照日2022-10-29)

    Asset View/株式会社ハンモック

    Asset Viewは資産情報の収集はもちろん、組織の情報を守るのに最適なIT資産管理ツールです。クライアントPCの制御などを行える他、ウイルス感染やデータ流出、内部不正などを防止する機能が充実しています。

    また、このツールはオーダーメイド制となっているため、必要な機能やサービスのみを購入することもできるため無駄がありません。

    その他にも、ツールを容易に運用できる仕様となっており、使い勝手にも優れています。

    出典:株式会社ハンモック,IT資産管理ツール・情報資産管理ソフトなら『AssetView』(参照日2022-10-29)

    MaLionCloud/株式会社インターコム

    MaLionCloudはクラウド型のIT資産管理ツールです。テレワークにも適していることからも、多くの企業で利用されています。

    このツールは機械学習やデータベースなどさまざまなプログラムで構成されており、社内コンテンツ全般の総合的な管理が可能です。また、WindowsとMac端末の一元管理にも対応しています。

    その他にも、操作の監視機能や制限機能にも優れています。複数の台帳を結び付けることでIT資産のライフサイクルの把握も可能です。

    出典:株式会社インターコム,クラウド型IT資産管理+情報漏洩対策ツール MaLionCloud (参照日2022-10-29)

    ISM CloudOne/クオリティソフト株式会社

    ISM CloudOne は世界55カ国以上で利用されているIT資産管理ツールです。このツールを活用することで遠隔地のPCやスマートデバイスも一元管理できます。

    また、このツールには資産情報の収集を自動で行い、結果を詳細なレポートとして提示する機能も搭載されています。その他にも、フィルタリングの設定を行えば、IT資産の棚卸しも可能です。

    ISM CloudOne はセキュリティ対策にも優れており、リスクの把握をセキュリティ状況の可視化によって行えます。

    出典:クオリティソフト株式会社,ISM(アイエスエム)CloudOne | クラウド型IT資産管理ツール (参照日2022-10-29)

  • IT資産管理ツールは必要な機能で選ぶ

    企業のセキュリティに対する意識の向上やテレワークの普及などによって、IT資産管理を徹底して行うことの必要性がますます高まっています。IT資産管理を行うことで、コストカットやセキュリティ対策、コンプライアンスの遵守につながるはずです。

    とはいえ、社内にある膨大な量のIT資産を人間の手で一つずつ管理することは容易ではありません。また、従業員にIT資産の管理をそれぞれ委ねた場合、セキュリティの強度などを均一に保つことが難しくなります。

    そこでおすすめなのが、IT資産管理ツールの活用です。IT資産管理ツールにはさまざまな種類がありますので、自社に合ったツールを選択するようにしてください。