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2022.02.15
更新日:
2020.10.13
全2回 IoTの成否はIT・情報システム部門の活躍にかかっている 《連載:第1回》 IoTでIT/情シス部門の役割はこのように変わる
コロナ禍によるデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速、そして本格的な5G時代の到来を目前に、あらためてIoT(モノのインターネット)に注目が集まっています。現状は大企業による取り組みが目立つものの、システムの低コスト化も進んでおり、今後、中小企業にも裾野が拡大していくのは間違いないでしょう。
そのIoTの利用において重要なポジションを担うのがIT・情報システム部門です。今回はIoTの基本知識や活用事例、IT・情報システム部門が求められる役割などを2回に渡ってお届けします。
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全2回IoTの成否はIT・情報システム部門の活躍にかかっている
最低限知っておきたいIoTの基本知識
コロナ禍でリアル消費が低迷する中、あらためて注目を集めているのが、EC通販やD2C(Direct to Consumer)と呼ばれる、オンラインでダイレクトに消費者にアプローチするビジネスモデルです。 EC通販については全世代で利用が増えているという調査結果もあり、その背景として、これまで利用していなかった消費者が、ステイホーム中にその利便性に気付いたことが挙げられています。
まずはIoTについてご存じない方、言葉は聞いたことがあっても具体的なイメージがつかめていない方のために、基本的知識から紹介いたします。
IoTとは:
IoTとは「インターネット・オブ・シングス」の略称です。簡単に言うと、モノとインターネットを繋げ、モノに取り付けたセンサーなどから必要な情報やデータを取得したり、その場で自動的に処理を実行したりできるシステムを指します。
IoTの基本的なアーキテクチャ:
用途によって要素は異なりますが、基本的には、各種データを取得する「デバイス/センサー」、データ集約やデータ形式の変換を担当する「ゲートウェイ」、サーバーやネットワークの負荷を軽減するために機能を一部代行する「エッジ」、データ送信を行う「ネットワーク」、データの蓄積や分析を担う「サーバー(オンプレミス/クラウド)」などで構成されます。
IoTの特徴:
デバイスやセンサーの種類によって、多様なデータを取得できるのがIoTの大きな特徴です。人間の行動データやモノの稼働データはもちろんのこと、温度・湿度や音などの環境データ、人間の五感では感知できない電波や紫外線、さらにドローンを使えば空撮画像データも収集もできます。データの形式も、数値、テキスト、ID、画像、音声など、様々です。
IoTの活用法と効果:
企業におけるIoTの活用法は大きく分けて2種類。①製品・サービスに対しての活用と、②工場など生産現場のセキュリティ・業務改善のための活用です。やり方次第でどちらも大きな効果が見込めますが、特に①の場合は、売上やプロモーション・マーケティングの精度、顧客ロイヤリティなどの向上が期待できることもあり、よりビジネス上の成果に直結する活用法と言えます。
とはいえ当然ながら、ただIoTを導入するだけで、これらの効果が得られるわけではありません。
IT・情報システム部門が価値創出部門になる
IoTの利用において、用途に応じた最適なプラットフォーム選定や有効なデータを取得するためのインフラ構築が重要なのは言うまでもありません。しかし、仮にどんなに立派なシステムを構築しても、ただデータを蓄積するだけではビジネスの役には立ちません。
IoTによって利益を生み出し、企業の成長につなげるためには、有効なデータを取得することと併せて、データから「価値を創出する」ことが必要です。そして、データサイエンティストなどの専門的人材を確保できる企業は別にして、その役割を率先して担うべきなのがIT・情報システム部門なのです。
「データの高価値化」とは、より具体的に言うと「データを分析して課題を見つける」「データに意味づけをする」ということ。生の数値や情報を、経営層や業務部門の意思決定における判断材料となる形に変換する、と捉えても良いでしょう。つまり、IT・情報システム部門が生み出すデータの価値が、IoTを通じた商品・サービスの機能や品質の向上、ひいてはユーザーへの提供価値に影響するということです。
まったく新しいサービスや市場を創出することも可能です。特に現代のような、市場に商品が溢れ、機能・スペックだけでは差別化が難しい時代に求められているのが、「モノ」よりも「コト」=体験提供型サービス。モノよりコトと言えば、しばしば音楽配信サービスを開始したAppleが例に挙げられますが、IoTで取得したユーザーデータを活用してサービスビジネスを展開しているメーカーの事例もあります。
あるアメリカの家電メーカーではセンサー付きのIoT洗濯機を開発。毎日の水の使用量、洗濯量などのデータを収集し、使用した洗剤の量を算出して、なくなる前に新しい洗剤を届けるサービスを展開しています。
次回は他のIoT活用事例も見てみましょう。