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2022.02.15
更新日:
2019.12.23
全2回 RPAの導入と運用を成功させるために必要なこととは?成功事例から考える秘訣 《連載:第2回》 RPA運用を成功させるためにIT部門ができることとは?
業務効率化のツールであるRPAは実務部門がメインとなって導入するものと考えられがちですが、真の業務効率化を目指すためにはIT部門の協力が必須です。しかし、RPAの導入にあたり具体的にIT部門が果たすべき役割とは何なのでしょうか。
今回はRPAによって業務効率化に成功した企業の成功事例を紹介すると同時に、IT部門の役割についても具体的に解説していきます。
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全2回RPAの導入と運用を成功させるために必要なこととは?成功事例から考える秘訣
IT部門が主導でRPAを導入・運用すべし
まずはRPAの導入や運用にあたってIT部門はどのような役割を果たすべきなのか、4つのポイントを紹介します。
- システム化の定義付け
RPAによって業務を自動化するためには、具体的に何の作業を自動化させるのか定義付けを行う必要があります。普段から何気なく行っている作業であっても、細かい手順や確認作業、判断基準があるはずです。
細かい作業マニュアルがあればそれをもとにRPAのロボットを構築できますが、もしマニュアルがない場合は実務部門の担当者に作ってもらうか、作業内容を細かくヒアリングして整理する必要があります。
普段の業務を整理し、RPAとして活用するためのシステム化の定義付けにはIT部門の協力が不可欠であり、決して実務部門だけで対応できる内容ではありません。
- RPA運用基盤の整備
RPAはいきなり大きな規模でスタートすることはお勧めしません。まずは特定の部門や特定の作業のみを対象にしたスモールスタートで効果検証を行いながら、徐々に業務範囲を拡大していくのが現実的であり、効果も見込める方法です。
やがてRPAを全社に対応させ、本格的な業務効率化を図っていくためには運用基盤の整備が必要であり、IT部門の力が欠かせません。しかし、実務部門がいきなり大規模な業務にRPAを活用するのが難しいのと同様に、IT部門も初期の段階から大きな規模の導入となると負担が大きいものです。そのため、スモールスタートの段階からIT部門が主導してRPAを整備していく必要があります。
- ロボット開発担当者の育成
RPAを効果的に運用していくためには、部門ごとに業務に応じたロボットを作成できる開発担当者を設ける必要があります。まずはIT部門が主導でRPAの特性を正しく理解し、業務にRPAが活用できるか否かを判断できる人材を育成しなければなりません。
そのうえで、社内で複数のロボット開発を行う場合は、開発効率を上げるためにライブラリ化するなどの工夫も必要です。まずはIT部門が主要な機能ごとにライブラリ化を進めていき、それぞれの実務部門に使い方や活用事例を落とし込んでいくとスムーズでしょう。
- 障害対応の体制確保
重要な業務ほどRPAが障害を起こした際の体制を確保しておく必要があります。ロボットの再起動など基本的な操作は実務部門でも対応可能ですが、根本的な障害原因の特定など専門的な内容はIT部門でなければ対応できないケースがほとんどです。
RPAの効果的な運用事例
- 住友林業情報システムの運用事例
住友林業情報システムでは情報システム部門がRPA運用システムの基盤を整備し、RPAを全社に展開する足がかりを構築しました。
また、RPAを部門独自のルールで運用するのではなく、ロボット開発におけるモジュール化や実行する際のポータル画面活用など、全社共通のルールを設けることによってロボットの開発効率をアップさせることにも成功しています。
- 第一生命での運用事例
第一生命では実務部門からアンケートを取り、作業ボリュームが大きく定型的な作業を70件以上抽出しました。その中から優先度が高くRPAに適した4つの業務をIT部門が主導でロボット化し、実際の業務に活用しました。
一定の成果を挙げたことから、2018年度からはRPAの専門部署「RPA推進部」を新設し、社内ルールの制定から実際のロボット開発までを一手に引き受ける体制を構築しています。当然、この部署内にはIT部門出身者も多く在籍し、それぞれの担当者が専門的なスキルを発揮しています。
システム基盤の整備はIT部門が行うべき基本的な取り組みですが、住友林業情報システムの場合はさらにそこから一歩前進し、モジュール化によって実務部門が開発しやすい環境が整備されていることがわかります。従業員がRPAを使いこなすスキルを身に付けるために有効な取り組みであり、このような事例は今後も多くの企業に広がってくるのではないでしょうか。
また、このような成功事例をもとにRPAのコンサルティングや導入支援を新規ビジネスとして展開することも可能になります。IT部門の人材が不足している企業にとって、RPA導入のノウハウは今後高いニーズが見込まれると考えられます。