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2022.02.15
更新日:
2018.08.09
全2回 マルチクラウドの今、あるべきベンダーマネジメントの姿とは 《連載:第1回》 エコシステムサービス主流の今、最適なベンダーマネジメントとは
目まぐるしく進化する最新技術、クラウドサービスの進展などの変化に伴い、企業が取引するITベンダーも拡大・多様化しています。そうした中で自社に最適なシステム導入を行い、高い成果を収めるには、「ベンダーマネジメント」の実践が重要になってきます。まずは、この考え方がいまなぜ求められるかについて触れていきます。
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全2回マルチクラウドの今、あるべきベンダーマネジメントの姿とは
複雑化するベンダーマネジメント
欧米企業の多くはIT戦略の遂行に必要な人材のほとんどを社内に抱えて内製化する傾向が強いことが知られます。これに対して日本企業のIT人材の保有率は30%程度とも言われ、システム開発から運用、保守までライフサイクル全般にわたりITベンダーに大きく依存しています。
欧米型と日本型のどちらがよいのか、というのは一概には言えません。いずれにせよ、日本企業にとっては、どれだけ上手くITベンダーを使いこなすことができるかがITの活用力を左右することになります。その“最適解”を導くための取り組みがベンダーマネジメントです。しかしながら今、ベンダーマネジメントは大きな転換期を迎えています。
従来のITシステムは、オンプレミスでの構築・運用を基本としていました。また、それらのITシステムの管理責任や権限は情報システム部門に集中しており、全社としての中長期的なIT投資計画に基づき、長年の取引関係のあるITベンダーとの“あうんの呼吸”によって維持・拡張が行われてきました。
これに対して現在のITシステムの主流となりつつあるのはクラウドです。SaaS(Software as a Service)やPaaS(Platform as a Service)など、さまざまなクラウドベンダーが提供するITサービスの利用が加速しています。また、これらのITサービスについては情報システム部門に頼らず、ビジネス部門が独自に導入するケースも散見されます。
さらに新しい動きとして、クラウド上に誕生したエコシステムを通じて、サードパーティーやスタートアップ企業が開発したAIやIoT、ブロックチェーンなどの最新テクノロジーを導入するケースも増えてきました。
限られたベテラン担当者への依存から脱却
上記のように取引するITベンダーはどんどん拡大・多様化していますが、それにもかかわらず日本のユーザー企業側のベンダーマネジメントの取り組みは現状に即しておらず、遅れをとっていると言わざるを得ません。
従来のオンプレミスのITシステムの管理責任や権限は情報システム部門に集中していたと述べましたが、ベンダーマネジメントはその中でもごく一部のベテラン担当者に依存していたのが実情です。ベンダー選定からRFP(提案依頼書)の策定、見積もりの稟議、価格・契約交渉などのプロセスが複雑で、なおかつ会社ごとの“流儀”や“しきたり”があり、属人化している企業が少なくありません。さらに言えば、ITシステムごとにこのプロセスがサイロ化しているケースもあります。
結果として、担当者が相見積もりを取らずに毎回同じベンダーに発注していても見過ごされてしまう、ITシステムを横断した全体最適でベンダーが活用されていないなど、ITシステムの硬直化やコスト高騰を招いています。
しかし、これまでオンプレミスのITシステムのベンダーマネジメントを担ってきた団塊世代のベテラン担当者にもリタイアが迫っており、ある意味でこれは体制変革に向けた絶好のチャンスと見ることもできます。
マルチクラウド時代に向けて、いかなるベンダーマネジメントの体制を確立すべきか――。今後ますます取引が増えていくクラウドベンダーやスタートアップ企業、海外ベンダーなどは従来のような“あうんの呼吸”は通じないだけに、次の世代へのバトンタッチとあわせてベンダーマネジメントの在り方を考え直すべき時期を迎えています。