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2022.02.15
更新日:
2018.04.24
全2回 「働き方改革」に情シスはどう貢献できる?社内へ提案するIT施策のヒント 《連載:第2回》 IT部門が提案するべき、労務管理における「ITのチカラ」
働き方改革は、社内の一部が取り組むだけでは簡単に広がっていきません。IT部門からの提案もその推進の大きな原動力になりますが、その方法は無数にあります。前回の記事では効果のわかりやすいリモートワークに触れてみましたが、こうした単に直接的に柔軟性や効率性を上げるツールでなく、人事・総務部門を支えるような仕組みづくりも働き方改革にとっては重要になります。
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全2回「働き方改革」に情シスはどう貢献できる?社内へ提案するIT施策のヒント
人事・総務部門を支援する労務管理の提案
働き方改革を推進する上でIT部門が貢献できるものに、労務管理があります。特にテレワークを導入する場合には、同時に労務管理のための仕組みも見直す必要があります。
例えば、出勤・退勤をタイムカードで管理している場合、いわゆる「直行直帰」の扱いが難しいために、わざわざ打刻のためだけにオフィスへの立ち寄りを義務付けている企業があります。これはテレワークを利用していない企業にとっても、労働生産性を低下させる要因になります。そうした課題を解消するために、現在はスマートフォンに対応したクラウド勤怠管理システムが数多く登場しています。
こうしたシステムを導入し、スマートフォンをタップするだけで出勤・退勤を記録すれば、無駄な移動に時間を使うこともなくなります。外部からでも打刻ができるようになると、不正も懸念されますが、個人それぞれのスマートフォンに搭載されたGPS機能による位置情報を取得・登録できるサービスもあるので、虚偽やなりすましによる不正な打刻も防止できます。
最近は、テレワークを導入した際に問題になりがちな労務管理をチェックするクラウドサービスも登場し始めています。働き方改革では、長時間労働・時間外労働の是正が大きなテーマの1つですが、利便性の高いテレワーク環境を導入してしまうと労働時間外でも各種システムなど業務環境にアクセスすることができてしまい、逆に長時間労働を助長してしまうことにもなりかねません。
これは労務管理上好ましいことではなく、労働基準監督署でも監視の目を光らせています。そこでシステムの起動・終了時間、アクセス時間や操作内容をログに記録し、人事・総務部門の労務管理担当者が確認できるサービスを導入するわけです。こうした利便性の高いサービスが存在していることは、常日頃から情報収集にアンテナを張り巡らせているIT部門しか知らないことも多いので、人事・総務部門にとってもありがたい提案になるはずです。
もちろん、こうしたツールは、労働時間の可視化を容易にできるため、人事・総務だけでなく、経営層やマネージャー層など業務を管理する側にもメリットは大きいでしょう。
他にもたくさんある“ITのチカラ”
今回では、テレワークや労務管理に焦点を当てて働き方改革の推進に貢献する“ITのチカラ”を紹介してきました。もちろんこれだけでなく、ITを活用した働き方改革の施策は他にもたくさんあります。非効率だった業務を効率化するだけでも働き方改革につながるのです。
例えば、社内にSNSの仕組みを導入し、SNSのタイムラインを通じて報告業務を行うようにすれば、それだけでも無駄な作業時間を排除したり、業務指示や意思決定が迅速に行えるようになったりといった業務効率化の効果が見込めます。
また、業務部門が手作業で行っているコンピュータへの定型的な入力業務などは、業務プロセスを自動化するRPA(Robotic Process Automation)/RDA(Robotic Desktop Automation)ツールにより効率化できることがあります。さらにデジタル複合機(MFP=Multifunction Peripheral)とドキュメント管理システムを導入し、紙で管理していた文書・書類をペーパーレス化するとともに検索性を高めるだけでも業務効率化、ひいては働き方改革につながります。
ほかにも、直接的な働き方改革や生産性向上に結び付かなくても、ITを用い別の形を通じてそれを促進していくことも可能です。その1つは「タレントマネジメントシステム」です。これは従業員のスキルや評価などを可視化し、最適な人材配置や戦略に活用するためのものです。
ある社員がスキルや相性がマッチしないまま業務を行わせることは、会社としての生産性の観点からも人材確保の点からも悪影響を与えます。そこで人事評価と人材配置を最適化することで改善していけるのが、このシステムのメリットです。
もちろんこうしたシステムの導入は企業として例が多くなく、総務人事の扱う領域というよりも、経営・マネージャー層に有効なシステムです。そうした情報を知らない組織も多くあります。IT部門がシステム導入の際のアドバイスやフォローをすることで協力できれば、さらに組織としての生産性向上に寄与できるはずです。
ITは業務革新の大きな原動力になります。ただし最新技術を取り入れたり、これまでの業務スタイルとは一変するような仕組みを提案したりするだけがすべてではありません。むしろそうしたものは、社内の理解が得にくい場合もあります。身近な小さな作業のIT化など、他部門では改善策がわかりにくい部分、そうしたところにIT部門のアイデアが貢献できる可能性がまだ潜んでいます。
働き方改革を推進する企業は、どの会社でもこうした“ITのチカラ”によるIT部門からの提案を心待ちにしているのです。