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2024.10.08

 更新日:

2024.10.08

全2回 組織変革もサービス創出も実現——活発化する企業のデータ活用 《連載:第1回》 多様化するデータと社内向け活用事例

多様化するデータと社内向け活用事例

ビジネスにおけるデータの重要性が周知されてしばらく経ちますが、まだまだ上手く活用できていない企業は少なくありません。では反対に、既にデータを組織・ビジネスの変革や競争力強化につなげている企業は、実際どのように活用しているのでしょうか? 今回は国内企業の社内向け・社外向け、それぞれのデータ活用事例を紹介します。

どのようなデータが使われているのか

ビジネスでデータが重要視されるようになった理由としては、収集・分析できるデータの量と種類が従来に比べて圧倒的に増大したことが挙げられます。

その背景にあるのは、言うまでもなくインターネットの普及と情報技術の発展です。特に近年の、スマートフォンに代表されるデジタルデバイスの多様化や、モノとインターネットを繋ぐIoT機器の小型化・低コスト化は無視できません。また、分析面では、クラウド活用による計算環境の向上やAI(機械学習、ディープラーニング)の進化、さらにそれに伴ってテキストや画像、音声などの非構造化データを扱えるようになったことも大きなポイントと言えるでしょう。

こうした変化により、現在のビジネスでは、従来の顧客データやPOS(販売時点情報管理)データなどに加え、以下のような多様なデータが活用されるようになっています。

  • Web上の行動履歴(検索、閲覧、購買履歴など)
  • SNSの投稿文
  • 監視カメラが撮影した動画データ
  • 視線追跡データ(アイトラッキングデータ)
  • IoT機器から収集されるセンシングデータ
  • ウェアラブル端末で取得する生体情報(体温、心拍数、睡眠時間、消費カロリーなど)
  • 交通系ICカードに記録される乗降履歴
  • GPS(全地球測位システム)などで得られる位置情報・人流情報
  • 国や地方公共団体が提供するオープンデータ(国勢調査結果、交通・気象情報など)

さらに、種類の多様化とともに、その用途・目的も多岐にわたっています。まずは社内向けのデータ活用事例を紹介します。

人事業務における従業員データ活用事例

社内向けのデータ活用では、BPM(ビジネスプロセス・マネジメント)ツールやプロセスマイニングツールを用いた「業務プロセス最適化」、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールを用いた「意思決定の迅速化・効率化」など、主にバックオフィスでの活用が目立ちます。

また、まだまだ多くはないものの、人事業務にデータを活用している企業もあります。そのうちの1社が、大手電機メーカーの日立製作所株式会社。社員を人材ではなく「人財」と捉え、先進的な取り組みで働き方改革を推進している同社は、新卒採用活動に「ピープルアナリティクス(人財データ分析)」を取り入れています。

ピープルアナリティクスとは、従業員一人ひとりの属性データや、PCログやセンサーなどから取得する行動データなどを分析し、人材マネジメントにおける意思決定や施策実行に役立てる手法です。

新卒採用における同社の課題は、企業としてイノベーション創出を図るべく事業戦略の変革を進めている一方で、採用者の人財ポートフォリオについては従来とさほど変化が見られないことでした。そこで、適性検査などから得られた応募者や社員のデータを定量的に分析し、さらに社内のハイパフォーマーへのインタビューなどによる定性的なデータも加味して、あるべき人財ポートフォリオを設計していったのです。

併せて、今後の事業戦略に欠かせない「尖った」人財を採用するための人財要件の設計や、面接官に対するトレーニング、選考手順の大幅変更にも着手。その結果、応募者のタイプはほぼ同じでありながら,内定者の人財タイプの比率を大きく変えることに成功しました。

この取り組みによってピープルアナリティクスの効果を実感した同社は、その後社内に専門のラボを設立し、配置・配属のマッチングや生産性向上などを目的に従業員データを活用しています。

※参照:生産性向上と輝く一人ひとりを両立させるHRテック:データ分析がもたらす人事の新たな価値創造|株式会社日立製作所

製品検査における画像データ活用事例

バックオフィス以外でデータの活用が目立つのが工場です。例えば、関西のある大手老舗チーズメーカーでは、工場での最終製品検査の工程に不良製品の画像データを学習させたAIシステムを導入しています。

検査内容は、高温で溶かして型に流し込んだチーズが基準通りにアルミホイルで包装されているかどうか判定するというもの。以前は検査員が目視でおこなっていましたが、高い集中力を必要とするため負担が大きく、担当者の体調や熟練度によって精度が左右されるという課題も抱えていました。

システムは協力会社との共同開発で、不良製品画像の学習にはディープラーニング(深層学習)を活用。製造ラインを高速で流れてくる製品を1つずつ2台のカメラを使って検査し、AIが不良と判断した製品はエアーによって排除される仕組みになっています。

こうした自動化の取り組みにより、同工程の人員は6分の1に減少。大幅な省人化を実現しました。ちなみに画像データは、設備の異常検知や農作物の品質管理などにも活用されています。

次回の第2回記事では、マーケティングやサービス創出など、社外向けのデータ活用事例を紹介します。

全2回組織変革もサービス創出も実現——活発化する企業のデータ活用

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