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IT部門をビジネスクリエイティブ集団に

システムの安定稼働、コスト削減、コンプライアンス強化など、IT部門の「作業」は年々増加しています。
しかし、新規事業や新技術の立ち上げなど、企業力強化のうえで不可欠なものは、IT部門の「知恵」です。
IT部門がビジネスクリエイティブ集団に生まれ変わるためのヒントやトレンド情報をご提供いたします。

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2024.08.27

 更新日:

2024.08.27

全2回 2024年版:IT担当者なら知っておきたいトレンド・注目キーワード10選 《連載:第2回》 必見!2024年のITトレンド・注目キーワード〈後編〉

必見!2024年のITトレンド・注目キーワード〈後編〉

今回も引き続き、2024年注目のIT・デジタルに関するキーワードを5つ紹介します。

〈6〉AIエージェント

AIエージェントをひと言で表すと、「人間の代理として働くAI」。生成AIと同じくLLM(大規模言語モデル)を活用した技術ですが、生成AIのように細かい指示や質問を与える必要がなく、目的を合理的に達成するために自律的にタスクを設定して遂行することが可能です。

システム開発を始めさまざまな領域での活用が期待されているものの、現状ビジネスでの普及はまだまだこれからといったところです。とはいえ日本でも、少しずつAIエージェントの活用を謳ったサービスが登場しています。

例えば、求人サイトを運営するディップ株式会社は、2023年5月に対話型バイト探しサービス『dip AIエージェント』をリリース。従来の求人サイトではユーザーは大量の求人情報の中から検索して自分にマッチする仕事を探す必要がありましたが、同サービスではAIエージェントとチャットで対話を重ねながら最適な仕事を見つけることができます。

マッチング精度向上のために、ユーザーの行動データや、AIとの対話の中で蓄積されていく「顕在・潜在ニーズ」データを活用。仕事選びに関するやりとりだけでなく、面接のサポートや悩み相談、日常の雑談などにも対応可能ということです。

参照:【日本初】生成AIを活用した対話型バイト探しサービス「dip AIエージェント」開始|ディップ株式会社

〈7〉Web4.0

Web4.0は、2023年7月に欧州委員会(EUの行政執行機関)が打ち出したコンセプトです。同委員会のプレスリリース(※)によると、Web4.0は「現在開発中のWeb3(Web3.0)を越えて、デジタルと現実のオブジェクトや環境の統合、人間と機械の相互作用の強化を可能にする」もの。簡単に言うと、デジタル世界と現実世界の融合、人間と機械の共生を実現する第4世代のワールド・ワイド・ウェブ(WWW)ということになるでしょう。

Towards the next technological transition: Commission presents EU strategy to lead on Web 4.0 and virtual worlds|European Commission

Web4.0を実現するために用いられるのが、高度なAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)に加え、メタバース・XRなどの没入型技術。また、非中央集権型であることはユーザー主導のWeb3と変わらないため、ベースにはブロックチェーン技術が活用されるということです。

当然ながらWeb4.0の事例はまだ出てきていませんが、前出の欧州委員会のプレスリリースにはWeb4.0実現に向けた取り組みとして、現実の都市計画や都市管理に利用できる没入型都市環境『CitiVerse』と、医療において治療のサポートや意思決定のために仮想の人体を再現する『European Virtual Human Twin』という取り組みが紹介されています。

Web4.0の中核技術であるメタバースについては↓の記事で詳しく解説しています。

今のうちに押さえておきたい「メタバース」の基礎知識|SmartStage

〈8〉デジタルスレッド

デジタルスレッド(Digital Thread)は直訳すると「デジタルの糸」。その名の通り、さまざまなシステムで発生するデータを糸のように時系列に繋ぎ合わせ、リアルタイム分析や追跡(トレーサビリティ)を可能にする仕組みを指します。

特に製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)で注目されている技術で、設計や製造、サプライチェーン管理、販売、アフターサービスなど製品ライフサイクル全体の情報を、組織やプロセスの壁を越えて関係者全員が共有・活用するために活用されています。

デジタルスレッドを実現することで期待できるメリットは、柔軟性と機敏性を兼ね備えた生産計画・体制を構築できること。例えば、市場の変化に合わせたタイムリーな製品投入やサプライチェーンの最適化、製品の品質向上及びコスト削減につながる意思決定の実現が可能になります。

また、デジタルスレッドは、製造業や都市計画で導入されている「デジタルツイン」を構築するうえでも不可欠な技術の1つと言われています。デジタルツインの特徴は現実空間のモノや環境を仮想空間に再現して故障や不具合をシミュレーションできることですが、その際に製品ライフサイクル全体をリアルタイムにデータ化できるデジタルスレッドの機能が重要な役割を担うためです。

デジタルツインについては↓の記事で詳しく紹介しています。

デジタルツインとは|DX-labo

〈9〉Wi-Fi7

Wi-Fi 7はWi-Fi 6/6Eに次ぐ最新のWi-Fi規格です。規格名は「IEEE 802.11be」。2023年12月に総務省より電波法施行規則等の一部改正が発表され、国内での利用が可能になりました。既にパソコンやスマートフォンでは、Wi-Fi 7対応の機種が続々と登場しています。

Wi-Fi 7の大きな特徴は、これまでのWi-Fi規格よりも格段に通信速度が向上していること。総務省が公表した資料(※)によると、Wi-Fi 7の最大通信速度(理論値)は46Gbpsとなり、Wi-Fi 6/6Eの約4.8倍も速い数値を示しています。

IEEE 802.11be(Wi-Fi 7)の導入について|総務省

また同資料では、高速通信に加えて「従来は難しかった伝送遅延や信号伝送時間のズレや揺らぎによる映像・音声等の乱れの削減が見込まれ」るとも述べられており、想定されるユースケースとして、工場などにおける遠隔低遅延自制御遠隔監視、医療における高速データ伝送遠隔モニタといった、大容量かつリアルタイム性が要求される技術への活用が挙げられています。

〈10〉BaaS

BaaS(バース)は「Banking as a Service(サービスとしてのバンキング)」の略称で、従来は銀行が提供していた「預金」「貸出(融資)」「為替(決済)」といった機能を、API経由でクラウドサービスとして外部に提供する仕組みを指します。2018年6月に改正銀行法が施行され、金融機関にAPI公開の努力義務が課されるようになったことにより、新たなサービスが続々と登場しています。

銀行にとってBaaSを活用するメリットは、新規顧客の獲得やビジネスチャンスの拡大が期待できること。特に近年は、BaaS含むDX(デジタルトランスフォーメーション)の実現に向けてGoogleと提携した株式会社みずほファイナンシャルグループや、多種多様な企業へネットバンキング機能を備えたアプリを提供するアプリ基盤『&BANK』の開発を発表した株式会社三菱UFJ銀行など、メガバンクの動きも活発化しています。

参照:みずほフィナンシャルグループとGoogleのデジタルトランスフォーメーション分野における戦略的提携について|株式会社みずほファイナンシャルグループ

参照:「& BANK」の展開開始について|株式会社三菱UFJ銀行

一方、一般の民間企業にとっては、これまで提供することが難しかった金融サービスを、自社のアプリなどに組み込んで顧客に提供できることがメリットです。民間企業のBaaS活用事例としては、ヤマダデンキがデジタル会員向けに提供している銀行サービス『ヤマダNEOBANK』や、ファッションECサイト『ZOZOTOWN』の商品到着後に代金を支払える『ツケ払い』サービスなどが有名です。

以上、2024年のトレンド・注目キーワードを10個紹介してきました。これからのお仕事に活かせそうな技術やサービスなどがあれば幸いです!

※記事内に記載されている商品名、会社名は、各社の商標または登録商標です。

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