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2024.05.15

 更新日:

2024.05.14

全2回 もはや常識! DX時代のIT部門が押さえておきたい会計知識(基礎編) 《連載:第1回》 業務・基幹システムの構築・運用に役立つ会計知識

もはや常識! DX時代のIT部門が押さえておきたい会計知識(基礎編)業務・基幹システムの構築・運用に役立つ会計知識

情報技術者試験の出題範囲に含まれていることからもわかる通り、会計・財務リテラシーはIT部門の必須スキルです。しかし、「利益が上がっている=経営は順調」と思い込んでいる方や、「営業利益」と「経常利益」の違いを訊かれて即答できない方もまだまだ多いのではないでしょうか? そこで今回は、IT担当者として最低限知っておきたい初歩的な会計知識を紹介します。

IT部門に会計知識が求められる理由

会計とは、取引を記録し、収支や財政状態を関係者に報告する活動を指します。IT部門が会計知識を習得することで期待できる大きなメリットは次の2つです。

(1)会計システム及びその他システムの構築・運用に役立つ

当然ながら、会計知識があれば会計システムの構築・運用に役立ちます。ユーザーの要望・要件の吸い上げや、ベンダーとのやり取りなどもスムーズになるでしょう。近年は「会計知識不要」を謳ったクラウド会計システムも登場していますが、実務で使いこなすためには、ある程度の会計知識が必要なのが実情です。

また、会計知識が役立つのは会計システムに関する業務だけではありません。会計は企業の主要な業務とつながっており、他の業務システム系の開発においても会計システムとの連携を求められるケースが少なくないからです。それは基幹システムの構築においても変わりません。一般的に基幹システムは、販売管理、購買管理、在庫管理、生産管理、人事管理、会計システムで構成されますが、会計システムは他のシステム(業務システム)で発生した取引をデータとして記録する役割を担っており、それぞれのシステムとの連携が必要です。

(2)「経営に貢献するIT部門」への変革に役立つ

会計知識は開発・運用などの既存業務の質を向上させるだけでなく、IT部門がDX時代に相応しい部署へと変革するための大きな武器にもなります。例えば、決算書が読めるようになれば、自社の事業全体を高く広い視点で見ることができるようになりますし、同業他社の決算を通じて競合の経営状態や業界の動向などを知ることもできます。

何より会計は経営に直結するもの。経営層と近い目線で話ができるようになり、数字に裏打ちされた説得力のある提案も可能になるでしょう。「DX時代に相応しいIT部門」とは、IT・デジタルの力で自社の経営に貢献できる部署を意味します。会計知識は、IT部門がいわゆる「コストセンター」から、そうした「プロフィットセンター」へ変わっていくための必須の知識と言っても過言ではないのです。

続いて、会計システムの構築・運用に役立つ企業会計の基本的な知識や用語を紹介していきます。

会計システムの構築・運用に役立つ会計知識

会計システムには「管理会計システム」「財務会計システム」「債務・支払管理システム」といった種類がありますが(1つで3つの機能を備えたシステムもあります)、そのうち「管理会計」「財務管理」は、ともに企業会計の種類です。

●管理会計

経営層による意思決定や業績評価などを目的とした、社内向けの会計活動です。一般的には、データを集計し、原価や収益性の分析、最低限必要な売上高の算出、予実管理(予算と実績の比較)などをおこない、内部報告書を作成します。

●財務会計

株主や取引先、税務署、金融機関など、社外のステークホルダーへの報告を目的とした会計活動です。一年間を通じで会計帳簿に取引内容を記録し、それを基に法令に定められた書式で決算書を作成します。決算書については次回第2回目の記事で詳しく紹介します。

会計システムの基本的機能の一つが自動仕訳機能ですが、「仕訳」も重要な会計用語です。

●仕訳

事業者(企業や個人事業主)がおこなったすべての取引を帳簿に記載する作業を指します。記載の際に、それぞれの取引を貸借の「勘定科目」に分類します。

●勘定科目

取引内容をわかりやすく分類するために用いられる「見出し」のようなものです。一般的には「売上」「買掛金」「外注費」「通信費」「地代家賃」などの名称が用いられていますが、法的なルールはなく、自由に設定することも可能です。

勘定科目は「資産」「負債」「純資産」「費用」「収益」という5つの項目に分類されます。

  • 資産…現金、普通・当座預金、売掛金(後払いで貰える売上金額)、土地など
  • 負債…借入金、買掛金(後で支払う仕入金額)など
  • 費用…仕入、給与、地代家賃、広告宣伝費、通信費、消耗品費、外注費など
  • 収益…売上、営業外収益(預金の利息など本業以外で得た収益)など
  • 純資産…資本金、利益剰余金(内部留保)など

ちなみに、近年企業で導入が進んでいるサブスクリプション型のクラウドサービス使用料は、電話料金やインターネット回線使用料などが該当する「通信費」の勘定科目を使用するのが一般的です(「支払手数料」「クラウドサービス利用料」を使用するケースもあります)。

対して、買い切りモデルのインストール型ソフトウェアを購入した場合は、10万円未満なら費用の「消耗品」、10万円以上なら基本的に「無形固定資産」として計上します。無形固定資産とは「物理的な形態を持たないが、1年を超えて利用される資産」(※)を指し、「減価償却」の対象となります。

※出典:無形固定資産|財務省

●減価償却

資産の購入額を、資産が利用に耐える年数(耐用年数)にわたって、毎期の費用として配分して計上する会計処理のこと。耐用年数は資産ごとに法的に定められており、会計ソフトや勤怠管理ソフトなど、自社利用を目的としたソフトウェアは原則5年以内となっています。

仕訳でややこしいのが、取引内容の「借方」「貸方」への振り分けです。ここでは基礎ルールと簡単な例を紹介します。

●借方

資産や費用の増加、負債や純資産、収益の減少などを表します。

●貸方

負債や純資産、収益の増加、資産や費用の減少を表します。

例えば「100,000円(税込)の商品を売り、代金100,000円を受け取った」場合、売上という「収益」の増加を貸方に記載します。そして現金という「資産」の増加を借方に計上します。

例えば「100,000円(税込)の商品を売り、代金100,000円を受け取った」場合、売上という「収益」の増加を貸方に記載します。そして現金という「資産」の増加を借方に計上します。

「100,000円(税込)の商品を掛け(後日支払い)で仕入れた」場合は、仕入れによる費用の増加を借方に、後日支払い=買掛金による負債の増加を貸方に記載します。

「100,000円(税込)の商品を掛け(後日支払い)で仕入れた」場合は、仕入れによる費用の増加を借方に、後日支払い=買掛金による負債の増加を貸方に記載します。

次回の第2回目記事では、経営分析や提案などに役立つ決算書の基礎知識を紹介します。

全2回もはや常識! DX時代のIT部門が押さえておきたい会計知識(基礎編)

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