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IT部門をビジネスクリエイティブ集団に

システムの安定稼働、コスト削減、コンプライアンス強化など、IT部門の「作業」は年々増加しています。
しかし、新規事業や新技術の立ち上げなど、企業力強化のうえで不可欠なものは、IT部門の「知恵」です。
IT部門がビジネスクリエイティブ集団に生まれ変わるためのヒントやトレンド情報をご提供いたします。

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  • Tips

2024.04.03

 更新日:

2023.08.15

全2回 2023年版:IT担当者なら知っておきたいトレンドキーワード10選 《連載:第1回》 見逃し厳禁! 2023年に注目すべきIT・デジタルキーワード〈前編〉

2023年に注目すべきIT・デジタルキーワード〈前編〉

ビジネスにおいてIT・デジタルはとりわけ変化の激しい分野。次々と新たなトレンドや注目すべきテーマが生れています。とはいえ読者の中には日々の仕事に追われ、逐一把握できていないという方も多いでしょう。そこで今回は、2023年現在、IT担当者なら当然知っておきたい“旬”のキーワードを厳選して10個紹介します。

IoB

IoBは「Internet of Bodies(身体のインターネット)」、または「Internet of Behavior(振る舞い/行動のインターネット)」の略語です。いずれもヒトとインターネットを繋げる技術ですが、前者は身体(体温や心拍数、睡眠時間など)、後者は行動(位置情報、Web検索履歴、購入履歴など)にまつわるデータを取得・分析することで、ビジネスなどに活用する技術を指します。

まだまだ発展途上の技術ではあるものの、それぞれ以下のような形で活用されています。

・Internet of Bodies
スマートウォッチなどの「ウェアラブルデバイス」を用いて、健康状態を可視化したり、運動中の身体負荷の定量化したりするなど、主にヘルスケア分野での導入が進んでいます。

・Internet of Behavior
大手航空会社の全日本空輸株式会社(ANA)は、スマートフォンアプリからユーザーの日常の行動履歴を取得し、移動距離に基づいてポイントやマイルを提供する『ANA Pocket』というサービスを2021年から開始しています。同じくマーケティング分野では、店舗で来店客の顔画像を分析し、リピーターか否かを判定する「顔認証システム」もInternet of Behaviorに含まれます。

SAP2027年問題

ドイツSAP社のERP(統合基幹業務システム)、『SAP ERP6.0』の標準サポート期間が2027年末をもって終了することを指します。以前は2025年末での終了を予定しており、経済産業省が注意を促している「2025年の崖」の一つにも挙げられていましたが、その後2年延長することが発表されました。

なぜ一つの製品のサポート終了が“問題”とまで呼ばれるのかというと、ERPが企業の経営やIT戦略に関わる重要なツールであること、そして日本でおよそ2,000社が同製品を利用しているからです。まだまだ手を打っていない企業が少なくないようですが、SAP2027問題への対策としては下記の3つが考えられます。

〈1〉『SAP ERP6.0』を継続利用する

細かい条件はありますが、追加料金を支払えば2030年末までサポートを延長することができます

〈2〉他社のERP製品に切り替える

ゼロからシステムを選定・構築する必要があるため、相当の期間とコストを要することが予想されます

〈3〉より高機能の『SAP S/4HANA』に移行する

SAP社が推奨している対応策です。大手を中心に既に進めている企業もあるようです

FinOps(フィンオプス)

“Financial Operations(財務オペレーション)”の略語で、簡単に言うとクラウドのコストを最適化するための取り組みを指します。近年クラウドサービスの普及が進む一方で、「想定よりも支出が多い」「統制が効きにくい」といった問題を抱える企業が少なくないことから注目を集めるようになった概念です。

FinOps に決まったやり方はありませんが、Microsoftも加盟するアメリカの非営利団体「FinOps Foundation」では、下記3つのステップを繰り返しながら継続的に改善していくことを推奨しています。

「Inform(現状把握、可視化)」…現状の使用量・コストとその構造の可視化、課題の洗い出し

「Optimize(最適化)」…使用量・コスト両面で最適化できるケースを探り、改善指標を設定する

「Operate(実行、運用)」…指標達成のための策を考えて実行に移す

FinOpsを効果的に進めるポイントは、IT・財務・ビジネス部門が連携して進めていくこと。また、目的はコスト削減ではなく、あくまで費用対効果の最大化であることを共有しておくことも重要です。そうした理由から、FinOpsの指標には、ユニット(=ユーザー)単位でビジネスの投資採算性を評価する「ユニットエコノミクス」を用いることが一般的です。

EDR(Endpoint Detection and Response)

EDRは端末(エンドポイント)を守るセキュリティ対策及びソリューションを指します。ウイルス対策ソフトなど、これまでのエンドポイントセキュリティの主流だったEPP(Endpoint Protection Platform)との大きな違いは、EPPの目的が外部からの攻撃者の侵入をシャットアウトすることであるのに対して、EDRは「侵入は完全に防げない」ことを前提とし、侵入後の被害を最小限に抑えることにフォーカスしている点です。サイバー攻撃の巧妙化と、携帯デバイスの普及による感染経路の多様化に対応するための技術と言えるでしょう。

EDRの基本的な仕組みは、エンドポイントのログを常時取得し、マルウェアなどの脅威による不審な挙動を検知したらサーバー上で発生箇所や経路を特定し、セキュリティ管理者に通知するというもの。問題が解決するまで自動でネットワークを切断するといった、インシデント対応機能を持つシステムもあります。さらに近年は、AIを活用して未知の脅威を検知できるシステムや、エンドポイントだけでなく、クラウドサービスやメールシステムからもデータを収集できる「XDR(eXtended Detection and Response)」と呼ばれるソリューションも登場しています。

テスト自動化

「テスト自動化」自体は以前から知られている取り組みですが、短いサイクルで頻繁にアプリケーションのリリースを繰り返す「CI/CD (継続的インテグレーション/継続的デリバリー)」や「DevOps」といったアプローチが一般化して以来、その重要性はますます高まっています。

基本的な説明をしておくと、テスト自動化のテストは、ユニットテスト(小さな機能単位での動作検証)、結合テスト(機能連携の検証)、リグレッションテスト(機能変更による影響の検証)、エンドツーエンドテスト(UIテスト)といった、ソフトウェアのテストを指します。また、テストは「設計」「実装」「分析」「設計」など、いくつかのプロセスで構成されていますが、一般にテスト自動化では「実行」プロセスを自動化します。例えば単体テストの場合は、テスト対象のソースコードからテストコードを自動作成し、それを実行することでテストを自動実行します。

テスト自動化のメリットは、工数削減による効率化、人的ミス削減による品質向上など。最近はAIを活用した自動化ツールも登場しており、テスト対象のUI変更の際に発生するテストスクリプト(テスト手順)の修正作業もAIで自動化することが可能です。

今回はここまで。次回は残り5つ、最近話題の「生成AI」に関する技術も紹介します。

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SmartStage編集部

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