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2023.06.01

 更新日:

2023.01.17

全2回 アプリ・システム開発の新たな一手「ノーコード/ローコード開発」とは? 《連載:第1回》 いまノーコード/ローコード開発が注目を集めている理由

いまノーコード/ローコード開発が注目を集めている理由

“新しい開発手法”としてノーコード/ローコード開発が知られるようになったのは2010年頃のことですが、近年あらためてその注目度が増しています。今回はそんなノーコード/ローコード開発について、基礎知識から活用事例、課題などについて紹介します。

ノーコード/ローコード開発とは? 

ノーコード/ローコード開発をひと言で言うと、「開発のハードルを下げる手法」。それぞれ、ノーコード開発はソースコードをまったく記述せずに開発する手法、ローコード開発は必要最小限のソースコードで開発する手法を指します。

従来はゼロから開発するフルスクラッチ開発が一般的でしたが、ノーコード/ローコード開発専用のツールやプラットフォームが多数登場し、複雑なプログラミング知識やスキルを持っていなくてもアプリやWebサイトなどを開発することが可能になりました。ちなみにIT用語では、このような非エンジニアやエンドユーザーによるアプリ開発を「市民開発」、開発者を「市民開発者」とも呼びます。

ノーコードとローコードでは対象となる領域が異なります。ノーコード開発は主に申請ワークフローのような業務アプリ、Webサイト、データベースなど、小規模であまり複雑ではない開発が対象。一方、API連携も使えるローコード開発は、ノーコードよりも拡張性やカスタマイズ性に優れ、基幹システムなどの複雑な開発にも活用されています。

以前はこのようなノーコード/ローコード開発を一過性のトレンドと見る向きもあったようですが、民間企業だけでなく、官公庁や地方自治体でも導入が進んでいる現在、もはやそのような見方は的外れと言っても良いでしょう。例えば「都政DX(デジタル・トランスフォーメーション)」を推進している東京都では、都職員5,000人を対象に、5年をかけてIT基礎研修とノーコード/ローコードツールのワークショップ型研修を実施すると発表しています。まさに「デジタルの民主化」の時代になったと言えるでしょう。

では何故、現在これほどノーコード/ローコード開発は注目を集めているのでしょうか? 理由としてまず挙げられるのが、IT・デジタル人材の不足です。経済産業省が2019年に発表した調査結果によると、2030年には国内で最大約79万人もの人材が不足すると予測されており、非エンジニアでも開発に携わることのできるノーコード/ローコード開発は、その課題解決の一手として期待されているのです。

もうひとつの理由はDXの普及です。DXは企業が激しいビジネス環境の変化に迅速に対応していくための取り組み。システムやアプリケーション開発のスピードアップはあらゆる企業にとっての課題であり、フルスクラッチ開発よりもスピーディーに開発を進められるノーコード/ローコード開発に期待が集まるのは当然のことと言えるでしょう。また先述の通り、様々なツールやプラットフォームが導入しやすいクラウドサービスで提供されるようになっているのも大きなポイントです。

ノーコード/ローコード開発のメリットとツールの種類

ノーコード/ローコード開発を活用する大きなメリットは、ここまで述べた通り、複雑なプログラミング知識がなくてもアプリなどの開発ができること、そしてゼロから開発するより時間・コストを削減できることの2つです。

実際に、事業(ビジネス)部門の社員がノーコード開発ツールを活用し、わずか数日~数週間で業務効率化を実現するアプリを開発したという企業事例はもはや珍しくありません。開発知識が不要なのであれば、エンジニアよりも現場を熟知した社員のほうが、現場のニーズや課題に即したアプリを開発しやすいことは言うまでもないでしょう。

ノーコード/ローコード開発をひと言で言うと、「開発のハードルを下げる手法」。それぞれ、ノーコード開発はソースコードをまったく記述せずに開発する手法、ローコード開発は必要最小限のソースコードで開発する手法を指します。

また、これまで開発業務をベンダーに丸投げしていた企業であれば、自社のエンジニアにローコード開発を習得してもらい、IT内製化を促進させるという活用法も考えられます。開発のスピードアップだけでなく、外部との交渉や調整に要する手間と時間を省けるというメリットもあります。他にも、ノーコード/ローコード開発でMVP(Minimum Viable Product:必要最小限の機能を実装したプロダクト)を作成し、リーンスタートアップまたはアジャイル開発で新規事業や新サービス開発を迅速化するという手法もあります。

ノーコード/ローコード開発のツールやプラットフォームの種類は様々ですが、一般的なのはあらかじめ用意されたパーツやテンプレートをドラッグ&ドロップしてアプリを自動生成できるタイプです(GUIツール)。Power Pointでスライドを作成するような感覚で開発できるのが特徴です。

他にも、普段使用しているExcelデータを読み込むことで自動にアプリが生成できるノーコード開発プラットフォームや、要件定義からソースコードが自動生成され、コーディング作業を楽にしてくれるローコード開発ツールなどがあります。それぞれ代表的なものとしては、ノーコード開発向けは様々な手法でアプリを開発できるGoogleの『AppSheet(アップシート)』やECサイトを構築できる『Shopify(ショッピファイ)』、ローコード開発向けではMicrosoftの『Power Apps(パワーアップス)』が挙げられます。

ノーコード開発ツールは開発を「自動化」することから、同じく自動化のためのITツールであるRPA(Robotic Process Automation)と並べて紹介しているメディアもありますが、RPAは入力や計算、資料作成、メール送付などのパソコン定型業務を自動化するツールであり、厳密には目的が異なります。ただし、一般的なRPAはロボットへの指示をノーコード/ローコードでおこなえるため、近からず遠からずの関係と言って良いかもしれません。 

以上、ノーコード/ローコード開発の基本的な概要を説明してきました。次回の記事では、実際のノーコード/ローコード開発の活用事例を紹介します。

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