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2023.06.01

 更新日:

2022.12.13

全2回 DX時代の常識、ビジネスにおけるAPI活用のポイント 《連載:第1回》 活用前に知っておきたいAPIの基礎知識

活用前に知っておきたいAPIの基礎知識

クラウドやDX(デジタルトランスフォーメーション)のようにバズワード化することはないものの、現代のビジネスに必要不可欠な技術として常に注目を集めてきたAPI。開発などの専門領域にまで踏み込むと説明が膨大になってしまうため、今回はビジネスに活用する上で最低限知っておきたい基礎知識についてポイントを絞って紹介します。

APIとは?

最初にAPIの概要を紹介します。

■APIとは

API(Application Programming Interface)とは、簡単に言うと「異なるシステム間でアプリケーション(ソフトウェア)同士をシームレスにつなぐ接点・接続仕様」のこと。そのAPIを活用し、複数のコンピュータ(プログラム)で機能やデータを共有することを「API連携」と呼びます。

API連携の身近な例が、飲食店口コミサイトなどで目にする店舗アクセスマップです。そのほとんどがGoogle MAPのデータが利用できるAPIと連携されています。他には、ECサイトでお馴染みのクレジット決済機能にも決済代行会社が提供しているAPIが使われています。また近年は、DXの取り組みにおいて、社内でシステムごとに分散されているデータを統合する手段としてもAPIが注目を集めています。

■APIの種類

APIには様々な種類がありますが、現在はインターネット経由で利用できるWeb APIを指すケースが一般的です。また、Web APIにはいくつかの仕様があり、現在の主流はシンプルで汎用性の高いREST API(RESTful API)と呼ばれるAPIです。

Web APIは利用形態によって次の3つに分類されます。

・オープンAPI(パブリックAPI)

他の企業・個人が有償または無償で連携できるよう仕様などを公開しているWeb APIです。オープンAPIという呼称は金融機関のAPIに限る場合があります。

・パートナーAPI

特定の組織間で連携可能なWeb APIです。

・内部API(プライベートAPI)

同一組織内でのみ連携可能なWeb APIです。

■APIの仕組み

一般的なWeb APIの情報の流れを簡略化すると下図のようになります。

一般的なWeb APIの情報の流れ

利用者が端末のアプリケーションからサーバーに必要なデータをHTTPでリクエスト(要求)すると、レスポンス(返答・戻り値)としてデータのみが返ってくるというのが基本的な仕組みです。

レスポンスに用いられるデータのフォーマットはAPIによって異なりますが、人間が読みやすいHTMLではなく、プログラムが処理しやすいJSON(JavaScript Object Notation)やXML(Extensible Markup Language)形式を使用するのが一般的です。特に現在は、表記形式がシンプルで軽量なJSONが主流となっています。

ビジネスでのAPI連携のメリット

API連携をビジネスで活用するメリットは主に次の3つです。

■本来扱えなかったデータ・機能を利用できる

API利用者にとって最大のメリットと言っても過言でありません。先述のGoogle MAP APIなどのような自社にないデータ・機能を利用することで、Webサイトやサービスの質を向上させられますし、時に事業拡大を阻む要因ともなる自前主義からの脱却を促進することもできます。

また、社内用にAPIを開発し、部署やシステムごとに分散されていたデータを連携して横断的に利活用できるようにすれば、情報管理コストの削減や意思決定の精度向上につながります。近年はバックオフィス業務効率化のためのAPIも公開されており、例えば複数のECサイトを運営している場合、在庫管理向けのAPIを活用して複数チャネルの在庫・顧客情報を一括管理するといったことも可能です。

■ソフトウェア開発を効率化できる

ソフトウェア開発の際に必要な機能を公開している外部APIと連携することで、すべての機能を自前で作り込む手間が省けます。例えば、アプリケーションのユーザー認証機能にGoogleやFacebookなどが提供するAPIの認証機能を使えば、開発の高速化だけでなく、アプリのセキュリティレベル向上も期待できます。

APIは、現在のソフトウェア開発の主流であり、DX実現にも不可欠とされる「マイクロサービス」を支える中核技術でもあります。マイクロサービスとは、複数の小さなサービスを互いに独立して動作させ、単一のソフトウェアを構築する開発・運用アプローチのこと。このような疎結合の状態でサービス同士をつなぐために、API連携が活用されています。

■新規獲得・顧客体験向上などによるビジネス拡大が期待できる

API連携は、提供者・利用者の双方にビジネス上のメリットが期待できます。APIを提供する事業者のメリットとしては、利用者のアプリやサービスなどを通じて、新たなユーザー層にリーチできることが挙げられます。

他方、利用者は顧客体験(CX)やサービスの価値向上を図ることができますし、連携するAPIや活用方法を工夫すれば、新たなビジネスを創出することも可能です。あるいは対話アプリでお馴染みのLINE株式会社が提供しているAPIのような、ビジネス支援や課題解決を目的としたAPIを活用するという方法もあります。

次回2回目の記事では、実際にビジネスでAPI連携を活用している企業の事例を紹介します。

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