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2022.02.15
更新日:
2017.12.12
全6回 情シス業務を効果的に改善!いまこそ問われる、RPA利用の真価。 《連載:第5回》 失敗しないRPA導入のポイントとは――期待の裏に潜むその落とし穴と解決策【前編】
情報システム部門の運用管理をはじめ、ビジネス部門のさまざまな業務を自動化する「RPA(Robotics Process Automation)」は、深刻な人手不足に悩む企業、働き方改革を推進する企業の救世主となり得るツールです。しかし、安直な導入はリスクを生む可能性もゼロではありません。起こり得る問題点にはどのようなものがあるのか、どんな解決策が有効なのかを考えてみたいと思います。
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RPAの導入は問題点を理解して慎重に
RPAはこれまで人手によって行われていた業務を自動化する、ロボットの役割を果たすソフトウェア・ツールです。その特徴は、従来の自動化ツールに比べて適用範囲が広いこと、そして低コストで容易に導入できることです。そのため、企業のあらゆる業務のコスト削減、オペレーションミスの低減に役立つと期待されます。
RPAが得意なのは、プロセスやルールが固定化された定型業務はもちろん、これまで人の介在が必要だった例外対応、あるいは非定型業務も含まれます。将来的に人工知能(AI)/機械学習により自律的に業務を覚えていく機能が搭載されていくことも見込まれており、人手不足の解消や働き方改革の実現に大きく寄与することになるでしょう。
しかし一方で、RPAの導入には企業にとってリスクになる危険性を秘めた問題点も少なくありません。業務を自動化するということは、業務が人手を離れてシステムへの依存度を高めることになるからです。システムへの依存はもちろん悪いことでありませんが、人間の管理が追いつかなければそれは大きなリスクと化します。そのため、RPAを導入する際には、あらかじめ問題点とその解決策を理解したうえで慎重に進めなければなりません。
では、どのような問題点があるのでしょうか。そして、問題点に対し、どのような解決策が有効なのでしょうか。以下に5つの問題点と解決策を考えてみたいと思います。
問題点①:業務の変更に起因する誤動作
RPAの大きな特長の1つは、複数の業務システムが連携するプロセスを自動化できることです。最も注意しなければならないRPAの問題点は、この特長の裏返しです。
業務システムのプロセスは、その時々によって変更が発生します。最近は業務システムの一部にクラウド事業者が提供するSaaSを導入し、情報システム部門ではなくビジネス部門が運用管理を担当している場合があります。こうした運用管理の管轄部門が異なる複数の業務システムにまたがってRPAを導入する場合、ビジネス部門が実行したプロセスの変更内容がRPA側に適切に伝わらないと、RPAは正常な業務が行えず、誤動作を引き起こすおそれがあります。
RPAを新規導入する際には、自動化を適用するプロセスを棚卸しして、業務の流れを可視化するという作業を必ず実行します。これを導入時だけで済ませている場合、誤動作という問題点に直面する可能性が非常に高いのです。棚卸しして可視化したプロセスは、いずれ変更されるものだと想定し、変更情報を共有するための仕組みをあらかじめ用意しておくのです。
業務プロセスを変更する際にはRPA側も変更するというワークフローを構築し、変更が発生したときには業務システムとRPAの運用管理を担当する部門が協力して対処にあたり、再度テストを実行して本番に移行するという手続きをルール化するだけでも、こうした誤動作の発生を防止することができます。
問題点②:誤動作・誤処理の検知漏れ
上述したようにRPAを新規導入する際には業務の棚卸しと、業務の流れを可視化することが必要です。棚卸し作業の中で特に注意したいのは、エラーの発生も含んだ例外処理です。
例外処理の中にはRPAで自動化できるものもありますが、そうでなければ例外処理を切り分けて人手で処理することになります。この基準や判断が曖昧になっているなど、棚卸しの精度が低い場合には、RPAが誤動作・誤処理を起こし、それを検知できずに見逃してしまうという問題が起きるおそれがあります。
例外処理が多いプロセスの場合、通常の処理をRPAに任せ、例外処理を人手で処理するのか、RPAに処理させるのかは設計時の判断になります。しかし、いずれのケースであっても処理方法をドキュメントに明示しておく必要があります。
またRPAの誤動作・誤処理を検知するために、異常値やしきい値によってアラートを上げる仕組みも必ず用意しておきます。ドキュメントは、RPAで誤動作・誤処理が発生した場合に、どこまで手戻りして処理し直すのかも明確にしなければならないのです。
以上、RPA導入で気をつけるポイントとして、本編ではまず業務変更への対応と、誤動作・誤処理の扱いの観点から紹介しました。次回の記事で、RPA導入に潜む課題の残り3つを紹介していきたいと思います。