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  • 業務プロセス

2023.06.01

 更新日:

2022.06.28

全2回 実は重要課題! IT部門が知っておきたいマニュアル作成法 《連載:第2回》 意外と知られていない「読まれる」「役に立つ」マニュアル作成のポイント

意外と知られていない「読まれる」「役に立つ」マニュアル作成のポイント

前回は『「マニュアル」をナメるな!職場のミスの本当の原因』(中田亨著/光文社新書)という本を参考に、マニュアルの本来の目的や有害なマニュアルの特徴などを紹介しました。今回も引き続き同書の内容をもとに、“読まれる”“役に立つ”マニュアル作成のための手法やポイントを紹介していきます。

6つのポイント

●文字を目立たせるのは逆効果

色文字や傍点、波線などを使って、アピールしたい言葉を目立たせているマニュアルをよく目にしますが、著者によると逆効果。余計な文字装飾は書面全体をやかましくさせ、読み手の注意を拡散させてしまう恐れがあるからです。
視覚効果を上げるために意識すべきは、文字装飾よりもレイアウト。色や飾りがなくても重要ポイントが分かりやすい新聞・雑誌記事を参考に、見出しや段落、箇条書きを上手く使って、〈論点を整理〉して伝えることが効果的ということです。

●否定形を用いた文章は極力避ける

否定形を避けるべき理由は、読み手が文章の内容を頭の中でイメージしづらいという欠点があるからです。例えば、同じ「Aをする」という指示であっても、「スマートフォンでない場合はAをする」という指示よりも、「PCまたはタブレットの場合はAをする」という指示のほうが、状況を具体的にイメージしやすいのではないでしょうか。
否定形を使った文章は書き手にとって楽に書けるケースが多いため、ついつい多用してしまわないように意識しておきたいものです。

●直感的な言葉を選ぶ 

直感的な言葉とは、パッと見た瞬間に意味が伝わる言葉のこと。要は〈見る〉と書けば伝わるところに、わざわざ〈視認する〉などといった回りくどい言い回しは不要ということです。ちなみに著者は、〈漢語ではなく大和言葉を使う〉という言い方をしています。
誰しもビジネス文書となると肩に力が入って格調の高い言葉を選んでしまいがちですが、先程の否定形と同様、こちらも注意が必要です。

●「注意する」は禁句

マニュアルでは対面以上に曖昧な指示はNG。特に「注意する」「注意せよ」という指示は、具体的な行動を意味する訳ではないので、読み手は何をすべきか分からなくなります。
代わりに著者が推奨しているのは、「〇〇を指さし確認して、その数値を声に出して読め」というように〈具体的な行動に置き換える〉か、「〇〇を確認し、△△ならば××する」というように〈行動とセット〉で指示すること。曖昧で漠然とした指示は、書き手の責任回避とみなされる恐れもあります。

●ダブルチェックは有害

ダブルチェックはヒューマンエラー抑止策として一般的ですが、著者は効果がないどころか〈有害にすらなりうる〉とまで述べています。その理由は、複数人が関わることで〈責任感と緊張感が緩む〉こと、加えて〈同調バイアス〉が起こること。同調バイアスとは、2人目(2回目)の担当者が1人目(1回目)のチェックを正しいものと捉えてしまい、厳しくチェックできなくなってしまう傾向を指します。
著者がダブルチェックの代替策として推奨しているのは、節目での検査。もしどうしても2人での作業が必要な場合は、あえて検査結果に逆らう(反論する)人間を加えて〈同調バイアスを崩す〉ことが有効ということです。

●写真で見本を見せる

写真で見本を見せることのメリットの一つは、完成状態が分かりやすいこと。確かに個人的な経験としても、オフィスの棚が乱雑になった際、言葉で「〇〇の資料はここ、××はその隣」と説明するよりも、棚に下のような見本写真を貼ることで状況が劇的に改善したことがありました。

著者は〈百聞は一見にしかず、百文は見本にしかず〉、〈見本を真似るという行為は人間の性分に合っている〉と述べていますが、 とりわけ正確に伝えようとすればするほど指示が細かく長くになりそうな場合に有効な手法と言えるでしょう。

IT部門におけるマニュアル作成業務の重要性

以上、中には実際に自社で採用するのは難しいものもあったかもしれませんが、少なくとも今後のマニュアルの書き方や、既存のマニュアルを改めて見直す良い機会になったのではないでしょうか。書籍には他にも、〈フローチャートは使うな〉〈センス・オブ・コントロール(主導権感覚)を与える〉など、ユニークなポイントが具体例と併せて挙げられていますので、興味のある方はぜひ手に取って確かめてみてください。

マニュアルは単に何かを説明するための文書ではなく、その書き方・作り方ひとつで、担当者の仕事に対する姿勢や成果を変えるほど大きな影響力を持つもの。そういった意味でも、“読まれる”“役に立つ”マニュアルを作ることは、自社のビジネスに貢献できる“クリエイティブ”な部署を目指すIT部門にとって、システム導入などと変わらない重要課題であるという認識が必要かもしれません。

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SmartStage編集部

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