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  • 業務プロセス

2022.06.14

 更新日:

2022.06.14

全2回 実は重要課題! IT部門が知っておきたいマニュアル作成法 《連載:第1回》 「有害」なマニュアルと「読まれる」「役に立つ」マニュアルの違いとは

「マニュアルの効果的な書き方が分からない」「もっと活用されるマニュアルに改善したい」と悩んでいても、インターネットだけではなかなか役立つノウハウは見つからないもの。今回はそんなIT部門の方に向けて、参考となる書籍の内容をもとに、実践的なマニュアル作成のポイントを紹介します。

そのマニュアルは役に立っているか?

マニュアル作成はIT部門にとって必要不可欠な業務。新システムの操作手順書、障害対応マニュアル、さらに顧客やユーザー部門向け、新人教育用まで、作成すべき種類は多岐に渡りますし、マニュアル自体の価値も、特に対面の機会が減ったコロナ禍以降はますます重要性が高まっていると言われています。

とはいえ、それらのマニュアルは本当に“読まれている”でしょうか? もちろん完全にスルーされているなんていうことはありえないかもしれませんが、しかし胸を張って“役に立っている”と言い切れる方はどれだけいるのでしょうか?

2018年に“多くの消費者向け製品の取扱説明書は読まれていない”といった趣旨の論文がイグ・ノーベル文学賞を受賞して話題になりましたが、仕事で使用するマニュアルに関しても状況はそれほど変わりがないように思われます。個人的にもマニュアルに対して「堅苦しい」とか「分かりづらい」といったあまり良くないイメージを持っていますし、多くの場合「できれば読まずに済ませたい」というのが正直なところです。

もちろんそこには読み手の理解力不足や、「読まなくても分かるはず」といった慢心があるのかもしれません。しかし根本的な要因として、どうもマニュアル自体の書き方や作り方に問題があるような気がしてならないのです。

インターネットで「マニュアル作成 ポイント」などと検索してみると、様々なWebサイトで「要点を明確にする」「図解を入れる」「読み手を想定した文章を書く」など、沢山のコツやテクニックが紹介されています。確かにそれらは間違いではないでしょうし、実際に大切なポイントなのでしょう。しかし一方で、それらはあくまでマニュアルの“体裁を整える”ために最低限必要な要素であって、作業担当者に“読まれる”そして“役に立つ”マニュアルを作成するためには何となく不十分であるという印象が否めません。

では、“読まれる”“役に立つ”マニュアルとは具体的にどのようなものなのでしょうか。そしてそのようなマニュアルを作成するために本当に必要な要素とは何なのでしょうか?

今回は『「マニュアル」をナメるな!』(中田亨著/光文社新書)という本を参照しながら解説していきます。

「マニュアル」をナメるな!(中田亨著/光文社新書)

有害なマニュアルとは

本書は特別IT部門に向けて書かれた本という訳ではありませんが、汎用性が高く、手順書から教育用まで様々なマニュアル作りに生かせる内容となっています。著者は20年以上にわたって人間のミスの研究を続けている研究者。中央大学大学院客員教授や内閣府消費者安全調査委員会専門委員などを務め、様々な企業から相談を受ける中で、多くのミスの要因がマニュアルの欠陥にあることを発見したそうです。

そんな著者曰く、世の中には〈ダメ〉どころか〈読むだけ時間の無駄〉、さらには〈有害〉〈邪悪〉なマニュアルが溢れているとのこと。そしてそのようなマニュアルは、大抵次の5つのいずれかのタイプに大別されるということです。

  • 〈仕方なく作ったマニュアル〉
  • 〈責任回避手段としてのマニュアル〉
  • 〈判断を奪うためのマニュアル〉
  • 〈門前払いのためのマニュアル〉
  • 〈すでに存在しているという理由だけで使われ続けているマニュアル〉

それぞれ具体例を挙げて説明していきましょう。まず〈仕方なく作ったマニュアル〉とは、法律や規則の要請に従うためにやっつけで作ったようなマニュアルのこと。例として、ソフトウェアベンダーの開発担当者が作ったマニュアルに見られるような、画面のキャプチャ画像を何の工夫もなく貼りつけただけの説明書が挙げられています。2つ目の〈責任回避手段としてのマニュアル〉は、ミス再発防止策として取り繕いのためだけに作られるマニュアルや、事故が起きた際の逃げ道用に作成されたマニュアルを指します。特に前者については身に覚えのある方も多いのではないでしょうか。

ユニークなのが次の〈判断を奪うためのマニュアル〉です。具体的には事細かに指示を盛り込んだ説明過剰なマニュアルを指しますが、著者は、仮にそれで作業の品質が安定したとしても、企業にとっては決して良いことではないと言い切っています。なぜなら、作業者がマニュアルに書いていないことはしない、マニュアルにない事態が発生してもスルーするといった、事なかれ主義がはびこる恐れがあるからです。

次の〈門前払いのためのマニュアル〉もそれに似ています。ここでの門前払いとは、従業員が新しい仕事や、担当がはっきりしない、いわゆる“隙間の仕事”を避けるようになる事態を指します。説明過剰なマニュアルが増えると発生しやすい事態ですが、デジタルトランスフォーメーションのような新しい取り組みを目指す企業にとってはまさに有害と言えるでしょう。 最後の〈すでに存在しているという理由だけで使われ続けているマニュアル〉は言葉通りの意味。先程の〈責任回避のためのマニュアル〉と同様、耳の痛い方も多いでしょう。

では反対に正しいマニュアル、ここで言う“読まれる”“役に立つ”マニュアルとはどのようなものなのでしょうか?

著者によると、マニュアルの目的は〈マニュアルがなければできない作業を、安全かつ効率的な手順に沿って、分かりやすく誘導すること〉。そのためには、〈読み手の判断を奪うためのものではなく、読み手に自主的な責任感を持つよう促すもの〉でなければならないということです。 単に〈分かりやすく〉ではなく〈分かりやすく誘導する〉、そして〈読み手に自主的な責任感を持つよう促す〉といったあたりが、他にない独自の特長と言えるでしょう。

次回は、そのようなマニュアルを作成するためのコツやテクニックを紹介します。

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SmartStage編集部

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