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2022.02.15
更新日:
2017.11.27
全6回 情シス業務を効果的に改善!いまこそ問われる、RPA利用の真価。 《連載:第4回》 業務負荷とオペレーションミスを大幅削減――RPAで自動化できるシステム運用管理業務とは?【後編】
前回の記事では、RPAの適用ケースについて一例を紹介しました。社員が入社すると、システムのアカウント設定作業など、細々とした手間が増えがちです。適用できる領域はそれだけではなく、あらゆる活用シーンが考えられます。
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業務負荷とオペレーションミスを削減
RPAを利用すれば、人事・総務部門が入力した情報がそのまま人事・給与マスター、勤怠管理システム、入退室管理システム、認証システム、各業務アプリケーション、メール、グループウェアなどに連動して反映され、ユーザー登録やアカウント発行が自動的に、かつ瞬時に完了する、ということも実現可能です。
営業管理システムやメール/グループウェア、オフィスアプリケーションなどのクラウドサービスを利用していても大丈夫です。
情報システム部門の作業は、各システムへの反映を「承認」することと、ロボットが実行する業務のワークフローを作成し管理することだけです。業務負荷を大幅に削減するだけでなく、人手によるオペレーションミスが発生する心配もありません。
上記のようなユーザー登録・変更関連でいえば、社員の退職によるユーザーアカウントの削除、パスワードの連続入力ミスによるアカウントロックの解除、人事異動に伴う権限の変更といった業務プロセスの自動化にもRPAは有効になるでしょう。これにより、例えば退社した社員が残っていたユーザーIDを利用して会社の機密情報を持ち出すという情報漏えい事件も未然に防止できることになります。
また、大量のクライアントPCを効率的に管理するのにもRPAは役に立ちます。OS/アプリケーションのアップデートやセキュリティパッチの適用、ネットワーク関連の設定変更、クライアントPCのローカルディスクに保存されているデータのバックアップや削除など、さまざまな業務プロセスに活用できます。
従来の運用管理ソフトウェアが備えているジョブスケジューラやRBAと組み合わせ、それらの機能を強化するという使い方もできるでしょう。データベース管理者が手作業で行っているコマンドライン操作やSQL文の発行、異なるシステム間のデータ移行や変換なども、RPAのロボットは簡単にこなしてくれます。
情報システム以外の業務にも活用できる
RPAは、運用管理業務以外で利用できるのも大きなメリットです。例えば、開発業務では複数台のクライアント端末やサーバーの負荷テストを実施したり、ソースコード管理ツールやテストツールと連携してアプリケーション開発の品質管理プロセスを強化したりといった使い方も可能です。
さらに情報システム部門だけでなく、ビジネス部門でもRPAの導入効果は大きいでしょう。例えば、マーケティング部門のマーケティングオートメーションツール、営業部門の営業管理ツール、コンタクトセンターの顧客管理システムと連携させるのです。Webやメール、展示会などで入手した見込み顧客の情報をコンタクトセンターに転送し、センターのテレアポ部隊が電話によるプリセールスとアポ取りを行って、確度の高い見込み顧客の情報だけを営業部門へ送るという業務のワークフローを自動化します。
もちろん、シームレスな連携の仕組みを実現できる顧客管理/営業管理システムは多数存在します。しかし、それを利用するには新しいシステムへ乗り換えなくてはいけません。場合によっては、連携性を確保するために、システムの入れ替えが大掛かりなものになってしまう可能性もあります。しかしRPAならば、既存のシステムをそのまま利用しながら自動的に連携できるのです。
ここまで大掛かりでないにしても、マーケティング部門が担当する自社Webサイトの管理にRPAを活用し、膨大なページのリンク切れ、登録したファイルの漏れなどを瞬時にチェックするような仕組みに使ってもよいでしょう。
RPA製品は導入も手軽
RPAの魅力は、とにかくあらゆる業務プロセスを自動化できることにあります。しかし、現時点におけるRPAのロボットは基本的にルールベースで実行されるので、業務ワークフローの入念な作り込みを実施することが必要です。そのための一時的な手間は避けられません。
ですが、それを乗り切ってしまえば、情報システム部門をはじめ、RPAを適用するビジネス部門の業務プロセスの負荷は大幅に軽減しますし、作業の属人性が排除されて正確性が増すのは間違いありません。
RPAのツールの中には、1アカウントから導入でき、月額料が比較的安価に設定された製品も提供されています。さらに将来は、AI(人工知能)や機械学習の機能が取り入れられ、RPAのロボットが“より賢くなる”ことも予想できます。
運用管理業務を改善し、情報システム部門の業務効率化と生産性向上を図りたいと考えているのであれば、できる限り早期にRPAを導入してみるとよいでしょう。