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2022.02.15
更新日:
2017.10.31
全6回 情シス業務を効果的に改善!いまこそ問われる、RPA利用の真価。 《連載:第2回》 RPAで変わる近未来のシステム運用管理――業務の自動化がIT部門を変える。【後編】
前回の記事では、運用管理業務の負荷軽減に、ランブックオートメーション(RBA:Run Book Automation)が有効になることを解説しました。しかし、これだけですべての企業の運用管理の課題を解決できるとは限りません。
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RBAは有効だが課題も残る
実際RBAは、必ずしも広く普及しているとは言えません。その原因は、そもそも業務が属人的で、手順が標準化されていないケースが多いことにあります。そのためRBAによる業務の自動化を実施するには、まず現状の運用管理業務を棚卸しして操作手順を標準化するところから始めなければいけません。しかし、この棚卸しと標準化の作業は非常に多くの工数がかかります。日々の業務が多忙な担当者にとって優先順位が低い作業なので、なかなか先に進まないのです。
そこでRBA機能を提供するシステム運用管理ソフトウェアベンダーの多くが提案しているのが、部分的な自動化です。標準化されていない操作手順をわざわざ棚卸しするところから始めるのではなく、よくある業務を選別して自動化してみようという考え方です。これにより、自動化する手順やその効果を少しずつ測定し、将来的に自動化の範囲を拡大していくのです。
異なるシステム間の連携も簡単な「RPA」の可能性
ただし、RBAには課題もあります。業務を自動化するワークフローを作成する際に、システム運用管理ソフトウェアとは異なるアプリケーション、ツールで実行する業務をシームレスに連携させるのは難しいということです。
通常は、該当するアプリケーションやツールのAPIを使うか、データのやり取りが可能な別のツールを導入し、連携の仕組みを構築する必要があります。また連携の仕組みを構築しても、アプリケーションやツールのバージョンアップによって修正や作り直しが発生するなど、結局運用の手間が増えてしまう可能性もあるのです。
異なるシステム間の一連の操作を、APIなどを介さずに容易に連携を行う――このような課題を解決するために、最近登場してきたのが「ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA:Robotic Process Automation)」です。
現行システムのまま導入できるメリット
RPAは、ロボットが業務プロセスを自動化する機能であり、情報システム部門のシステム運用管理に限らず、ビジネス部門にも適用できるものとして近年注目を集めています。ロボットといっても産業用ロボットやヒューマノイド・ロボットとは違い、業務を人に代わって実行する機能を備えたソフトウェアのロボットです。
RPAの最大の特長と言えるのは、すでに使用している現行のアプリケーションやツールの変更が不要ということです。例えば、画面に表示された特定の文字列をコピーし、別のツールを自動的に起動して貼り付けるといった、人が行っている画面操作のオペレーションをロボットがそのまま同じように実行するのです。
現時点におけるRPAは基本的にルールベースで実行されます。RBAと大きな違いはなく、同じように自動化する業務のワークフローを作成し、それを基に実際の作業をロボットが行うことになりますが、システム間連携の容易さや、導入コストの安さなどからもRPAが注目されています。
運用管理業務の切り札となるAI
しかし、RPAの理論自体は従来からありそうな考え方ですが、これがなぜ今注目されるのでしょうか。RPAが注目される理由は、ある技術によってさらなる機能拡張の可能性を秘めているからです。それはAI(人工知能)です。RBAもRPAも人の判断が必要になるプロセスは自動化が難しく、最後は結局人間の作業として残ることが多いのも事実です。さまざまな要素を総合的に判断しなければならないような複雑な業務を自動化しようとすると、パターンが多すぎてそのための処理を作成する手間やコストがかかりすぎるからです。
そうした人の判断が必要なプロセスを自動化するために期待されているのが、AIです。ロボットが機械学習によって複雑なパターンの業務プロセスをみずから学習し、その蓄積を基にAIが人に代わって判断を下すのです。
AIを組み込んだRPAの実用化はすでに始まっています。今の段階では、例えばヘルプデスクへの問い合わせに対し、問い合わせ内容の自然言語解析を行って、該当する回答に近いものを提示するといった人の判断を支援するような使い方が中心です。それが将来的には、システム障害のインシデントに対し、物理的な部品交換といった人の作業が必要になる部分以外のほとんどを自動化できる可能性があります。
AIを備えたRPAが一般化すれば、今の情報システム部門が行っている運用管理業務は劇的に変わることになるでしょう。業務負荷は大きく軽減し、慢性的な人手不足も解消できます。そして情報システム部門の担当者は、本来取り組むべき企業のIT戦略立案などの業務に注力できるようになります。AI搭載のRPAはまさに、情報システム部門の課題を根本から解決する切り札となり得るのです。
「AI搭載のRPA」は近い将来、システム運用業務のあり方を劇的に変えるでしょう。その前準備のためにも、ルーチンワーク(アカウントの登録変更やIT資産管理、各種申請業務)の自動化など、RPAを利用した繁雑な業務プロセスの自動化から着手してみてはいかがでしょう。