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システムの安定稼働、コスト削減、コンプライアンス強化など、IT部門の「作業」は年々増加しています。
しかし、新規事業や新技術の立ち上げなど、企業力強化のうえで不可欠なものは、IT部門の「知恵」です。
IT部門がビジネスクリエイティブ集団に生まれ変わるためのヒントやトレンド情報をご提供いたします。

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  • 業務プロセス

2022.02.15

 更新日:

2021.07.13

全2回 DX時代のIT部門に求められる“2つの視点” 《連載:第1回》 新規事業提案やシステム導入に役立つ「ビジネスモデル視点」

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術によってビジネスや組織を変革する取り組みのこと。ついに日本でも本格的なDX時代が始まりつつある現在、自社がDXを推進するか否かに関わらず、IT部門はこれまで以上に企業成長に貢献する働きを求められるでしょう。今回はそんなIT部門担当者が身に付けておきたい2つの視点、「ビジネスモデル視点」と「経営者視点」について紹介します。

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全2回DX時代のIT部門に求められる“2つの視点”

ビジネスモデルとは何か

ビジネスモデルとは、簡単に言うと「利益を上げる仕組み」や「顧客に価値を提供し続けるための事業構造」を指します。今や市場は飽和状態。どんなに商品・サービスが優れていても、それだけで「売れる=ビジネスで勝てる」わけではありません。時代によって消費者の購買行動も変化します。同じ商品でも、流通チャネルや販売チャネルが違うだけで利益は大きく上下します。そうした状況でも安定して成長を見込める仕組みがビジネスモデル。ビジネスではしばしば「ビジネス=商品・サービス×ビジネスモデル」と言われますが、それほど重要なものなのです。

ビジネスモデルについての定番書籍であり、多くの企業で利用されている『ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書 』(アレックス・オスターワルダー、イヴ・ピニュール著/翔泳社)には、ビジネスモデルを構成する要素として以下の9つが挙げられています。

①顧客セグメント:ターゲットとする顧客層
②価値提案:商品・サービス、顧客価値(メリット・ベネフィット)
③チャネル:販売チャネル、ターゲットへのリーチ手法
④顧客との関係:メルマガやアフターフォローなど、顧客との関係構築方法
⑤収益の流れ:利益を得るためのアクションやポイント
⑥経営資源:事業を運営するのに必要なリソース
⑦主要活動:企業がメインで行わなければならない活動
⑧パートナー:事業パートナーやサプライヤー
⑨コスト構造:事業を運営するために必要なコスト

これらの要素を考慮しながらビジネスの仕組みを考えていくのですが、ただし、文字情報だけでは要素間の関係性や全体像が理解しづらいため、ビジネスモデルを共有する際は図解が使用するのが一般的です。例えば、民泊ビジネスで注目を集めているAirbnbのビジネスモデルは次のように表すことができます(今回は説明をわかりやすくするためシンプル化しています)。

Airbnbの顧客セグメントは、旅行先などで安く宿泊したい人(ゲスト)と一時的に部屋や家を貸し出したい人(ホスト)。チャネルは自社サイトです。顧客のサイト使用料は無料ですが、ゲストが支払う宿泊料からの手数料がAirbnbの収益になります。

ゲストが得られる価値はホテルなどの商業施設を利用するより安い料金で宿泊できること。ホストには使用していない物件を有効活用できるという価値があります。さらにサイト上にホスト・ゲスト両方の評価(レビュー)を掲載することで、双方が安心して利用できる仕組みにもなっています。

こうした個人間や企業・個人でモノを共有するビジネスモデルは「シェアリング(サービス)」と呼ばれ、近年世界中で市場規模を拡大しています。日本でもトヨタの自動車シェアリングサービスの他、オフィス、駐車場、服、傘、上司(!)など、様々なシェアリングサービスが盛り上がっています。

代表的なビジネスモデル例

ビジネスモデルは戦略や売り方のオペ―レーション、収益モデルなどによってパターン化されており、知識として知っていると、DXにおける新規事業のアイデア提案や効果的なシステム導入に役立ちます。以下、代表的なものをいくつか紹介します。

〈消耗品モデル〉
よく知られているのは、事務機器メーカーがプリンター本体ではなく、その後のインクカートリッジなどの”消耗品”販売で収益を上げる仕組みです。成功のポイントは、割引やリースで本体の導入ハードルを下げ、消耗品を利益率の高い形で販売すること。ネスレの「ネスカフェ アンバサダー」というコーヒーメーカー無料レンタルサービスも同じモデルです。

〈サブスクリプション〉
小売りモデルのような売切り型ではなく、定額制や従量制などの継続課金で収益を上げる仕組みです。SaaSやコンサルティングのような企業向けサービスから、Netflixなどの配信サービス、さらに通販、自動車、居酒屋など、幅広く活用されています。顧客価値は初期費用を抑えられ、手頃な料金で利用できること。企業側にも収益が安定する、将来のキャッシュフローが予測しやすいといったメリットがあります。ただし成功させるためには、商品の質だけでなく、顧客に長く利用してもらうための関係性構築(エンゲージメント向上)が必須です。

〈アズ・ア・サービス〉
商品をモノとしてではなく、サービスとして提供するビジネスを指します。有名な事例は、建築用工具製造・販売会社ヒルティによる、IoTを活用した企業向け工具管理サービス。ユーザー企業の工具探しや紛失にまつわるコストを圧倒的に低減するという顧客価値を提供して成長を続けています。

〈フリーミアム〉
無料(フリー)の商品・サービスで多くの見込み客を集め、割増料金(プレミアム)が必要な付加価値サービスを提供することで収益を上げる仕組みです。一定以上の容量を使用するためには課金が必要なDropbox、記事の一部や一定期間だけ記事が無料で読めるWebメディアなど、利益率の高いインターネットサービスで多く活用されています。

〈代行〉
古くは家事代行や運転代行などが知られていましたが、インターネット普及以降、給与前払い代行、退職代行など、新しいサービスが続々と登場しています。飲食店と配達パートナーのマッチングビジネスであるUber Eatsも、ユーザーから見れば買い物代行サービスと言っても良いでしょう。多くは手数料を収益としていますが、サブスクリプション展開しているサービスもあります。

その他、Amazon.comやIKEAで有名になった、豊富な品揃えで顧客の細かいニーズに応える「ロングテール」もよく知られているビジネスモデルです。また、フランス料理の概念を打ち破って「立ち食いフレンチ」という形態を確立した「俺のフレンチ」のように、これからも新たなビジネスモデルは生まれていくでしょう。

とはいえ、どんなに良くできたビジネスモデルも、それだけでは設計図に過ぎません。実際に事業を立ち上げて成功に導くためには、組織作りや意思決定などのスキルが必要です。そのような事業を成功に導くために、IT部門担当者に必要なもう一つの視点、「経営者視点」いついて第2回の記事で紹介します。

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SmartStage編集部

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