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しかし、新規事業や新技術の立ち上げなど、企業力強化のうえで不可欠なものは、IT部門の「知恵」です。
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  • 業務プロセス

2022.02.15

 更新日:

2020.09.23

全2回 いまIT担当者が知っておきたいマーケティング知識 《連載:第2回》 いかにしてIT部門とマーケティング部門は連携すべきか?

IT部門とマーケティング部門は連携

前回はIT部門がマーケティング知識を身に付ける必要性とメリットを中心に紹介しましたが、後半となる今回は、IT担当者が最低限知っておきたい基本的なマーケティング用語について説明します。 用語を知ることで、マーケティングを成功させるためにはどんな取り組みが必要で、何に意識すべきかを知ることができ、実際にマーケティング部門と連携する際に役立ちます。最後に他社でのIT部門とマーケティング部門の連携事例も紹介していますので、ぜひ自社でもお役立てください。

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全2回いまIT担当者が知っておきたいマーケティング知識

マーケティングの基本を理解するための用語解説

前回もお伝えした通り、マーケティングの範囲は幅広く、基本レベルの用語だけでもこの限られたスペースで網羅することは不可能です。ここでは、最重要指標や近年注目を集めている施策を紹介することで、マーケティングの成功に必要なポイントや基本的な考え方の理解につながればと思います。

『LTV(Life Time Value)』

LTVとは「顧客生涯価値」を意味する言葉で、具体的には1人の顧客(B to Bの場合は1社)が売り手にもたらした利益(価値)の総計を指します。マーケティングにおける最重要指標であり、この数値(全体平均)を最大化することがマーケティングの目標と言っても過言ではありません。

算出方法は業種やビジネスモデルによって異なりますが、もっともシンプルな式が「顧客単価 × 利益率 × 購入回数」。例えばAという顧客が、B社の月額定額制で1ヵ月2,000円(利益率50%)のサービスを1年間利用した場合、顧客AのLTVは12,000円となります。

『CS(カスタマーサクセス)』

そのLTVを最大化するための施策を総称してCSと呼びます。ここで言う「サクセス」とは、自社の商品・サービスを通じて顧客が得られるメリットを最大化すること。それによって『顧客ロイヤリティ(商品や企業に対する信頼・愛情)』を醸成し、長く関係性を維持しようという戦略です。

例えば、顧客一人ひとりの属性やサービス利用歴に応じてメールなどでアドバイスを送ったり、自動応答できるチャットポッドツールを活用して顧客からの問い合わせに即対応できる体制を構築したりするのも一例。B to BではCSではなく『CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネージメント:顧客関係管理』という言葉を使うことが一般的ですが、どちらも顧客データに基づいてパーソナライズにアプローチすることが重要であることは変わりません。

もちろんサポートだけでなく、キャンペーンなどを実施して『クロスセル(併売)』『アップセル(ワンランク上の商品販売)』促進を行い、客単価アップも図ります。顧客対応の品質向上や商品のアップデートなど、『CX(カスタマー・エクスペリエンス:顧客体験)』の向上も欠かせません。

『購買意思決定プロセスモデル』

消費者が商品・サービスの購買に至るまでの心理・行動プロセスを理解することで、効果的なマーケティング施策を打つことができます。ただし、当然ながらそのプロセスは時代によって変容します。特にインターネット普及以前の、テレビCMを中心としたマス広告全盛時代に用いられていたのが、『AIDMA(アイドマ)』というモデルでした。

AIDMAとは、「Attention(注目)」「Interest(興味)」「Desire(欲求)」「Memory(記憶)」「Action(購入)」の頭文字を取ったもの。最初の顧客接点である広告で、いかに多くの人びとの注目を集め、興味を喚起し、購買欲求をかき立てることを重要視していたかがわかるモデルです。

とはいえ時代は移り変わり、いまやインターネット広告費がテレビ広告費を抜く時代。とりわけスマートフォンが普及して以降、目立つのがSNSの影響力です。そんな時代性を反映したモデルが『ULSSAS(ウルサス)』です。

ULSSASは、「UGC(ユーザー投稿コンテンツ)」「Like(いいね)」「Search1(SNS検索)」「Search2(Google・Yahoo!検索)」「Action(購買)」「Spread(拡散)」の頭文字を並べたもの。広告ではなくユーザー投稿コンテンツが認知のきっかけになっているところが現代的です。マーケティング的には、最後の「拡散」を想定して施策を講じることも重要です。

早期の連携が市場への大きなインパクトにつながる

以上、マーケティング用語を紹介してきましたが、では実際にIT部門がマーケティング部門と協業・連携するには、どのような方法があるのでしょうか? MA(マーケティングオートメーション)ツールのようなITツールを導入するのも、その一つでしょう。MAツールは自社のマーケティング活動を「自動化」「見える化」してくれるITツールですが、セキュリティ面をIT部門が担当することで連携を図ることができます。

ただし、そのような連携だけでは、従来の両部門の関係性とあまり違いはありません。会社の売上にインパクトを与えるほどの変化を目指すのであれば、マーケティング部門の業務にダイレクトに貢献するか、より部門横断的な連携が求められます。 MAツールの導入検討はもとより、様々なITを活用した方法がありますが、より自社のビジネスモデルにフィットしたソリューションを利用するためには、IT部門の知識は必要不可欠です。

例えばD2CやEC通販企業であれば、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入して、ネット上の自社商品の口コミ収集や、競合サイトの価格調査、あるいはWeb広告のレポート作成を自動化することができます。特に広告レポートの作成は手作業で行うと非常に時間がかかり、なおかつ数字間違いなどのミスが許されない重要な業務でもあるので、非常に貢献度が高いと言えるでしょう。

両部門が連携することで、新たなビジネスが誕生した事例もあります。ある大手レコード会社ではデータのサイロ化(分散化・縦割り化)という課題を解決するためにマーケターとエンジニアの混合チームを立ち上げ、データ集約&分析ツールを導入。社内にデータドリブンの文化を浸透させた結果、現在はプラットフォーム上でタレントやインフルエンサーらをワンストップでキャスティングできるサービスを提供しています。

とはいえ、海外に比べると、まだまだ国内の事例は少ないのが実情です。様々な課題が想定されますが、業務にスピード感や俊敏性を求めるマーケティング部門と、安全性や慎重さを重視するIT部門の齟齬もそのひとつでしょう。もちろん、一朝一夕に解決できる問題でないかもしれませんが、もし現在一般的なウォーターフォールモデルの開発手法を採用しているのであれば、思い切って臨機応変に対応しやすいアジャイル型に変えてみるのも一手です。

事例が少ないということは、言い換えるなら、早期に取り組むことで市場に大きなインパクト与えられる可能性も高いということです。この記事が、水と油を混ぜることのできる界面活性剤のような役割を果たし、あなたの会社でIT部門とマーケティング部門が連携するきっかけになれば幸いです。

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SmartStage編集部

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