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2022.02.15
更新日:
2019.08.06
全4回 2025年の崖を乗り越えるために、これから企業が打つべき手は何か 《連載:第3回》 「開発」の観点から考える戦略的IT部門への転換
2025年の崖を乗り越えるには、真のデジタルトランスフォーメーションが必要です。前回ではそのための基本的な指針について触れましたが、ここでは「開発」という点に注目して、情報システム部門が持つべき姿勢について考えてみたいと思います。
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全4回2025年の崖を乗り越えるために、これから企業が打つべき手は何か
自社内で開発のスキルやノウハウが重視されなかった理由
デジタルトランスフォーメーションを起こすには、課題解決に有効な最新技術を取り入れ、システムインテグレーションをしていかなければいけません。しかし、現状ではIT投資の面でも組織体制の面でもそれを最適な形で行いにくい状況になっています。
以前、本コラムにて指摘したように、日本企業のIT投資の大半が運用に充てられています。運用といえばまだ聞こえがいいのですが、その費用の実態はハードウェアやソフトウェアパッケージのリース費または減価償却費、スクラッチ開発した業務アプリケーションの改修・メンテナンス費、外部サービスの利用料、設置スペース費、光熱費、人件費などの維持管理費です。
日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の年次レポート「企業IT動向調査」における2018年度の調査結果を見ても、維持管理費が77.5%を占めており、新規開発に投じられているのは残りの22.5%しかありません。
IT部門にとっての最大のミッションは、約5年のサイクルで訪れる各システムの更改を無事に成し遂げることにあるといっても過言ではありません。また、そのサイクルを繰り返す長期的な取り組みの中で特定のSIベンダーと深い関係性が築かれているのが通常です。
新規にシステムを構築する場合も、そうした自社の業務やニーズを熟知したSIベンダーに依頼すればなんとかなることから、自社内で開発スキルやノウハウを磨いていくことはあまり重要視されてこなかったのです。
運用人材にも開発的な視点を持つことが必須となる
誤解を招かないように付け加えると、ユーザー企業とSIベンダーが緊密にタッグを組んだ現状の体制そのものを否定するわけでも、問題であるわけでもありません。ITを専業とするSIベンダーだからこそ、最新のテクノロジーや開発手法のトレンド、ライバル企業を含めた業界全体のIT活用の動向など、幅広い情報を入手しており、それに基づいた提案を受けられるメリットがあります。
また、必要なシステムのすべてを内製できるようにするならば、現実問題として既存の体制では必ず限界が来ますし、人材の採用や育成も欠かせません。それには巨額のコストと時間を費やしてしまうことになります。
そもそも優秀なITエンジニアは、世界的な規模で不足しています。これまでほとんどシステム開発を行ってこなかったユーザー企業が、その熾烈なリクルーティング競争に今から参戦しても、なかなか太刀打ちできません。
そんなリスクを背負ってまですべての企業がシステム開発を内製化する必要はなく、「餅は餅屋」という言葉もあるように、SIベンダーとタッグを組むことは、ある意味で合理的な判断です。
問題となるのは、開発への意識の欠如です。ユーザー企業のIT部門も開発的な視点を持つことは絶対に必要です。自身が手を動かして開発をしなくとも、自社が提供者の立場としてサービスやソリューションを社内に向けて提供しているという意識(サービスマネジメント)を持つことが、新たな改革を起こしていく第一歩です。
自ら開発を行わずともその意識を持つことは必要です。その理由は、ビジネスを取り巻くIT環境の変化のスピードがますます加速していることです。常にアップデートする意識がなければ、構築または導入したシステムがすぐに陳腐化してしまい、それに対して「運用でカバーする」という発想に陥ってしまいます。それを食い止めるにはユーザー視点を持ち、そのシステムを改善していかなければならないのです。