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2026.03.10
更新日:
2026.03.10
全2回 現状を変えたいIT部門のための“正しい目標設定”フレームワーク 《連載:第1回》 成果につながる目標はこう作る──「SMART」フレームワーク活用法

いまやIT・デジタルの使い方が企業の競争力を左右する時代。その中核を担うIT部門には、従来のような“システムのお守り役”にとどまらず、自社のビジネス成長を支え、時には牽引する“経営のパートナー”へと進化していくことが求められています。
そのために必要な取り組みを挙げると、事業のスピードと柔軟性を支えるIT基盤の構築、データを活用した意思決定支援、さらにはビジネスと組織のあり方を根本から変えるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進など、多岐にわたります。
しかし現実には、日々の保守・運用やトラブル対応に追われ、メンバーそれぞれが「変わらなくては」と頭では理解していながらも、なかなか具体的な一歩を踏み出せないIT部門は少なくありません。
目標は「立て方」が重要
こうした「変わりたくても変れない」状況を抜け出すには、ITツールを導入して業務を効率化するだけでは不十分です。それと並行して必要になるのが、部門全体、あるいはメンバー一人ひとりが「どこを目指すのか」「何を優先するのか」を明確にすること、すなわち目標の設定です。
もっとも、目標は掲げただけで自然に機能するものではありません。実際、多くの組織では、せっかく目標を設定しても、メンバーの行動が以前と変わらなかったり、いつの間にか意識されなくなったりと、成果につながらないまま終わってしまうケースが後を絶ちません。目標には、現場の行動を変える効果的な目標と、そうでない目標とがあるのです。
効果的な目標を設定するには、ゼロから考えるよりも、ノウハウやベストプラクティスを“型”として体系化したフレームワークの活用が近道です。そこで今回の記事では、IT部門の進化を後押しする代表的な目標設定・管理フレームワークを紹介します。第1回で取り上げるのは、その中でもスタンダードとして広く知られている「SMART」です。
効果的な目標設定に欠かせないSMART
SMARTは、効果的な目標に不可欠とされる「Specific(具体的)」、「Measurable(測定可能)」、「Achievable(達成可能)」、「Relevant(関連性)」、「Time-bound(期限が明確)」という5つの要素の頭文字を取った目標設定のフレームワークです。
1981年にアメリカの経営コンサルタントであるジョージ・T・ドラン(George T. Doran)氏が論文で発表して以来、国内外の多くの企業や組織で活用されています。
SMARTの5つの要素
SMARTは、目標を考えたりブラッシュアップしたりする際のチェックリストとして活用することができます。次のように、設定した目標が5つの要素をすべて満たしているか、それぞれの質問に答える形で確認していきます。
・Specific(具体的)
何を達成するのか、どの領域を強化・改善するのかが明確か?
・Measurable(測定可能)
指標やデータを用いて、定量的に進捗・成果を把握できるか?
・Achievable(達成可能)
目標達成に必要なスキルや人員、予算などのリソースは揃っているか?
・Relevant(関連性)
企業や事業といった、より大きな目的・戦略と結びついているか?
・Time-bound(期限が明確)
いつまでに達成するのか、明確な期限が設定されているか?
SMARTで重視されるのは、具体的で達成可能な、実行につながりやすい目標を設定することです。SMARTにはいくつかのバリエーションがあり、Achievable の代わりに「Assignable(誰がおこなうのか明確か?)」、Relevant の代わりに「Realistic(現実的に達成可能か?)」を用いるケースもありますが、いずれも具体性や実行性を重視する点は共通しています。
ただし、SMARTに沿って目標設定すれば、それだけで現場の行動が変わるわけではありません。目標を設定した後は、具体的なアクションプランを策定し、日々の業務に組み込むなど、目標達成までの道筋を明確にすることが大切です。
さらに、定期的に進捗を評価する機会や、メンバーの行動やアプローチを改善する機会を設けることも欠かせません。こうした取り組みはそれぞれ「評価(Evaluated)」「見直し(Reviewed)」と呼ばれ、SMARTに追加してSMATERという目標設定・管理のフレームワークとしてまとめられることもあります。
次回の第2回目記事では、SMARTとは異なるアプローチで目標を設定する、もう一つの代表的なフレームワークを紹介します。



