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2026.01.19
更新日:
2026.01.06
全2回 2026年版:IT部門なら知っておきたいトレンド・注目キーワード10選 《連載:第1回》 IT部門“変革”のヒントに! 2026年のITトレンド・注目キーワード10選〈前編〉

時代を表すキーワードが「VUCA(変動性/不確実性/複雑性/曖昧性)」から「BANI(脆弱/不安/非線形/不可解)」へと変わりつつあることが象徴するように、ビジネス環境はますます先行き不透明感を増しています。
そこで今年も『SmartStage』では、IT部門が新年のスタートに注目しておきたいトレンドやノウハウ、最新技術などを10個紹介します。2026年、IT部門が“経営のパートナー”として変革していくためのヒントが見つかるかもしれません。是非チェックしてみてください!
〈1〉次世代型ヘルプデスク
次世代型ヘルプデスクとは、生成AIなどの最新技術を活用したヘルプデスク向けのツールやシステムを指します。従来型のツールでは人手に頼っていたプロセスを自動化し、より迅速で質の高いサポートを実現することがメリットです。
次世代型ヘルプデスクの代表的なツールが、生成AIチャットボットです。従来型チャットボットが事前登録された回答しか提示することができなかったのに対し、生成AIチャットボットは大規模言語モデル(LLM)により、問い合わせ内容に応じた回答を自然な文章で自動生成することができます。
また、システム運用を効率化するITサービスマネジメント(ITSM)ツールにも、生成AIを活用してヘルプデスク業務を自動化できる製品が登場しています。特に、次のようなユーザーの自己解決をサポートする機能が注目されています。
・FAQ自動作成機能
インシデント対応済みのチケット(記録)の内容をAIが分析し、FAQ(よくある質問とその回答) の草案を自動作成
・セマンティック検索機能
ユーザーの「曖昧な質問」に対しても、過去のチケットやナレッジをもとに、AIが文脈と意図を正確に理解して最適な情報を提示
〈2〉データレスクライアント
データレスクライアントは、業務で利用するデータをクライアント端末(PCなど)に保存せず、全てクラウドや社内サーバーで一元管理する仕組みを指します。専用のソフトウェアをインストールして実行し、端末ではデータへのアクセスと処理のみをおこないます。
セキュリティ面では、作業終了後は端末にデータが残らないため、端末の紛失・盗難や内部不正による情報漏えいリスクを大幅に減らせることが大きなメリットです。操作性は通常の端末利用と変わらず、インターネットに接続すれば社外からでも利用できることから、ハイブリッドワークでの業務効率化とセキュリティ向上を両立させる手法として注目を集めています。
近い手法として、コロナ禍でのリモートワークで普及したVDI(デスクトップ仮想化)がありますが、VDIは通信環境への依存度が高く、端末の処理能力を活用できるデータレスクライアントのほうがパフォーマンス面では優れているとされています。また、VDIよりコストと運用負荷を抑えられる点もIT部門にとっては大きなメリットです。
〈3〉メタスキル
一般にビジネススキルは次の3つに分類されます。
・ハードスキル:特定業務に関する専門知識や技術的なスキル
・ソフトスキル:リーダーシップや協調性など対人関係に関するスキル
・メタスキル:新しい知識や技術を効率的に習得・活用できるスキル
AIを始めとしたテクノロジーによる自動化・標準化が進むと、専門スキル“だけ”での差別化が難しくなります。そうした中でソフトスキルと並んで重要視されているのがメタスキルです。メタスキルには問題の発見・解決に関わる能力も含まれ、その土台としてロジカルシンキング、システム思考、クリティカルシンキング、読解力などが重視されます。
IT人材がメタスキルを身に付けることで、環境変化や新技術への適応力が高まり、従来の専門領域を超え価値提供も可能になります。ただし、メタスキルはいわゆる経験知のため、座学だけでは習得が難しく、実践や訓練の中で繰り返し時間をかけて培っていくことが必要です。
〈4〉LotL戦術(Living Off The Land)
近年、サイバー攻撃のステルス(隠密)化が進んでいますが、その代表的な手法の一つがLotL戦術です。日本語では「環境寄生型戦術」や「システム内寄生戦術」などと呼ばれています。
LotL戦術の特徴は、従来のマルウェア(悪意のあるソフトウェア)を使った脅威とは異なり、標的のOSやネットワークに標準装備されている正規の機能やツールを悪用し、情報窃取などをおこなう点です。そのため、システム上では業務上の正常な動作との区別が付きにくく、一般的なセキュリティツールでは検知が極めて困難です。
既に日本国内でも被害が確認されており、2025年にはある企業がLotL戦術による攻撃を受け、400万件超のアカウント情報が漏洩した可能性があると発表しています。侵入経路として、社内ネットワークとインターネットの境界に設置されるセキュリティ機器やVPNの脆弱性が狙われることが多く、それらの脆弱性管理や機器の状態確認、ログ監視の徹底が重要になります。
〈5〉MCP(Model Context Protocol)
MCPは、生成AIと社内外のシステムとの連携を標準化するプロトコル(共通のルール)です。生成AI『Claude』の開発で知られる米Anthropic社が2024年11月にオープンソースとして発表し、その後OpenAIやGoogleなどの大手AI企業が続々と採用し始めたことにより、急速に普及が進んでいます。
従来、社内データベースやアプリケーションと、大規模言語モデル(LLM)を使ったAIアプリケーションを連携させるには、個別にAPI開発などの対応が必要でした。しかしMCPを活用すれば、単一のインターフェースで効率的に組み合わせることができ、生成AIの回答精度の向上やAIエージェントの機能拡張をスムーズに実現できます。こうした利便性から、MCPは1本のケーブルでデータ転送、電力供給、映像出力をおこなえるUSBポートに例えられることもあります。
日本企業でも、MCPを活用して生成AIと社内データベースやCRM(顧客関係管理)などの業務システムを連携させる取り組みが広がりつつあります。また、2025年11月には国土交通省が、国土交通データプラットフォームのデータを自然言語による対話形式で検索・取得できるMCPサーバーを無償公開(※)しています。
※AIを用いた自然言語による対話形式で、国土交通データプラットフォームからデータ検索・取得が可能に!|国土交通データプラットフォーム
ここまでで気になるキーワードは見つかりましたか? 残り5つは第2回記事で紹介します!



