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2025.12.20
更新日:
2025.12.23
全2回 【ITチームのリーダー必読】成果を最大化するチームビルディング実践ノウハウ 今すぐ使える!チームビルディング向けフレームワーク

チームビルディングが最初から順調にいくことはほとんどありません。特に慣れないうちは、さまざまな局面で「何から手を付けたら良いかわからない」「問題の本質が見えない」といった壁にぶつかることも多いでしょう。
そんな時に役立つのが、チームの状況を客観的に診断し、次に取るべき行動を明確にしてくれるフレームワークです。今回は、チームビルディングで広く活用されている代表的なフレームワークを2つ、その具体的な活用法とともに紹介します。
最適な課題解決策がわかる「タックマンモデル」
チームを成功へと導くために、リーダーは常にチームの”現在地”を正確に把握しておくことが求められます。そのための有効な指針となるのが、1960年代にアメリカの心理学者ブルース・W・タックマンが提唱した「タックマンモデル」というフレームワークです。
タックマンモデルでは、チームの成長を次の5つのステップで捉えます。
タックマンモデル
・形成期(Forming)
メンバーが初めて集まり、それぞれの目的や役割、関係性が曖昧な段階
・混乱期(Storming)
メンバー間での考え方や価値観の違いが表面化し、摩擦や対立が起こる段階
・統一期(Norming)
チームのルールやメンバーの信頼関係が形成され、一体感が強まる段階
・機能期(Performing)
チームが効率的に機能し、高いパフォーマンスを発揮できるようになる段階
・散会期(Adjourning)
プロジェクトの終了や目標達成により、チームが解散する段階
この5つのステップを把握しておくことで、リーダーはチームの状況に応じた効果的な施策や課題解決策を講じることができます。
例えば形成期には、目標やビジョンの明確化、動機付けといった、メンバーの意識やマインドを方向付ける取り組みが重要です。続く混乱期には、オープンなコミュニケーションの場を設けるなどして、メンバー間の対立を適切にマネジメントすることが求められます。
統一期~機能期にかけては、さらなる成長を促すため、メンバーの自発性や当事者意識を高める取り組みが欠かせません。また、成果に対して適切な評価を与えたり、メンバー同士で称賛や感謝を示す文化を醸成したりする取り組みも有効です。
タックマンモデルを活用するうえで重要なのは、「どんなに優秀なメンバーを集めても、対立や摩擦を避けることはできない」という前提を持つことです。裏を返せば、いかにリーダーが混乱期を上手く乗り越えさせることができるかが、チームの成長を左右するということです。
本質的な課題を明らかにする「GRPIモデル」
もう一つの代表的なフレームワークが、アメリカの組織開発分野で生まれたGRPI(グリッピー)モデルです。GRPIは「Goals(目標)」「Roles(役割)」「Processes(手順)」「Interactions/Interpersonal Relationships(人間関係)」の頭文字を取った言葉で、多くの場合、この4つの要素を上から重要度の高い順にピラミッド型に並べた図で表されます。
GRPIモデル
GRPIモデルは健全なチームをつくるためのフレームワークです。さまざまな使い方がありますが、何か問題が発生した際、以下のように上位の要素から順に問いを立てていくことで、本質的な課題を特定することができます。
- Goals(目標):目標は明確で、メンバー全員が自分ごと化としているか?
- Roles(役割):メンバーの役割・責任分担に問題はないか?
- Processes(手順):業務フローや意思決定のプロセスは明確かつ適切か?
- Interactions(人間関係):信頼と協力に基づく人間関係が築けているか?
例えば、「飲み会などで交流の機会を設けているのにチームワークが悪い」といった場合、最初のGoals(目標)に関する問いに「はい」と即答できないのであれば、そもそも目標・ビジョンの共有が不十分である可能性があります。他にも、メンバー一人ひとりに各要素を5段階などで評価してもらい、具体的にどういう問題があるか議論し合うという使い方も効果的です。
GRPIモデルは実際に日本企業でも取り入れられています。ファッション通販サイト 『ZOZOTOWN』を運営する株式会社ZOZOでは、2021年のグループ企業との組織再編時に生じた組織課題の解決にGRPIモデルを活用しています。
Roles(役割)の改善策としては、目指すべき組織像・人物像の再定義を始め、両社の人事制度を統一するプロジェクトを発足。Processes(手順)の改善においてはマネージャー向けの勉強会や研修を定期的に実施し、さらに組織同士の相互理解を深める会の開催を通じて、Interactions(人間関係)を向上させる取り組みもおこなっています。
参照:「ZOZO組織再編」変化の中で、組織開発チームが目指す進化の方向性|ZOZO DEVELOPERS BLOG
ご存じの通り、IT部門が「IT・デジタルの専門家」として安穏としていられる時代は、既に過去のものになっています。今、企業がIT部門に求めるのは、事業成長を支えるプロフィットセンターとしての役割。そのためには、技術だけでなく、経営やマーケティング、会計など、ビジネス全般への理解と視野が不可欠です。
第1回目記事でも触れたように、チームビルディングもそうした流れに対応するために欠かせない取り組みの一つです。今回紹介した心理的安全性の向上策、そして「タックマンモデル」と「GRPIモデル」は、いずれもすぐに現場で活用することができます。ぜひ自社の業務やプロジェクトで、その効果を確認してみてください。



