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  • 業務プロセス

2025.02.18

 更新日:

2025.02.18

全2回 データ価値向上と業務フロー自動化を実現!今注目のiPaaSの基礎知識 《連載:第2回》 iPaaS選びのポイントと高度なワークフロー自動化例

iPaaS選びのポイントと高度なワークフロー自動化例

iPaaS(アイパース)は複数のシステム間のデータを一元的に連携・管理し、ワークフローの自動化も実現できるクラウド型のプラットフォーム。今回はそのツール選びの際に知っておきたい知識と、前回紹介したワークフロー自動化の応用ノウハウを紹介します。

iPaaS製品選びのポイント

iPaaSが注目されるようになったのはここ数年のことですが、既に数多くの製品が登場しています。iPaaS製品を選ぶ際の重要なポイントは、自社の目的に最適なツールを選ぶこと。そのために最低限知っておきたいのがiPaaSの種類です。実際の分類はベンダーによってさまざまで、特に近年は各製品の機能強化によりその境界も曖昧になってきてはいますが、一般的にiPaaSは機能・特徴によって大きく次の4つのタイプに分けられます。

①「レシピ(テンプレート)型」
第1回目記事でも取り上げた、視覚的なインターフェースを通じてノーコード/ローコードでデータ連携を実行できるiPaaSを「レシピ型」と呼びます。あらかじめ「MAツールとSFAの連携」などの定型的なデータ連携フローがレシピ(テンプレート)化されており、非エンジニアでも直感的に操作することができます。

SaaS同士の連携を強みとしており、ワークフローの自動化も簡単。「メール受信」や「案件ステータスの更新」といったイベントをトリガー(引き金)として設定し、特定の処理を自動実行させることが可能です。ただし弱点として、複雑は連携に適していない点が挙げられます。

②「EAI型」
③「ESB型」

反対に複雑な連携に向いているのが「EAI型」「ESB型」に分類されるiPaaSです。「EAI(Enterprise Application Integration)型」はレシピ型よりも柔軟性が高く、大企業での(レガシーシステムを含む)オンプレミスとクラウドをまたいだ複雑かつ大規模なシステム連携などに活用されています。

もう1つの「ESB(Enterprise Service Bus)型」も同じく大規模なシステムに適していますが、システム同士のデータのやり取りを「Bus(バス)」という通信路を介して疎結合でおこなうため、より連携するシステム数が多く、複雑な要件の対応に適しています。

ここまでの3つはデータ連携向けですが、データ分析を目的とした活用に適しているのが「ETL(Extract Transform Load)/ELT(Extract Load Transform型」です。

④「ETL/ELT型」
大量データの一括処理に強みを持つタイプです。BI(ビジネスインテリジェンス)ツールなどでデータ分析をおこなうために、さまざまなデータソースからデータを収集してデータウェアハウス(DWH)やデータレイクにデータを格納する際に活用されています。ETLとELTは、それぞれデータの出力(Load)と変換(Transform)の順序が異なります。

なお、データウェアハウス(DWH)とデータレイクについては↓の記事で詳しく解説しています。
「データウェアハウス」と「データレイク」の違いとそれぞれの特徴|SmartStage

ワークフロー自動化応用編(RPA、生成AIとの連携例)

最後に応用ノウハウとして、最新技術との連携によるやや高度なワークフロー自動化例を紹介します。

・iPaaS×RPAの連携例

RPA(Robotic Process Automation)とは、入力やレポート作成、データ集計、検索、メール送受信といった、従来は人の手でおこなっていたパソコンの定型作業をソフトウェア型ロボットに置き換えて自動化できるITツールです。単体での導入はもちろんのこと、BPM(Business Process Management)を始めさまざまなシステムと連携して活用されています。

RPAとiPaaSが連携することによるメリットは大きく2つあります。1つ目は、RPAの弱点が解消されること。RPAは自動化対象となるシステムの画面デザインやユーザーインターフェースが変更した際に不具合が発生してしまうケースがありますが、iPaaSとの連携はシステム内部での連携のため、その心配はありません。2つ目は、自社開発の基幹システムやAPIを実装していないERP、あるいはMicrosoft Excelなど、一般にiPaaSとの連携に向いていないシステムを伴う業務もワークフローに取り込んで自動化できることです。

具体的には、下図のような顧客からの申込対応における一連の業務を自動化することができます。

iPaaSとRPAの連携例(イメージ)
iPaaSとRPAの連携例(イメージ)

RPAを起動させるトリガーとなるのは申込メールの受信。その内容をRPAが自社システムに登録終了すると、iPaaSを通じて社内チャットツールに自動でリアルタイム通知し、関係者に報告することが可能です。他には、取引先からのクラウドストレージへの発注データのアップロードをトリガーとした請求処理の自動化などにもiPaaS×RPA連携は活用されているようです。

・iPaaS×生成AIの連携例

近年最も注目されているテクノロジーである生成AIとの連携も進んでいます。下図はヘルプデスク/カスタマーサポートにおける問い合わせ対応終了からFAQ作成までのワークフロー自動化例です。

ルプデスク/カスタマーサポートにおける問い合わせ対応終了からFAQ作成までのワークフロー自動化例
問い合わせ対応終了からFAQ作成までのワークフロー自動化例(イメージ)

担当者がユーザーからの要望や問い合わせを解決し、サービスデスクツール上でサポート対応チケットを完了させると、iPaaSがAPIを通じてチケット内容とFAQ生成の指示(プロンプト)を生成AIツールに入力。その後のサービスデスクツールへの登録までを自動化することができます。

今回はiPaaSの基本的な仕組みや活用例を紹介してきました。データもシステムも自社の重要な資産。iPaaSによってそれらを連携・統合させることは、煩雑な業務からの解放だけでなく、それまで十分にポテンシャルを活かしきれていなかった自社資産の価値向上を実現する取り組みとも言えます。そしてそれは、現在「ビジネスに直接貢献する部門」への変革を期待されているIT部門に何より求められる取り組みの1つであることは間違いないでしょう。

 

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SmartStage編集部

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