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IT部門をビジネスクリエイティブ集団に

システムの安定稼働、コスト削減、コンプライアンス強化など、IT部門の「作業」は年々増加しています。
しかし、新規事業や新技術の立ち上げなど、企業力強化のうえで不可欠なものは、IT部門の「知恵」です。
IT部門がビジネスクリエイティブ集団に生まれ変わるためのヒントやトレンド情報をご提供いたします。

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2024.08.13

 更新日:

2024.08.13

全2回 2024年版:IT担当者なら知っておきたいトレンド・注目キーワード10選 《連載:第1回》 必見!2024年のITトレンド・注目キーワード〈前編〉

必見!2024年のITトレンド・注目キーワード〈前編〉

とりわけ進化のスピードが速いIT・デジタル分野において、情報収集力は欠かせないスキルの1つ。新しい技術や業界の動向にアンテナを張っておくことで、競合他社の一歩先を行く提案や取り組みをおこなえるようになります。今回は、IT担当者なら今年2024年のうちにぜひ知っておきたいキーワードを10個紹介します。

〈1〉パスキー

パスキーとは、顔や指紋などの生体情報、またはPIN(デバイスの画面ロックなどに使う暗証番号)を使って本人確認をおこなう技術です。従来のパスワード入力に代わる新たなログイン・サインインの手法として注目を集めており、既にMicrosoftやApple、Google、Yahoo! JAPANなどのサービスでも採用されています。

パスキーのメリットは、利便性と安全性の高さ。ユーザーはパスワードを設定・管理する手間から解放されますし、サービス提供者側も本人確認が端末内で完了するため、パスワードのように流出させてしまう心配がありません。

他にも、なりすましによるログインや、フィッシング(偽サイトに誘導してID・パスワードを入手する手法)サイトへのID・パスワード入力を防ぐ対策としても効果的です。政府が2024年6月18日にとりまとめた『国民を詐欺から守るための総合対策』(※)という資料においても、フィッシング対策の1つとしてパスキーの普及促進が挙げられています。

国民を詐欺から守るための総合対策|犯罪対策閣僚会議

〈2〉『Apple Vision Pro』

日本では2024年6月28日に発売された、アップルのゴーグル型VR(仮想現実)/AR(拡張現実)デバイスです。視界にデジタル上のアプリやコンテンツを映し出し、マウスやキーボードではなく、視線や指の動き、音声で操作することができます。

『Apple Vision Pro』、登場|Apple Japan合同会社

没入感の高い3D体験を味わえることからゲームやエンタメ方面での需要が見込まれますが、AppleのWebサイト(※)では、『Microsoft365』の各種アプリやビデオ会議システム『Zoom』、ERPで有名なSAP社の計画・予測分析ツール『SAP Analytics Cloud』との連携例など、ビジネスでの活用シーンが紹介されています。

Apple Vision Pro brings a new era of spatial computing to business|Apple Inc.

既に日本企業からも『Apple Vision Pro』を活用したサービスが登場しています。例えば、ある大手建築設計事務所では、建築設計者向け『Apple Vision Pro』用アプリを開発。高解像度の3Dデジタル建築模型を机の上に映し出して操作できるアプリで、実際の模型では不可能な細部のデザインの表現や、縮尺の切り替えなどを簡単におこなうことができます。

不動産ポータルサイトを運営する株式会社LISFULLは、モデルルームを内覧できるアプリをリリース。実際に現場にいるような臨場感を味わいながら、視線や手の動きによって映像を拡大・縮小・回転させ、さまざまな角度から物件を閲覧することが可能。今後は、具体的に将来の暮らしがイメージできるシミュレーション機能なども実装予定とのことです。

参考:国内不動産ポータル初!LIFULLがApple Vision Pro向け未来の暮らし体験アプリ「イマーシブモデルルーム」を提供開始|株式会社LIFULL

〈3〉SLM(小規模言語モデル)

これまでSLMは主に「サービスレベル管理(Service Level Management)」の略称として使われてきました、最近は「小規模言語モデル(Small Language Model)」を指す言葉として目にする機会も増えてきました。

小規模言語モデルは文字通り、従来の生成AIで活用されてきたLLM(大規模言語モデル)よりもコンパクトな言語モデルを指します。学習に必要なデータ数や時間が少なく、計算リソースの消費も少量なので、クラウドではなくノートパソコンやスマートフォン、IoTセンサーなどの端末上でローカルに実行することが可能です。

また、汎用性の面ではLLMに劣りますが、反対に特定の目的や領域に合わせたファインチューニング(微調整)が容易なため、生成AIの大きなリスクであるハルシネーション(誤回答の生成)を抑制して、アウトプットの精度を向上させることができます。他にも返答の速さや開発・運用コストの削減、端末で動作することによるセキュリティリスクの軽減など、小規模ならではのメリットがあります。

海外では既に製品化も進んでおり、Microsoft『Phi-3-mini』やGoogle『Gemini Nano』などが知られています。

〈4〉データスペース

データスペース(Data Space)は、国や業種、組織の壁を越えて、企業間で安全にデータを共有するための仕組み、またはその空間を指します。現在はヨーロッパを中心に取り組みが進んでおり、新規ビジネスの創出や既存サービスの改善・高度化、さらに脱炭素(カーボンニュートラル)を含む安心安全で持続可能な社会づくりのために活用されています。

データスペースの大きな特徴は非中央集権型であること。従来のような巨大デックに代表されるデジタルプラットフォーマーではなく、データ提供元の企業・組織がデータを保持し、提供先や用途、利用期間などを決定することができます。こうした在り方、考え方を「データ主権」と呼びます。

企業や業界をまたいでデータを連携するデータスペースにおいて、カギとなる技術が「コネクタ」です。電気におけるコンセントのような役割を担い、あらかじめ用意された共通のコネクタを通してデータを送受信することが可能になります。

データスペースの事例としては、EUの自動車業界で進められている企業間データ共有ネットワーク『Catena-X(カテナエックス)』が知られています。日本はまだまだこれからといった状況ですが、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)のデジタルスペースに関する資料(※)では、大阪府・大阪市が『スーパーシティ構想』で構築した、行政デジタル格差解消のための産学官連携デジタル基盤などが事例として取り上げられています。

デジタルスペース入門|IPA

〈5〉AI TRiSM

AI TRiSM(エーアイ トリズム)は「AI Trust(信頼性),Risk(リスク) and Security Management(セキュリティマネジメント)」の略称であり、簡単に言うと、企業が自社で活用するAIの信頼性と安全性を確保するためのフレームワーク及びそれを実現するための一連のソリューションを指します。

もともとアメリカの調査会社ガートナーが『2023年の戦略的テクノロジのトップ・トレンド』(2022年11月発表)にピックアップしたことで知られるようになった言葉ですが、その後さまざまなリスクが指摘されている生成AIが爆発的に普及したことにより、その重要性はますます高まっていると言えます。

AI TRiSMの構成要素は、AIのアウトプットについて根拠を説明・理解できるようにすること、AIモデル(学習データ入力~出力までの一連の処理)の品質維持のために適切に運用・更新をおこなうこと、外部の脅威などからAIと個人情報を守ること、など。下記『DX-labo』の記事では、AI TRiSMについてより詳しく解説しています。

AI TRiSMとは|DX-labo

残り5つのキーワードは続く第2回目記事で紹介します!

※記事内に記載されている商品名、会社名は、各社の商標または登録商標です。

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