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2023.06.01

 更新日:

2022.01.11

全2回 インパクトはAIに匹敵!? ビジネスで注目を集める量子コンピューターとは? 《連載:第1回》 次世代テクノロジー「量子コンピューター」はここが凄い

次世代テクノロジー「量子コンピューター」はここが凄い

いまや量子コンピューターは、AIに続く次世代テクノロジーとして、一般のビジネスパーソンの間でもじわじわと認知が広がっています。まだまだ話題先行の状況ではあるものの、ITの専門家として「まったく知らない」では話になりません。そこで今回は、専門知識のない方にもわかりやすく量子コンピューターについて解説します。

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そもそも量子コンピューターとは?

量子コンピューターとは、簡単に言うと、物理法則のひとつである量子力学の原理を応用した計算機です。現在私たちが使用しているコンピューター(古典コンピューター)は、数値だけでなく、文字や音、画像などの情報も、すべて「0」か「1」の値をとる「ビット」で処理(計算)していますが、量子の世界には「0であると同時に1」でもある「重ね合わせ」と呼ばれる現象が存在し、量子コンピューターではそうした現象を適用した「量子ビット」を利用して処理することが可能です。

ちなみに多くのwebメディアや雑誌記事では、量子コンピューターに関して「従来のコンピューターに比べて1億倍高速」ということが特徴としてしばしば挙げられていますが、間違いとまでは言えないものの、誤解のないよう注意は必要です。量子コンピューターの速さは、いわゆるコンピューターの動作速度の速さを指す訳ではないからです。

従来のコンピューターに対して量子コンピューターが際立っているのは、いわば情報処理の効率性です。例えば同じ計算をおこなう場合でも、従来型のコンピューターであれば「3+3+3+3+3=15」と5回の計算が必要なのに対して、量子コンピューターなら「3×5=15」の1回で済むとイメージしてもらえれば良いかもしれません(あくまでイメージであり、実際は従来型コンピューターでは容易に解くことのできない複雑な計算を解くことができます)。そういった意味でも、量子コンピューターは従来のコンピューターより「速い」というより、「賢い」と捉えた方が適切かもしれません。

既に社会のいたる場所でコンピューターが活用されている一方で、新たに量子コンピューターが注目を集めているのも、こうした情報処理の効率性の高さが理由と言われています。というのも、AIやビッグデータの普及によってデータ処理の性能要求が日増しに高まっているにもかかわらず、従来型コンピューターの成長に限界が見えてきているからです。

ここで言う従来型コンピューターの限界とは、テクノロジーの発展にともない集積回路の小型化が極限まで進められてきたことにより、これまで情報処理を支えてきた半導体回路が性能限界に達しつつある状況を指します。こうした状況は、有名な「ムーアの法則」(半導体の集積度=性能は18カ月で2倍になる)に反するものとして「ムーアの法則の終焉」とも呼ばれていますが、こうした限界を打破するための有効な手段として、情報処理の効率性に優れた量子コンピューターへの注目が高まっているのです。

量子コンピューターの種類と用途

ひと口に量子コンピューターといっても、現在のところ大きく分けて「量子ゲート方式」と「量子アニーリング方式」の2種類が存在します。互いに特徴と用途が異なりますので、ひとつずつ簡単に紹介していきます。

量子ゲート方式

量子ゲート方式は汎用性が高く、従来型コンピューターの上位互換としての役割が期待されている量子コンピューターです。これまでは安定性(エラー耐性)の面で課題が指摘されており、実用化は20~30年先になるとの見方が優勢でしたが、2021年5月、グーグルが2029年までに実用的な性能を有する量子ゲート方式のコンピューターを実現する計画を発表するなど、近年研究が加速しています。
量子ゲート方式の用途としては、創薬・農薬開発、高速検索、暗号解析、セキュリティなどの分野での活用が期待されています。

量子アニーリング方式

量子アニーリング方式をひと言で表すなら、「何かを最適化するのに適した量子コンピューティング」。汎用計算はできないものの、膨大な数の可能性から最適解を絞り込む、いわゆる「組合せ最適化問題」と呼ばれる計算に適しているとされています。もともと日本で生まれた技術ですが、2011年にカナダのベンチャー企業D-Wave Systems社が量子アニーリングマシン「D-Wave」の商用販売を開始し、現在では同製品が量子アニーリング方式の代名詞のような存在になっています。

量子アニーリング方式は量子ゲート方式よりも研究開発が進んでおり、既にビジネスで活用している企業も登場しています。用途としては、下記の分野での活用が期待されています。

・スケジューリング…鉄道、飛行機などの運行計画の最適化、資産ポートフォリオの最適化
・異常解析…ソフトウェアのバグ解析、がん検出
・マッチング…Web広告入札、ECでのレコメンド商品、メルマガ配信、医療提案などの最適化
・AI(人工知能)機械学習の性能向上…人認識・文字認識の精度向上

次回はより具体的に、量子アニーリング方式を実際に活用している企業の事例を紹介します。

全2回インパクトはAIに匹敵!? ビジネスで注目を集める量子コンピューターとは?

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