#コラム

ITチケット管理システムとは?メリット・デメリットや選び方をご紹介

更新日:
ITチケット管理システムとは?メリット・デメリットや選び方をご紹介
  • インシデントやサービス要求をチケット化して管理するツール「ITチケット管理システム」と呼びます。チケットは必要な情報を紐づけられるため、担当者は複数のツールを行き来する手間から解放されるのが利点です。システムを通じてメンバー内で共有が図られるので、情報の行き違いは格段に少なくなるでしょう

    本記事ではITチケット管理システムのメリットやデメリット、選び方を解説します。自社に適したサービスを見つける際の基準が分かるので、ぜひご一読ください。

  • ITチケット管理システムとは?

    ITチケット管理システムとは?

    ITチケット管理システムはタスクをチケットの形で管理・運用するツールです。元々はシステム開発において誕生した仕組みですが、昨今はプロジェクト管理でも使われ始めて利用シーンが拡大しています。

    まず分割したタスクをチケットに割り当て、システムに登録します。担当者は自分が行うチケットを確認し、ステータスを処理中に変更してから作業に取り掛かります。業務が完了したら、チケットをクローズに切り替えて処理が完了です。

    一つの部署にはさまざまな業務やタスクがありますが、データや基本的なワークフロー、対応するチームメンバーは基本的に変わりません。チケットで一元管理しても業務に支障はなく、むしろタスク管理の効率は向上します。

    チケットの種類には、IT部署で発生する事柄を定めた「イベントチケット」、事前に定めた定義から外れた時に使う「アラートチケット」、エラーやパフォーマンスの問題を記録する「インシデントチケット」などがあります。

  • ITチケット管理システムを導入するメリット

    ITチケット管理システムを導入するメリット

    ITチケット管理システムはタスクや問い合わせを一元的に管理し、情報共有を容易にします。タグやカテゴリ機能で担当者の割り振りや優先順位の決定まで担えるため、現場の業務を楽にする有益な存在です。ITチケット管理システムを導入する具体的なメリットをみてみましょう。

    全ての問い合わせやタスクを一元管理できる

    電話やメール、SNSなど複数のチャネルからの問い合わせをまとめて、一元的に管理できるメリットがあります。ステータスはアクセスできる全員が見える状態なので、システム一つで登録~情報共有まで担います。人同士のやり取りなしで情報の伝達が完了し、報告・連絡・相談の抜け漏れを防げる方法です。

    ITチケット管理ツールではタスクごとに詳細や変更履歴も紐づけられるため、チームメンバー全員がリアルタイムで状態を把握できます。さらに複数のチャネルから問い合わせしたユーザーにまとめて回答でき、対応の重複のリスクを減らせます。

    タスクや問い合わせの分類ができる

    カテゴリやタグを付与して、登録と同時にタスクや問い合わせの分類が可能な点もメリットです。問い合わせの内容に応じてフォルダを振り分けるような面倒な作業を無くせます。対応漏れや二重返信などのミスは、タスクの整理が不十分で対応状況を正しく管理できていないために起こるので、問題解決に役立つでしょう。

    手軽に担当者へ割り振りできる

    手軽に担当者へ割り振りできる点もメリットです。対応スタッフや必要なスキルもタグ付けできるため、リーダーが都度アサインする手間が無くなります。特筆すべきは蓄積したデータを活用して、自動で担当者を設定できる点です。

    簡単な問い合わせは新人のスタッフに、複雑なタスクはベテランにという采配の妙までシステムが担います。

    問い合わせやタスクの優先順位を付けられる

    サービスデスクに届く大量の問い合わせを、過去のデータから判断して自動で優先順位を割り振ることも可能です。限られたリソースで迅速にタスクをこなすには、優先度が高い業務を把握して、低い業務を後回しにする判断が求められます。

    ITチケット管理システムは緊急性や重要度などをパラメーターに設定し、自動で問い合わせの優先度を決められるため、判断の手間を省き対応のスピードが上がることが期待できます。

    データを蓄積できる

    ITチケット管理システムはデータを蓄積できるのもメリットです。問い合わせのすべてをシステムに登録できるため、次第に類似案件のデータが蓄積されます。繰り返し登録されるタスクは、担当者ごとにワークフローを設定することも可能です。

    システムを確認した担当者は作業内容に加えて手順も一目で分かり、スピーディーに業務を進行することができるでしょう。

    新規の問い合わせが発生した時も、類似した案件の対応履歴を参考に適切な対応を考えられるため、対応品質や顧客満足度の向上につながりやすいのが利点です。

    進捗確認をしやすい

    進捗を確認しやすいのも業務効率のアップに役立ちます。タスクごとに「未対応」「対応済み」「対応中」というようにステータスを登録できるうえに、案件の進捗状況はプロジェクトメンバーならいつでも確認できるため、口頭での伝達漏れが無くなります。

    ガントチャート(工程表)を作成しやすくなる

    ガントチャートを作成しやすくなるというメリットもあります。ガントチャートとは、横軸に日付、縦軸にタスクを入力し、スケジュールや進捗状況を見える化する工程表です。
    ITチケット管理システムは作業に要した時間を登録できるため、何にどのくらいかかったか集計に時間をかけずとも視覚的に状態が分かります。

    工数管理しやすい

    ITチケット管理システムはタスクの遂行に要した時間まで入力が可能です。プロジェクトリーダーが各メンバーに割り振った作業の進捗状況を、一目で把握しやすい環境が得られます。ツールによってはタスクに詳細情報を記載したノートを紐づけて、案件に関する情報をまとめて管理できます。

  • ITチケット管理システムを導入するデメリット

    プロジェクト管理に有用なITチケット管理システムですが、決して万能な存在ではありません。個別のタスクの登録には役立つものの、システムだけに頼ると全体的な視点が抜け落ちてしまいます。ITチケット管理システムを導入するデメリットは次の通りです。

    入力に手間がかかる

    チケット管理では、はじめにタスクの詳細を入力する作業に時間がかかります。最初を乗り越えれば後はスムーズに進むのですが、はじめの工程を面倒に感じる部署や担当者がいるのも事実です。事前に関係各所に十分な説明を行い、理解を得たうえで導入しましょう。

    タスクや問い合わせの全体像が分かりにくくなる可能性がある

    ITチケット管理システムは個別のタスクの管理には適切ですが、タスク間のつながりや全体像を把握する際には不向きです。個々のスケジュールは分かっても、それらが有機的に関連付かないと導入の意義があるとはいえません。

    担当者が取り組みやすいタスクから始め、バラバラの状態で強引に進めると、次第に収拾がつかなくなるでしょう。チケット管理システムを上手に使うには、俯瞰して全体をみるまとめ役のポジションが不可欠だといえます。

  • ITチケット管理システムの選び方

    ITチケット管理システムの選び方

    いくつもの種類があるなか、自社に適したITチケット管理システムを見つけるためのポイントは次の5つです。

    1. 誰でも使いやすいか
    2. 必要な機能が備わっているか
    3. 他のツールとの連携が可能か
    4. ITILに準拠しているか
    5. 無料で利用できる期間があるか

    誰でも使いやすいか

    誰でも使いやすいシステムかどうかは重要なポイントです。実際に使用するのは現場の社員です。プロジェクトに関与するすべてのメンバーが使いこなせないと、業務の進行が滞るリスクもあります。

    多機能なツールは魅力的ですが、ITリテラシーが高いスタッフばかりとは限らないため、年齢や役職問わず、使いやすいツールの選定が求められます。使いこなせなければ費用対効果を得られないばかりか、ランニングコストや教育コストがかさみ、本末転倒になってしまいます。運用に乗せやすく誰でも取っ付きやすいシステム選定を重視しましょう。

    また、ITチケット管理システムは社内メンバーはもちろん、問い合わせを行うユーザーにも利便性が高いサービスでなくてはいけません。サポートの範囲や問い合わせ可能なチャネルは何があるかなどが把握できるサービスカタログが導入されているとユーザーにとって使いやすいでしょう。

    必要な機能が備わっているか

    サービスを選ぶ際は、自社が求める機能があるか確認しましょう。多機能でも使わないオプションが多すぎるツールは、無駄な費用を生み出す存在となりかねません。事前に導入目的を明確にし、必要な機能を洗い出すことで、ツールの取捨選択がスピーディーに進むでしょう。

    サービスによってはクラウドとオンプレミス型から実装環境を選べるタイプもあります。自社開発で導入した後、シームレスでクラウドに移行できる自由度が高い環境だと理想的です。

    社内での活用を考えるなら、PCやタブレット、スマホのマルチデバイス対応かどうかも重要です。閲覧がパソコンのみしかできないと外出中に状況を把握したいときに不便です。同様の理由で、WindowsとMacの一方だけに適合するシステムも使い勝手が悪く、おすすめできません。

    他のツールと連携が可能か

    サードパーティ製のチャットツールと連携できると、担当者は複数のタブを開かず、迅速にチケットを登録できます。ITチケット管理システムの全体的な視点が抜け落ちやすいデメリットを鑑み、弱点を補えるプロジェクト管理ツールとの併用もおすすめです。

    プロジェクト進行中は各チケットの進捗をみつつ、チケットの割り当てやスケジュールを変更する必要があります。API連携によって豊富な外部ツールと連携できるシステムならば、目的に応じた柔軟な運用が可能です。

    たとえば問い合わせの度にIT資産について問い合わせをかける手間は非常に面倒で、対応が遅れれば顧客からの信頼は失墜します。上記に備えてサポートデスクでも資産の状況をあらかじめ把握する必要があります。

    部署をまたいで関係性を可視化するデータベース(DB)は重宝します。インシデントが生じた際の影響範囲の測定にも役立つため、連携できる外部ツールが多い拡張性の高い製品を選びましょう。

    ITILに準拠しているか

    ITIL(Information Technology Infrastructure Library)に準拠しているかどうかは、考慮すべき重要なポイントです。ITILはITサービスを取り入れる際に役立つ世界標準のガイドラインです。その基準を満たしていれば、質の高いサービスだと判断できるでしょう。

    現在の業務で、ITサービスマネジメント(ITSM)が定義されていれば問題ありません。しかし満たすサービスがない場合、ITILを0から学びITSMに適合したシステムを実装しなければなりません。ITILに準拠したツールを導入すれば、手間がなくなり安心かつ信頼できる環境が早急に実現します。

    ITILでは、サービスデスクをITサービスマネジメントシステム(ITSMS)の根幹を成す存在と位置づけています。また、チケット管理のベストプラクティスにおいて、チケットの作成に用いるデータは既存の情報を優先して活用すべきともしています。

    問い合わせやインシデントの管理にExcelを利用している企業は、ITILに準拠したチケット管理システムに切り替えることで、ITリテラシーが乏しくても質の高いサービスを享受できるでしょう。

    Excelのチケット管理の問題点は保存の手間やリアルタイム性の乏しさ、スマホでの操作しにくさです、業務効率が落ちる可能性が極めて高いため、Excelに表形式でタスクを管理している企業は、この機会にチケット管理への移行をおすすめします。

    無料で利用できる期間があるか

    無料お試し期間があるサービスを中心に選ぶのがおすすめです。ホームページで使い方や特徴を見ただけか、実際に触れて使い方を確かめたかどうかで理解度は大きく異なります。シンプルで使いやすいツールが合うか、複雑で多機能なサービスが合うかはそれぞれです。

    実際に使用して使い心地を確かめるのは、後悔しない選択には重要なポイントです。無料お試し期間が長いツールを使用して、小規模なプロジェクトを一通りこなす経験が積めると、自社に適したサービスか見極めやすいでしょう。

  • まとめ

    タスクや問い合わせをチケット化して、プロジェクトの円滑な進行を助けるITチケット管理システムは業種・業態によらず役立つツールです。

    クレオの「SmartStageサービスデスク」はITIL準拠の安心して使えるワークフローを、テンプレート形式で誰でも使いやすく進化させたサービスです。自由自在で柔軟な運用が可能なため、中小企業から大企業まで規模を問わず選ばれています。一つの管理プロセスからはじめ、適用範囲を順次拡大させながらシステム化を進める企業も多いです。
    機能性の高さが好評で、今では大手企業のIT部門のお客様も多数存在します。チケット管理システムを新たに導入したい方や、今のシステムから乗り換えたい方などは、ぜひお気軽にお問い合わせください。