#コラム

構成管理ツールとは?管理項目や利用方法について紹介

更新日:
  • 近年、IT技術の普及により、多くの企業がさまざまなITシステムを導入しています。ITシステムの導入により、社員の業務負担を軽減できる一方、管理担当者にとっては業務負担が増大することもあります。そこでおすすめできるツールが、構成管理ツールです。
    構成管理ツールの活用によりITツール管理の負担が軽減される他、ITツールをスムーズに利用できるようになると期待できます。

    本記事では、構成管理ツールについて解説した上で、構成管理ツールを使用するメリットや導入時の注意点、構成管理ツールで管理する主な項目などを解説します。
    ITサービスマネジメント(管理)ツールの詳細→

  • 構成管理ツールとは?

    構成管理とは、ITシステムを構成する要素の管理を行うことです。構成管理の主な内容は、現行バージョンやITシステムを構成する要素のライフサイクルなどの管理です。また、システムを構成するハードウェアやソフトウェアの管理を行うため、安定した稼働を可能にします。

    構成管理ツールを導入すると、ITシステムを一括管理できるようになります。その他にも、アップデートの自動化やトラブル発生時のスピーディーな対応も可能になるでしょう。構成管理ツールを活用することで、システム運用をよりスムーズに行えるようになります。

  • 構成管理ツールを使用するメリット3つ

    構成管理ツールを使用するメリットは下記の3つです。

    ・システム管理を一元化できる
    ・複数サーバーを一度に構築できる
    ・設定変更管理を行える

    それぞれ詳しく見ていきましょう。

    システム管理を一元化できる

    管理構成ツールを導入することで、複数のシステムを一元管理できます。

    IT社会といわれる昨今、多くの企業が業務ごとに個別のシステムを活用していると考えられます。複数のツールを業務に応じて使い分けを行うことで、それぞれの業務を効率化できる一方、社内に導入されている全システムの把握が困難になる点はデメリットです。

    構成管理ツールは複数のシステムが社内に導入されていたり、システムの規模が大きくなったりしても、少ない負担で管理を行えます。その他にも、自社に導入されているツールを把握しやすくなるため、新しいツールを導入する際に参考にしたり、無駄を省いたりすることも可能です。

    複数サーバーを一度に構築できる

    構成管理ツールを使えば、複数のサーバー構築を一度の操作で行えます。システムの利用環境となる各サーバーは、設定の一貫性を保たなければなりません。しかし、管理や構築を手作業で行うにあたって、複数サーバーの設定を統一することは容易ではないでしょう。

    構成管理ツールではサーバーなどのハードウェアも管理できます。サーバーの構築を行う際に構成管理ツールを活用すれば、各サーバーの一貫性を維持することも可能です。

    設定変更管理を行える

    システムの規模や数が増えると、設定変更によって調整するべき項目も増えます。そのため、手動で設定変更を行うのは大変な作業で、作業が完了するまでに膨大な時間がかかるでしょう。

    一方、構成管理ツールを利用すれば、システムの設定変更を一度で行うことができるため手間がかかりません。システムの規模や数に関係なく、設定変更を効率的に行えます。さらに、手動で設定変更を行った際に起こりうるようなミスを防ぐことも可能です。

  • 構成管理を行っていない場合に起こりえる3つのトラブル

    構成管理を行っていない場合に起こりえるトラブルとして、下記の3つのトラブルが考えられます。

    ・連携システムが業務システムを認識しない
    ・周辺機器が使えない
    ・業務システムがストップする

    それぞれ詳しく見ていきましょう。

    連携システムが業務システムを認識しない

    業務を行っていたら突然、業務システムが連携システムから認識されなくなるケースが稀にあります。こうしたトラブルはシステムへのパッチ適用や更新によって、システム構成が変更されたタイミングで発生するものです。システム構成の変更で動作不正が生じたとしても、構成管理を利用していれば、動作していた直近の構成に戻せます。

    一方、構成管理を行っていない場合、システム更新を順番に削除していく必要があり、正しく動作するまで戻さなければなりません。

    周辺機器が使えない

    OSのアップデートを行った場合、周辺機器が認識されなくなるケースも珍しくないようです。周辺機器が認識されなくなる主な原因として、更新したOSでの周辺機器のドライバーアップデートの未完了、対応の不備などが挙げられます。

    構成管理を行っていれば、周辺機器を認識していた直近の構成に戻すことも可能です。

    業務システムがストップする

    ネットワークソフトやOSの更新などさまざまな作業を行っていると、基幹系の業務システムが動作しなくなることもあります。また、セキュリティソフトの更新により、使いたいソフトをブロックしてしまったというケースも多いです。

    業務システムが上記の原因でストップした場合は手動で戻すこともできます。しかし、構成管理を行っていれば、動作可能ポイントまで確実に戻せるので安心でしょう。

  • 構成管理ツールを導入する際の注意点

    構成管理ツールを導入する際の注意点は下記の3つです。

    ・導入目的を明確にしておく
    ・運用方法を明確にしておく
    ・自社の目的に合ったツールを選ぶ

    それぞれ詳しく見ていきましょう。

    導入目的を明確にしておく

    構成管理ツールを導入するにあたって、導入の目的を明確にしておきます。目的を持たずに導入しても、その効果を実感できることはほとんどないでしょう。

    また、導入目的を明確にしておかなければ、自社に最適な構成管理ツールを選ぶこともできません。

    構成管理ツールを導入する目的は管理職間でのみ共有するのではなく、現場の社員とも共有しておく必要があります。

    運用方法を明確にしておく

    構成管理ツールを導入したら、社員が適切に運用を行えるよう基本のルールや役割などを明確にしておく必要があります。

    運用ルールが曖昧な状態ですと、普段の管理を行う人がいない、トラブル発生時に誰も対応できないといった状態になりかねません。また、導入したツールが利用されることなく、化石化してしまう可能性もあります。

    構成管理ツールを導入するだけでは、社内で抱える課題を解決できません。構成管理ツールの高い有用性を引き出すためには、適切な方法で運用していく必要があります。

    自社の目的に合ったツールを選ぶ

    現在、さまざまな構成管理ツールが販売されていますが、商品によって仕様も機能も異なります。自社の目的を考えずにツールをなんとなく選択した場合、導入しても自社の目的を達成できないでしょう。

    自社の目的に合ったツールを選択するために、導入で実現したいこと、必要な機能などについて優先順位を決めて書き出してみることをおすすめします。

    構成管理ツールは無料のトライアル期間が設けられたものも少なくありません。どのツールがよいのか迷っている方は、トライアル期間を有効活用して検討してみてください。

  • 構成管理ツールで管理する主な項目5つ

    構成管理ツールで管理する主な項目は下記の5つです。

    ・ハードウェア管理項目
    ・ソフトウェア管理項目
    ・ベンダー管理項目
    ・共通管理項目
    ・契約管理項目

    それぞれ詳しく見ていきましょう。

    ハードウェア管理項目

    ハードウェア管理項目では、ITシステムとしての社内管理番号や資産管理番号などの識別名、メーカーが製品の特定を行う製造番号やシリアルナンバーなどの識別名、さらには製品スペックを管理します。

    その他にも、ハードウェアの管理ではハードウェアそのものを特定できるシリアル番号や製造番号なども重要です。

    ソフトウェア管理項目

    ソフトウェアはその名称のみならず、バージョン情報やパッチの適用状況などを含めて管理を行うことで利用状況を特定できます。

    構成管理ツールにおける必要な管理項目とは、ソフトウェアの現況判断を行える内容です。また、ソフトウェアの現況判断において必要な項目として、バージョン・リビジョンやソフトウェア管理番号、名称、適用済みのサービスパックなどが挙げられます。

    ベンダー管理項目

    複数ベンダー管理項目で1つのシステムの構築が行われている場合、システムの構成を行う各要素と担当ベンダーを結び付けなければなりません。そのため、ベンダーについての項目も重要な管理要素です。

    構成管理として管理が求められるのはベンダーの特定を行う項目です。構成管理ツールではベンダーや担当部門、担当者名などを管理します。

    共通管理項目

    構成管理ツールでは各要素で共通して管理を行う項目も重要です。共通管理項目には、管理番号や登録日、購入日、購入部門、担当ベンダー、設置場所などがあります。

    また、管理要素がハードウェアやソフトウェアであっても、共通管理項目における項目を管理しなければなりません。構成管理ツールの場合は、共通して用いる担当ベンダーや購入部門などはコード化し、データベースの1要素として管理を行います。

    契約管理項目

    契約に関する情報の一元管理を構成管理ツールで行うことも可能です。契約管理項目としては、契約管理番号や契約番号、契約締結日などがあります。

    システムの稼働後、契約内容の確認を行う作業が発生するケースは多いです。システムに関係する情報の一つとして管理しておくことにより、スピーディーな対応を可能にします。

  • 構成管理を行う方法

    構成管理を行う方法は下記の2つです。

    ・統合運用管理ツール
    ・IT資産管理ツール

    それぞれ詳しく見ていきましょう。

    統合運用管理ツール

    統合運用管理ツールでは、運用監視の対象となるハードウェアやソフトウェアなどの管理を行います。

    統合運用管理ツールにおいて運用監視対象の要素は構成管理の要素と重複する部分も多いため、そのままの項目を利用した管理も可能です。

    IT資産管理ツール

    IT資産管理ツールと構成管理ツールは管理を行う要素が似ています。

    IT資産管理ツールを活用することで、構成管理に必要な項目を使用することができ、各要素の関連性についてマッピングで確認を行えます。マッピングを行えるツールを活用することで、データの内容のみならず、視覚で関連性を確認することも可能です。

  • 構成管理ツールの利用でトラブルを回避しよう

    構成管理ツールを活用することで、自社で利用しているシステムを手軽に把握できます。それにより、導入済みのシステムに似通ったITシステムを新たに導入する事態などを防げます。

    構成管理ツールの導入にはコストがかかりますが、担当者の業務負担軽減や自社内のITシステムをきちんと整理できることを考えると、かかる料金以上に導入するメリットが多いといえるでしょう。

  • まとめ

    構成管理ツールを活用することで、社内で複雑に絡み合っているITシステムを一元的に管理できます。これにより、ITシステム担当者の負担を軽減できるだけでなく、使用されていないITシステムを把握することも可能です。

    構成管理ツールにはさまざまな種類がありますので、自社の目的に合ったツールを選ぶようにしましょう。多機能型の構成管理ツールは料金が割高に設定されている傾向があります。あらかじめ予算がある企業は、自社に必要な機能の優先順位を書き出し、ツールを選んでみることをおすすめします。