コラム
Accessは時代遅れなのか解説! 時代遅れといわれる背景や代替ツールも紹介
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かつて企業のデータベース管理を支えてきたAccessですが、近年は「時代遅れ」という声もちらほら聞こえ始めています。
とはいえ「普段から使っているのに」「当社ではまだ使用している」という方もいるのではないでしょうか。そこで、なぜ「Accessは時代遅れ」といわれてしまっているのか、その背景を紹介します。
また、Accessは時代遅れといい切れない理由と、代替ツールの探し方も併せて解説します。Accessが時代遅れなのか気になる方や、代替ツールを探している方は、ぜひ参考にしてください。 -
Accessとは?
Access(Microsoft Office Access)とは、Microsoft社が提供するデータベースソフトウェアで、データを効率的に整理・管理・分析するためのツールとして、さまざまな企業・個人に利用されています。
データベースとは、大量のデータを整理・蓄積して、必要なときにすぐ取り出せるよう管理するシステムのことです。90年代後半以降に、パソコン本体の低価格化により企業・一般家庭へ普及したことから、Accessの導入数は拡大しました。
例えば、以下のようなことに使えます。
● 顧客情報・商品情報などの大量データを一元管理
● 売上データなどの分析から、ビジネスチャンスを発見
● 伝票や請求書などの帳票類を自動生成
複数ユーザーによる同時アクセスにも対応しており、使いやすさと機能性の高さから、特に中小企業で広く普及したソフトウェアです。
しかし登場から約30年が経過して、テクノロジーが大きく進化したことから、最近では「Accessは時代遅れ」と呼ばれることにつながっています。 -
Accessの主な機能
Accessを活用すると、さまざまなデータを効率的に整理・管理・分析できます。
主な機能は下記の通りです。Accessの主な機能 活用方法 小規模なデータベースの作成 顧客の住所データを蓄積して、ダイレクトメール・資料送付に活用可能。販売管理システムや在庫管理システムなども構築できる 保存したデータを利用 データをリスト形式・ラベル形式・帳票形式などで出力できる。レイアウト・印刷の形式が豊富にある データベースの操作を自動化 マクロ機能やAccess VBAなどの自動化機能によって、自動でデータベースを作れる。他のOffice製品やBIツールなどとも連携でき、効率的にデータベースを運用できる 複数人による作業 元データ・入力フォーム・印刷データが独立しており、元データの誤変更を防げる。ユーザーごとに、閲覧・編集権限を設定できるため、複数人で共有して作業しやすい 集計作業の効率化 集計したいデータを定義しておけば、簡単に最新情報を確認できる 帳票作成業務の効率化 レポート機能を使えば、簡単に帳票類を作成できる -
Accessが時代遅れといわれる背景
多彩な機能と使いやすさから、多くの中小企業で活用されているAccessですが、近年ではさまざまな要因から時代遅れだといわれるようになってきました。
なぜ時代遅れといわれるのか、その背景を解説します。Excelの機能が拡張
Accessと同じく、Microsoft社が提供しているExcelの機能が拡張したことで、ExcelでもAccessのような作業を行えるようになっています。
Excelが普及し一般的になっていくにつれ、「データ容量アップ」「処理速度の向上」「マクロ機能の追加」「関数機能の拡大」など、便利な機能が増えたことで。Excelがデータベースソフトの領域もカバーできるようになりました。
そのためAccessを使わなくても、Excelだけで同じようなことができるようになったので、Excelに一本化する企業が増えるようになっていきます。
とはいえExcelよりもAccessの方が素早く処理できるケースが多く、データ管理の効率はAccessの方が優れています。クラウドサービスが普及
クラウドサービスが普及してきたことも、Accessが時代遅れといわれる要因になっています。
今や誰もが何らかのクラウドサービスを使用しており、オンライン会議やクラウドでのデータ共有、リモートワークなど、多くの企業でデジタル化が進んでいます。
最近では、クラウド上でデータ管理できるアプリケーションやサービスなども登場しており、いつ・どこからでもアクセスできるようになりました。
しかしAccessはインストール型のOfficeソフトで、端末にソフトウェアをインストールしなければ使用できません。そのため時代遅れと感じられやすくなっています。
とはいえオフラインでもデータ管理できるのは強みでもあり、Wi-Fi環境がないような場所でも作業できます。重たいデータの処理が困難
Accessのデータベースは、容量に限りがあるため一定以上の重いデータを処理できないのも難点です。
Accessは一つのデータベースファイルで、2GBを超えるデータは扱えないようになっています。2GB以上のデータを扱うには、新たなデータベースファイルを作成しなくてはならないため、一貫したデータ管理が難しくなります。
そのため大規模なビジネスの顧客データをまとめたり、大量の売上データを日々集計したりと、多くのデータを扱う使用方法には不向きです。
加えて、Accessはビジュアル化やダッシュボード作成といった機能が弱く、大量のデータを可視化して効率的に分析するのに適していません。数値で判断しなければならないため、見落としが起きやすかったり、分析に一定の知識が必要だったりします。
近年では、グラフやヒートマップのようなビジュアル化して分析しやすくなっており、必要な情報を見落としにくいサービスも増えていることから、Accessが時代遅れだといわれやすくなっています。バージョンアップにより問題が発生
Accessはバージョンアップするたびに、問題が発生しがちなのも時代遅れとされる要因です。
Accessは定期的に新しいバージョンがリリースされていますが、バージョンアップするたびに、今まで通り動作するのか・エラーが発生しないか確認する必要があり、時間と手間がかかってしまいます。
またバージョンアップしたAccessが、古いデータベースファイルをうまく読み込めず不具合が起きるなど、互換性の問題からトラブルが発生することもあります。
例えば、昔のデータを参照しようとしたり、他社から送られてきたデータを開いたりするだけで、不具合が発生するかもしれません。企業がデータ管理を行う上で重大な障害となり得るので、時代に合っていないとみなされやすくなっています。専門的な知識が必要
Accessを使いこなすには、プログラミングの知識が必要になるのもハードルの一つです。
Accessは誰でも使用できるソフトウェアですが、データベースの設計やクエリの作成、自動化など複雑な処理を行うには、VBAと呼ばれるOfficeで広く使用できるプログラミング言語の一種が必要となります。
VBAは、習得難易度の低い初心者向け言語ではあるものの、プログラミングを学ぶ必要があるため、パソコンが得意な社員やプログラミングの知識がある人材など、一部の人しか使いこなせない状況に陥りやすくなります。
現在は特別な知識がなくても、誰でも操作しやすいツールが増えているので、使いこなしにくいAccessは時代遅れだといわれがちです。 -
Accessは時代遅れではない
Accessは、先述の通り時代遅れだといわれる要素も多くありますが、まだまだ現役で活躍できるシーンも多くあります。
どのようなツールも適材適所なので、Accessの使用が適している場面・適していない場面を解説します。自社にとって、Accessが必要か否か判断材料にしてください。Accessの使用が適する場面
Accessの使用が適しているのは、一部の業務を自動化したり多くのデータを管理したりするシーンで、営業・一般事務職やデータベースエンジニアの仕事に活用されます。
特に、以下のような条件を満たす場合、Accessの使用が適しているといえます。
● 2GBまでのデータを扱う
● 個人~少人数で使う
● 導入コストを抑えたい
● データをリアルタイムで共有する必要がない
● 業務でスマートフォンを利用しない
● チームにプログラミング知識のある人がいる
Accessはクラウドサービスと違い、データのリアルタイム共有やスマートフォンでの操作などに対応していないため、限られた人員がデータベースの構築や顧客・売上データの集計などを行う場合に使いやすいツールです。
社内の中でも一部しか使わない場合や、リモートワークは行っていないなど、Accessで不便を感じることがなければ問題なく使用できます。Accessの使用が適さない場面
Accessの使用が適さないのは、チーム単位で情報を共有したりリアルタイムでデータを確認したりと、複数人での使用やリモートワークでの使用を前提にしているケースです。
特に、以下のような条件を満たす場合、Accessの使用は適さないといえます。
● 2GB以上のデータを保存したい
● 大人数でデータを入力・確認したい
● 専門知識が不要で誰でも使えるツールが欲しい
● リアルタイムでデータを共有したい
● 社内・社外へスムーズに情報を共有したい
● スマートフォンやタブレットなどマルチデバイスからアクセスしたい
リモートワークのためマルチデバイスからのアクセスが必須な場合や、複数人でデータを共有してリアルタイムに作業できる必要がある場合などは、Accessではなくクラウドサービスの使用がおすすめです。 -
Accessの代替ツールを選ぶポイント
Accessを使用してきたが「クラウド化したい」「誰でも使いやすいものが良い」「リアルタイムで共有したい」など、明確な不満があるなら代替ツールを探しましょう。
代替ツールは、Accessと同じ「データベースソフト」から選びます。
その中でも「クラウド型」「ノーコードツール」「データの可視化」の3つの機能が搭載されているかが、選ぶ上でのポイントです。
● クラウド型:インターネットがつながっていれば、どこからでもアクセスできる。マルチデバイスで使用できるため、リモートワークや出張・営業など外出時でも使いやすい。インストール・更新が不要なことや、サービス提供社がセキュリティ対策を施しているのが一般的なため、データの保護・バックアップが簡単なのもメリット
● ノーコードツール:プログラミング知識がなくても、直感的に操作できる。複雑な作業も簡単に行えるので、パソコンスキルのレベルに関係なく誰でも操作しやすい
● データの可視化:保存されたデータの分析結果を、グラフ・チャートなどで視覚的に表現できる。理解しやすい形に整理して出力されることで、数値では見落としていた傾向や問題点を明らかにしやすくなるのがメリット。データの分析・理解も早くなるので、効果的な意思決定や改善策を素早く実行に移せる
リアルタイムでの情報共有や誰でも使える分かりやすさ、データの確認・分析のしやすさを併せ持ったツールは利便性が高く、いずれもスピーディーな動きが求められる現代のビジネスにおいて必須といえる機能です。
Accessの代替ツールを探す際は、自社の課題を踏まえて、必要な機能を持ったツールを選ぶことが大切です。 -
まとめ
AccessはExcelの進化やクラウドサービスの台頭などにより、時代遅れだといわれるようになってきています。
確かにリアルタイムでのデータ共有やマルチデバイスでのアクセスなど、最近では一般的になっている機能を使えませんが、これらが必要のない場面では今でも十分に活躍しているツールです。
もしAccessから代替ツールへの乗り換えを検討されている場合は「クラウド型」「ノーコードツール」「データの可視化」などのポイントをチェックして、さまざまなツールを比較した上で自社の課題を解決してくれるデータベース管理ツールを導入しましょう。
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