コラム
データレイクとデータウェアハウスとは? メリットやデメリット、違いについて解説
目次
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データの単一システムの統合を実現するために知っておきたいのが、データレイクとデータウェアハウスです。
データレイクとは非構造化データを統合・格納するシステムのことで、データウェアハウスは規則性があるデータを統合・格納するシステムのことです。両者の特長を押さえておくことで、自社に適切な方を選べるため、業務に役立てられます。
本記事ではデータレイクとデータウェアハウスの概要を押さえた上で、メリットやデメリット、違いなどについて見ていきます。それぞれの特徴を抑え、データを適切に管理・活用しましょう。 -
データレイクとデータウェアハウスとは?
データレイクとデータウェアハウスはデータ統合の実現という点で共通しているものの、両者は似て異なるものです。以下、それぞれの特徴を確認していきましょう。
データレイクとは?
データレイク(Data Lake)とはその名称にあるように情報の湖のようなものです。
データレイクはさまざまなソースから収集したデータを一元管理で貯めておく、リポジトリ(貯蔵庫)の役割を果たします。
ここでいうデータにはWebサイトやSNS、電子メール、スマホアプリ、IoTデバイスなどから収集した生のデータなどが該当します。これらは非構造化データか構造化データかに関係なく、データレイクに貯めておくことが可能です。またデータレイクに貯蔵するデータは、形式を統一する必要がありません。
データレイクの構築や活用方法はさまざまです。ビッグデータ分析やリアルタイム分析、機械学習、全文検索などにも利用可能です。特にデータレイクはビッグデータの分析において基盤となることからも、注目を集めています。データレイクの活用例① 教育の現場での柔軟な支援内容を検討
近年、教育業界で高まっているのはビッグデータの重要性です。生徒の成績や欠席数などから取得した生のデータは、意思決定や資金調達にも利用が可能です。また悩みや問題を抱えている生徒には行動履歴や学習履歴などのデータを参考にして、支援内容を検討できるでしょう。
データレイクの活用例② 医療の現場で構造化データと非構造化データ両方を活用
データレイクは医療現場との相性が良いです。医療現場では社内のデータソースに加えて、論文や文献なども管理し、分析を行わなければなりません。業務を効率化するには、構造化データと非構造化データを一元的に扱える、データレイクが役立ちます。
データレイクの活用例③ 車両管理の現場で多様な形式のデータを分析から予測まで実施
前述のようにデータレイクにはデータソースを問わずさまざまな形式のデータを保管できるため、データレイクを使えば業務負担が軽減されるはずです。
例えば車両管理を行う際は、車両から取得できる速度データ、温度データに加えて、車両メンテナンス記録や車内センサーの音声・動画などにもアクセスすることがあります。これらのデータには構造化データや非構造化データが混ざり合っています。
データレイクを活用すれば、統一されていない形式のデータでも分析から予測までスピーディーに行え、車両管理を効率的に実行できます。データウェアハウスとは?
データウェアハウスとは、業務に関連する情報を保管しておくデータベースのことです。
さまざまなシステムからデータの保存を行い、それらを分析するために整理しておく保管庫のようなものです。
データウェアハウスが誕生したことによって、膨大な量のデータから必要な情報を容易に抽出できたり、データを重複させずに保存できたりするようになりました。かつてのように、必要なデータにアクセスするために膨大な時間を費やしたり、業務が長時間ストップしたりすることもなくなりました。
近年では利益を拡大したり、意思決定時に参考にしたりするために、多くの企業が膨大なデータを抱えています。この背景には意思決定が熟練者の直観で行われるのではなく、データに基づいて行われるようになったことにも関係しています。ビジネスが複雑化している時代において、データウェアハウスは重要なツールです。データウェアハウスの活用例① ECサイトのデータ蓄積・分析
近年、国内におけるECサイトの市場は拡大しています。そうした中で、データウェアハウスを活用し、ユーザーの購入履歴や閲覧履歴などを管理・分析する企業もあるでしょう。ユーザーの購買傾向、出品傾向が分析によって明らかになり、さらなる利益拡大に役立てられます。またECサイト内での不正行為を監視し、トラブルの発生を回避することも可能です。
データウェアハウスの活用例② CRMを使った顧客管理
CRMとは顧客情報などを一元管理するシステムです。自社と顧客との関係を良好なものにすることで、顧客満足度やリピート率が高まることを期待できます。CRMには数々の顧客情報が関わってくるため、データウェアハウスの活用が効果的です。保存した過去履歴を参照し、顧客の属性や各属性の好みなどを把握すると、顧客に対してニーズに合った商品を案内しやすくなるでしょう。さらにデータウェアハウスを活用することで、受発注システムの処理速度やコールセンターの対応品質が高まるはずです。
データウェアハウスの活用例③ 航空会社や映画館での空席率の改善
データウェアハウスは航空会社でも利用されており、空席の改善に活用されています。
過去の顧客データの分析をデータウェアハウスで行うことにより、顧客ごとのキャンセル傾向をもとにした空席率改善の検討が可能です。またデータウェアハウスを活用した空席改善は、映画館でも活用されています。空席を出さないことで、企業は利益の損失を回避できるのです。 -
データレイクやデータウェアハウスが重要視されている理由
現代社会ではビジネスにおいて膨大な量を管理し、扱うことの必要性が高まっています。
熟練者の直観で意思決定が行われていた時代もありましたが、ビジネスが複雑化し、競争が激化している昨今では、ビッグデータの分析・活用をどのように行うかが成功のポイントです。
ビッグデータを分析し、うまく活用していくにはデータ分析基盤の構築が重要です。
データ分析基盤におけるデータの蓄積の段階では、データレイクとデータウェアハウスを活用することで業務が円滑に進んだり、利益が拡大しやすくなったりします。 -
データレイクのメリット
データレイクにはどのようなメリットがあるのか確認していきましょう。
データをそのまま格納できる
データレイクは収集したデータを未加工の状態、つまり生の状態で保管できます。加工を行う必要がなく、多種多様な形式や構造のデータを格納できるのもデータレイクならではの特長です。
さらにファクトチェックなどで生のデータを確認する必要がある際には、データをすぐに確認できます。
またデータが後から必要になった際には簡単に取得し、利用できるので便利です。データの一元管理ができる
データレイクはデータの形式や量に関係なく、一元管理できます。部門ごとに違うデータソースをまとめて貯蔵することも可能です。
それぞれを個別に管理する場合と比べて、手間やコストを大幅に削減できます。そのため、コストをかけずに大量のデータを保管・取得したい場合に使われることが一般的です。
またデータを一元管理しているため、各部署から必要なデータについて問い合わせたり、取り寄せたりする必要もありません。データレイクを活用することで、従業員は自分の業務により集中しやすくなるはずです。柔軟に分析をしやすい
データレイクには膨大なデータが格納されているため、さまざまな観点から分析や観測を行えます。複数のデータを分析することで価値を新たに生み出せることもあります。
さらに他のツールとの連携も可能です。BIツールなどと連携し、データを多方面で活用できます。 -
データレイクのデメリット
データスワンプに陥る
データスワンプ(データの沼)とは、どこにどのようなデータがあるか分からず、求めているデータを得られない状態のことです。
データレイクを利用していると、データスワンプに陥ることもあります。データレイクは構造や形式に関係なくデータを格納していくため、必要なデータの特定が困難になってきます。特に保管期間が長いデータは、誰が何のために保管しているデータなのか判断できなくなりがちです。
放置したデータが増え続けると、データの所在や目的が分からなくなり、どこから手を加えていくべきなのか分からなくなります。
大量のデータを放置すると、うまく活用すれば十分な価値がある生のデータも無駄にしてしまう可能性があるので、注意してください。分析に手間がかかる
データレイクには柔軟な分析を行いやすいという特長がある一方、分析には多大なる負担を要するケースも珍しくありません。PDFや画像、動画などさまざまな形式のデータが混在しているだけでなく、重複データなども含まれるため、技術的な知識がない人は扱いに時間がかかります。
データレイクの分析は、ツールの活用により負担が軽減されるケースもあります。特にデータカタログが搭載されたツールの活用がおすすめです。データを蓄積し、更新するときにタイトルや概要などのカタログを付与しておくことで、データ利用時にカタログをヒントにして探し出せます。 -
データウェアハウスのメリット
データウェアハウスにはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここではデータウェアハウスのメリットを確認していきましょう。
時系列順にデータを保管し続けられる
データウェアハウスを使うことで、全データを時系列順に保管できます。過去のデータが消えたり上書きされたりすることもありません。
過去のデータを順番に参照していくことで、自社の状況を適切に把握したり、データを判断材料として有効活用しやすくなったりします。また過去のデータを細かく参照することで、適切な結果を導き出すことも可能です。効率的にデータ収集・分析ができる
データシェアハウスを活用することで、分析に必要なデータを効率的に収集できます。時系列やサブジェクトなど目的に合った方法で確認できるため、データの中身を把握しやすく、分析しやすくなります。さらにデータに基づいた意思決定を迅速に行うことも可能です。
またデータウェアハウスにはさまざまなデータが一つの場所に蓄積されているため、データ分析に必要な情報の取得を即座に行えます。プロジェクトを円滑に進められるようになり、意思決定までの時間短縮にもつなげられるでしょう。 -
データウェアハウスのデメリット
データウェアハウスにもデメリットがあるため、注意が必要です。データウェアハウスのデメリットを確認していきましょう。
定期的な分析にとどまりやすい
データウェアハウスは定型的な分析を効率的に行うのには適しているものの、変則的な分析を苦手とします。さらに柔軟なデータの追加や更新、削除には適していません。
最初から決められたデータだけを取り扱う場合には問題ありませんが、変則的な分析や頻繁なデータの追加や更新、削除には不向きです。使用の目的やデータの内容によっては、別の管理方法を選択した方が好ましいケースもあります。 -
データレイクとデータウェアハウスの違い
ここまで、データレイクとデータウェアハウスについてそれぞれ解説してきましたが、両者の違いがいまいちピンとこない方もいるのではないでしょうか。
そこでデータレイクとデータウェアハウスの違いを、以下の表にまとめました。それぞれの違いを確認してみてください。データレイク データウェアハウス データの形式 生のデータ 構造化されたデータ 格納するデータの使用目的 明確ではない 明確 主な使用者 データサイエンティスト あらゆる部署の社員 データレイクとデータウェアハウスはそれぞれ異なるものです。
両者には上記のようにさまざまな違いがあります。その中でも重要な違いは、加工していない生のデータを蓄積するか、それとも分析や解析のために加工したデータを蓄積するかになります。
両者の特徴を見比べて、自社にとってどちらが適しているのか見極めるようにしましょう。 -
まとめ
ビジネスが多様化・複雑化している昨今、企業がビジネスで成功するにはデータをどのように扱うかが重要です。また膨大なデータを蓄積していても、それらを活用しきれなければ無駄になります。データレイクやデータウェアハウスを活用することで、データを活用しやすくなるだけでなく、業務負担を大きく軽減できます。
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