コラム
ITサービスデスク導入の判断基準
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サービスデスク導入が必要な状況
日常的にこなしている業務の中には、気づかないうちにムダが発生していることがあります。中には無駄な行動が慣習化して改善されないことや、余計な手間をかけているものの、一部の行動には日々の業務に重要な要素が含まれており、止めるに止められなくなっていることもあります。そうした問題を一度整理して、業務の流れをよりスムーズなものにするために使われているのが、IT技術を用いたシステムです。作業データをまとめて保管し、いつでも検索して取り出せるようにする、作業工程の一部を自動化して手間を省くなど、様々なシステムを導入することで、普段の業務を簡略化できます。
近年急速に発展したIT技術のおかげで、システム構築は容易に行なえるようになりましたが、それでも急なトラブルには対応できない方がほとんどです。そうした事態を防ぐと共に、既存のシステムを見直し、問題点があれば改善を促すなどの業務をこなすのが、ITサービスデスクの役割です。
ITサービスデスクは、IT技術を用いたシステムを導入した企業にとって非常に重要な存在です。日々の業務でトラブルが起きたときの対処はもちろんですが、ポイントとなるのはシステムの改善案の提案です。IT技術は常に進歩しており、数年経てば以前の最新技術も陳腐化します。そのため業務システムについても、定期的な更新が必要となりますし、業務中に予想できなかったトラブルが起きたときにも、システムのアップデートが必要になるでしょう。
業務システムを円滑に運用するなら、ITサービスデスクはぜひとも必要なところですが、新しい部署を用意するとなると、なかなか気軽に実行に移すことができません。新たに人材を集めるなど、コストも馬鹿にならないので、他部署のスタッフの中で、IT関連に詳しい方にトラブルが起きるたびに対応してもらう企業も少なくないでしょう。小規模なシステムを短い間運用するなら、それでも何とか対応できるかもしれませんが、ある程度の規模を持つシステムを運用するなら、それ相応の準備はしておいたほうが良いでしょう。 -
適応業務範囲を決めることが重要
新たにITサービスデスクを導入する際、まず考えておきたいのがどこまでの仕事を任せるかという点です。会社のシステム運営に関わることを任せるとなると、範囲を決めずに任せてしまうと、それこそすべてのトラブルの対応に追われることになるでしょう。それではすぐにパンクしてしまうので、対応してもらう範囲を前もって決定して、対応できない範囲については、他部署などの協力も得つつ問題に対応していきましょう。
具体的にどういう仕事を任せるかについては、システムの規模やシステムを運用する人数などによって考えるべきです。たとえばITに詳しい人が部署に1,2人いるなら、単純な操作ミスなどのトラブルなら十分対応できるでしょう。
非常に簡単なトラブルに貴重な人材を回すよりも、もっと専門的なことを任せるほうが人材を効率よく活かすことができます。またシステムの根本的な更新を行なうなど、会社全体が変わるような取り組みについては、他部署も巻き込む形で行なうべきです。ITの知識が無いからと丸投げしては、その後の業務に支障が出るのは間違いありません。
また、対応する範囲を時期によって変動させるという考え方もあります。たとえば新システムを導入した直後は、まだシステムのことを把握しておらず、業務中にトラブルが多発する可能性も高いので、最初のうちは細かいトラブルにも出来るだけ対応しながら、事前に問題が起きそうな箇所には注意喚起を促すなど、トラブル防止に努めてもらいます。
ある程度システムにも慣れ、IT技術に詳しい他部署の人材にも対応を任せられるようになれば、対応範囲を狭めて、より大きな問題や、システムの改善案の提案などの業務に集中してもらいます。
あくまで一例として挙げましたが、企業によってはITに詳しい人材をサービスデスクに集中させて、対応範囲を可能な限り広げるケースもあります。どういう対応範囲が望ましいかは、システムの規模やスタッフの人数など、様々な要素で変化するので、慎重に適切な対応範囲を考えてみましょう。 -
ドキュメント化の徹底を図る
IT技術を用いたシステムを使う企業の中には既存のソフトウェアなどを使って簡単なシステム構築だけを行い、スタッフにシステム管理を兼任してもらう企業もあります。
小規模なシステムならそれでも十分運用できますが、ある程度会社の規模も大きくなり、固有のシステムが必要になれば、専門家によって運用をサポートしてもらう必要が出てきます。さらに、システムの運営を円滑に進めるには、ドキュメント化の徹底も重要なポイントとなってきます。
ドキュメントの作成は、言ってみればシステム運営に必要な資料をまとめることを意味します。大規模なシステムになると、問題なく運用するためには膨大なテストが必要となりますし、システムを実際に使うスタッフのことも考えるとマニュアルも必要です。
これらをまとめてドキュメント化しないと、何か起きたときにシステムに精通した人物がいないと何が起きたのかも分からず、まったく対応できない状況に陥りかねません。ITサービスデスクを導入する判断基準のひとつとしても、ドキュメントの作成は非常に重要です。
ドキュメントを作成できるほどシステムに精通している人材が居るのであれば、ドキュメントを作成してもらうことで、他のスタッフもシステムをより使いこなせるようになるでしょう。
日常業務で使用するシステムを常に円滑に運用するには、サービスデスクなどの人材を活かし、事前の準備を進めていくことが大切です。分かりやすいドキュメントを用意できれば、その後の業務の流れはスムーズになり、トラブルが起きる頻度も少なくなるでしょう。