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クラウドデータ管理とは? 導入するメリットやサービス選定のポイントを解説

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クラウドデータ管理とは? 導入するメリットやサービス選定のポイントを解説
  • クラウドデータ管理とは、自社のデータをクラウド上で保管・運用することを指します。自社内でデータを管理する従来の方法と異なり、クラウドデータ管理を導入すれば、インターネット環境さえあれば、場所を問わずいつでも社内データへのアクセスが可能です。膨大なデータを扱う企業が増えている今、クラウドデータ管理サービスを利用する企業は増えてきています。

    では、クラウドデータ管理を導入すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。本記事では、クラウドデータ管理の概要や注目される背景、導入メリットやサービス選びのポイントなどを分かりやすく解説します。クラウドデータ管理を検討している方やデータ管理に課題を抱えている方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

    この記事で分かること
    ・クラウドデータ管理の概要
    ・主な機能や導入メリット
    ・サービスの選定基準や導入時のポイント

  • クラウドデータ管理とは?

    クラウドデータ管理とは?

    クラウドデータ管理とは、自社が保有しているデータをインターネット経由でクラウド上に管理することを指します。データの保存先は、クラウド事業者が運用するサーバー内です。

    従来は、自社内のサーバーでデータを管理する「オンプレミス型」が主流でした。また各自のパソコンにデータを保存し、必要に応じてメールに添付して送信したり、USBメモリで持ち出したりするケースも一般的でした。しかし、こうした手元でのデータ管理は、現代のワークスタイルに合わない上、セキュリティ面でも不安が残ります。

    そこで注目を集めるようになったのが、クラウドデータ管理です。クラウドの活用によって、オンプレミス型の課題を解消し、データをより安全かつ効率的に活用できるようになります。

  • クラウドデータ管理が注目される背景

    クラウドデータ管理とは?

    では、どうして今クラウドデータ管理が注目されているのでしょうか。注目を集めている背景を見ていきましょう。

    働き方の多様化

    クラウドデータ管理が注目されるようになった背景の一つが、働き方の多様化です。

    近年では、自宅やサテライトオフィス、コワーキングスペースなどで働くリモートワークを導入する企業が増えています。出社を前提としないこれらの働き方によって、従業員は場所を問わず柔軟に働けるようになり、企業にとっても優秀な人材の確保や定着率の向上といったメリットが生まれます。

    しかし従来のオンプレミス型のデータ管理は、社外からのデータへのアクセスが難しく、柔軟な働き方に対応しにくいという課題がありました。そこで、場所を問わずにデータにアクセスできるクラウドデータ管理が、注目を集めるようになったのです。

    扱うデータ容量の増加

    扱うデータ容量が増加していることも、クラウドデータ管理が注目されている理由の一つです。

    AIやIoTなどの新しい技術が急速に普及したことで、企業がビッグデータを保有・活用するのが一般的になってきました。ビッグデータに明確な定義はありませんが、従来のシステムでは処理しきれないほど、大量かつ多様な種類のデータを指します。

    DXの推進により多くの企業でITの導入が進んだことで、IT業界だけではなく、あらゆる業界で保有するデータ量が増加しています。膨大なデータを効率的に管理する方法として、クラウドデータ管理が注目されているのです。

    サイバー攻撃や災害リスクへの対策

    近年、クラウドによるデータ管理が注目されている背景には、サイバー攻撃や自然災害といったリスクへの対策が求められていることがあります。

    サイバー攻撃による情報の破壊や改ざんといった被害は年々深刻化しており、企業にとって万全なセキュリティ対策は欠かせません。クラウドはインターネットを経由するシステムのため、セキュリティ面で不安視されることがあるのも事実です。しかし、大手クラウドサービスでは高度なセキュリティ対策が施されており、安全にデータを管理できます。

    また、BCP(事業継続計画)の観点からもクラウドデータ管理は有効です。BCPとは、自然災害や火災、テロ攻撃などの緊急事態が発生した際に、事業継続や早期復旧を実現するための取り組みを指します。クラウドデータ管理ではデータがオフィスから離れたデータセンターに保存されるので、万が一オフィスに被害があっても、データの消失リスクを抑えられる可能性が高いです。

  • クラウドデータ管理サービスの主な機能

    クラウドデータ管理サービスの主な機能

    ここからは、クラウドデータ管理サービスの主な機能について見ていきましょう。

    ファイル共有

    クラウドデータ管理サービスを利用すれば、ファイルの共有が簡単にできます。

    共有したいデータをクラウドにアップロードするだけで、社内外のメンバーが場所を問わず同じファイルにアクセスできるようになります。インターネットが利用できる環境なら、自宅や出張先、サテライトオフィスなど、どこからでもリアルタイムに情報共有できるのが大きな特徴です。

    従来のようにメールやUSBメモリを使ったファイルの受け渡しの必要がなくなるため、情報共有の手間を削減できるだけではなく、ファイルの紛失・誤送信といったリスクも大幅に軽減できます。

    また、データやファイルごとにアクセス権限を設定することで、特定のユーザーだけに閲覧権限を付与できるので、情報漏えい防止にも効果的です。

    バックアップ

    クラウドデータ管理サービスは、データのバックアップにも活用できます。

    ファイルをクラウドにアップロードするだけで、簡単にバックアップを取ることが可能です。故障や人的ミス、災害、事故などによるデータ損失のリスクを軽減できるため、個人でのデータ管理や自社サーバーでの管理と比べて、より安全にデータを保管できます。バージョン管理機能を搭載しているサービスを選べば、誤って上書きしたデータを元に戻すことも可能です。

    セキュリティ対策

    通信の暗号化、ファイル送受信時のウイルスチェック、ログイン時の多要素認証などの機能を備えたサービスを選ぶことで、セキュリティを強化できます。また前述の通り、アクセス権限の設定によるアクセスコントロールも、セキュリティにおいて重要な要素です。

    加えて、ログ管理機能のあるサービスを選べば、アクセス履歴や操作履歴を記録できます。万が一のトラブルが起きても、迅速な対応を取れるので、被害を最小限に抑えられるでしょう。

    クラウドデータ管理サービスによってセキュリティに関する機能は異なりますが、セキュリティ対策に優れたサービスを選ぶことで、大切な情報を安全に管理することが可能です。

  • クラウドデータ管理を導入するメリット

    クラウドデータ管理を導入すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。3つのメリットを解説します。

    場所を問わずデータにアクセスできる

    クラウドデータ管理を導入すれば、場所を問わずデータにアクセスすることが可能です。

    インターネットに接続可能なデバイスに専用のアプリケーションをダウンロードしておけば、自宅からでも出張先からでも、必要なデータにアクセスできます。情報の共有だけではなく、複数人での同時アクセスや共同作業にも対応しているため、チーム内や拠点間のプロジェクトもスムーズに進行できます。

    人的ミスによるデータ紛失を防げる

    人的ミスによるデータ紛失を防げることも、クラウドデータ管理を導入するメリットの一つです。

    オンプレミス型のデータ管理では、端末の紛失や操作ミスなどの人的ミスにより、データを失ってしまうケースが多いです。クラウドにデータを管理しておけば、万が一端末を紛失しても、データがなくなるリスクを抑えられます。

    また、多くのクラウドデータ管理サービスには、データの復元機能やバージョン管理が搭載されています。もし操作ミスでクラウド上のデータを削除しても、復元できる可能性が高いです。

    自社サーバーの管理コストを削減できる

    クラウドデータ管理を導入すれば、自社サーバーの管理コストも削減できます。

    自社サーバーでデータを管理する場合、機器の購入費に加えて、保守・運用を担う人件費が必要です。さらに、データ量の増加に応じてサーバーを拡張する必要があり、その都度コストがかかってしまいます。

    クラウドデータ管理なら、バックアップやアップデートが自動で行われるため、管理の手間やコストを大幅に抑えることが可能です。また多くのサービスは、データ容量に応じた複数の料金プランを用意しています。容量が不足した場合でも、より大容量のプランに切り替えるだけで対応できるので、拡張の手間もかかりません。

  • クラウドデータ管理サービスの選定基準

    自社に合ったクラウドデータ管理サービスを選ぶには、どのようなポイントを重視すれば良いのでしょうか。クラウドデータ管理サービスの選定基準を4つご紹介します。

    利用できる端末やOS

    クラウドデータ管理サービスを選ぶ際は、利用できる端末やOSをチェックしましょう。

    サービスによって利用できる端末やOSの種類は異なります。自社で使用している端末やOSに対応しているかどうかは、導入前に必ず確認しましょう。

    外回りの際や出張先でも利用する可能性がある場合は、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末に対応したサービスを選ぶのがおすすめです。

    データ容量と料金

    クラウドに保存できるデータ容量やプランごとの料金は、選定時に確認しておきたい重要なポイントです。

    前述した通り、多くのサービスでは容量に応じた複数のプランが用意されています。まずは自社で扱うデータ量を試算し、それに見合った容量のプランを選びましょう。特に画像や動画など、大容量のファイルを多く扱う場合は、より大きなデータ容量が必要になる傾向にあります。同じ容量でもサービスによって料金は異なるので、比較してみると良いでしょう。

    定期的な削除を行っていなければ、クラウド上のデータは日に日に増えていくため、ある程度の余裕を持った容量のプランを選ぶことをおすすめします。ただし、容量が大きくなるほど料金も高くなるので、データ量と予算のバランスを見ながら、最適なプランを選ぶことが大切です。

    サポート体制

    クラウドデータ管理サービスを選ぶ際は、サポート体制もチェックしましょう。

    サポートが充実しているサービスであれば、トラブル時はもちろん、操作や運用に関する疑問にも迅速に対応してもらえます。例えば、24時間対応の窓口があるか、チャット・メール・電話など相談しやすい手段が用意されているか、FAQが整備されているかといった点を確認しましょう。

    トラブル発生時に技術的なサポートを受けられる体制が整っているかも確認しておくと、万一の際に社内にITに精通した担当者がいなくても、すぐに適切な対応が取れます。

    データセンターの所在地

    データセンターの所在地も、クラウドデータ管理サービスを選ぶ際の重要なポイントです。

    データセンターの場所を明示していない事業者もありますが、一部のサービスでは「国内にデータセンターを保有」など、所在地を公開しています。BCP対策としてクラウドデータ管理サービスを導入するなら、所在地が明確なサービスを選んだ方が安心です。必要に応じて、約款などの書類を確認しておきましょう。

    また、データの保護レベルは、クラウド事業者が拠点を置く国の法制度によって左右されます。どの国の法律が適用されるかは、データセンターの所在地ではなく、事業者の本拠地で決まるため、その点も確認しておくと安心です。

  • クラウドデータ管理サービスを導入・運用する際のポイント

    クラウドデータ管理サービスの導入を成功させるには、導入・運用におけるポイントを押さえておくことが大切です。最後に、クラウドデータ管理サービスを導入・運用する際に押さえておくべきポイントを2つご紹介します。

    社内での利用ルールを定める

    クラウドデータ管理サービスを導入する際は、社内での利用ルールをあらかじめ決めておくことが大切です。

    クラウドにアップロードするデータに関して、以下の点を明確にしておきましょう。

    ・フォルダ構成
    ・データの種類ごとの定義
    ・データの種類ごとの格納先
    ・ファイルの命名規則
    ・アクセス権限の設定方法 など

    利用のルールを明確に定め、周知徹底しておくことで、誰でもスムーズにデータを利活用しやすくなります。ルールを策定したら、マニュアルを作成するなどして、誰もがいつでも確認できるようにしておきましょう。社内講習も実施すれば、ITを苦手とする社員も、クラウドデータ管理サービスを利用しやすくなります。

    ただし、複雑すぎるルールを策定するのはNGです。ルールが複雑すぎると業務効率が下がったり、ITリテラシーが高くない社員が対応できなかったりする可能性があります。その結果、せっかく導入しても、思うように活用が進まないかもしれません。

    社員からもヒアリングしながら、誰もが使いやすいルールを策定しましょう。また、利用状況を踏まえて、定期的に利用ルールや運用方法を見直し、改善を図ることも大切です。

    定期的にアクセス権限を見直す

    セキュリティ面を強化した運用を行うには、定期的にアクセス権限を見直すことも大切です。

    アクセス権限を適切に設定し、必要な人や部署のメンバーだけがデータを閲覧・ダウンロードできるようにすることで、情報漏えいのリスクを軽減できます。しかし、一度付与した権限をそのままにしておくと、退職者や業務委託先の関係者がデータへアクセスし続けられる状況になってしまいます。

    組織を構成するメンバーや担当する業務内容は変化するので、データをクラウドにアップロードする際の適切なアクセス権限設定はもちろん、定期的に権限の削除・更新を行うことが大切です。アクセスに有効期限を設けることで、見直しの手間を省くこともできます。

  • まとめ

    自社サーバーで管理していたデータをクラウドに移行すると、多様な働き方への対応が可能になり、データをより柔軟に扱えるようになります。バックアップによるデータ損失リスクの軽減や、サーバー運用にかかるコスト削減といったメリットもあるため、データ管理に課題を抱えている企業は、クラウドデータ管理サービスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

    クラウドサービスにはさまざまな種類があり、それぞれ特徴や機能が異なります。今回ご紹介したポイントを参考に、自社の業務環境やニーズに合ったサービスを選びましょう。

    IT部門や情報システム部門では、データ管理以外にも日々多くの管理業務が発生します。そうした業務の負担を軽減したい企業には、ITサービス管理ツール「SmartStage ServiceDesk」の活用もおすすめです。SmartStage ServiceDeskは、インシデント管理やサービス要求管理、イベント管理など、さまざまな管理業務をサポートするツールです。ITIL®に準拠した管理プロセスを採用し、管理業務を支援する多彩な機能を搭載しています。全機能をお試しいただける「完全版トライアル」もご用意しているので、管理業務に課題を抱えている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。