コラム
ナレッジマネジメントツールとは? 機能や導入メリット、選定ポイントを解説!

目次
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近年、ビジネスにおいてナレッジマネジメントが注目を集めています。ナレッジマネジメントとは従業員が経験や知識、ノウハウなどを社内全体で共有する取り組みのことです。
ナレッジ共有の促進や効率化は、ナレッジマネジメントツールの活用で実現可能です。このツールにはナレッジを効率よく活用するのに使える機能がいくつも搭載されています。
本記事では、ナレッジマネジメントツールの概要を押さえた上で、主な機能、導入メリット、選定ポイントなどを解説します。 -
ナレッジマネジメントツールとは?
ナレッジマネジメントとは社員が培った知識やノウハウを全社で共有する取り組みです。この取り組みを実施することで、チームの生産性向上や革新的な商品・サービスの開発が促され、企業の成長をボトムアップできます。
ナレッジには以下の2種類があります。
● 形式知:数値や文書で明確に表現でき、客観的に共有可能な知識
● 暗黙知:長年の経験や勘に基づくノウハウなど、感覚的な知識
形式知はデータ化しやすい一方、暗黙知は感覚的なためデータ化が困難です。ナレッジマネジメント成功の鍵は暗黙知を効果的にデータ化し、共有することにあります。
そしてナレッジマネジメントを支援するのがナレッジマネジメントツールです。 これらのツールには社員間の知識共有を円滑にする機能が搭載されています。ナレッジマネジメントツールには多くの製品があるため、自社の目標に合ったものを選んでください。ナレッジベースとの違い
ナレッジマネジメントツールとしばしば混同されるものとして、ナレッジベースがあります。
ナレッジベースとは企業にとって利益となる重要なナレッジを蓄積し、検索できるようにしたデータベースのことです。知識や情報を数値や文書などで表現し、従業員間で共有できるものを指します。
一方、ナレッジマネジメントツールとはナレッジベースの構築や運用を含む、ナレッジマネジメントを支援する多様な機能を備えたツールです。このツールを導入することで、生産性の向上、企業の競争力強化、人材育成の労力削減などを実現できるでしょう。 -
ナレッジマネジメントツールに搭載されている機能は?
ナレッジマネジメントツールには従業員が培った知見やノウハウを集約し、社内で共有しやすくする多様な機能が搭載されています。
ナレッジマネジメントツールに搭載されている主な機能として、以下の6つが挙げられます。
● ヘルプデスク(FAQ)機能
● ファイル共有機能
● 情報検索機能
● グループウェア・SNS機能
● データ連携機能
● eラーニング機能
それぞれ確認していきましょう。ヘルプデスク(FAQ)機能
ヘルプデスク(FAQ)機能は、社内でよくある質問とその回答を蓄積・管理する機能です。AIチャットボットを活用して問い合わせ対応を自動化したり、問い合わせやクレームの履歴・状況を一元管理したりできます。
この機能により、従業員は疑問や問題を自己解決しやすくなり、ヘルプデスク担当者や経験豊富な社員の負担を軽減できます。ファイル共有機能
ファイル共有機能は、ファイルをプロジェクト単位、チーム単位で管理・共有できる機能です。共有されたものは自動で管理を行えるため保存作業、入力作業を行わなくても、ナレッジを蓄積できます。
またフォルダ分けやタグ付けといった、ファイルが整理しやすくなる機能が搭載されたツールがおすすめです。ドキュメントや文書にタグを付けることで、必要な情報を迅速に取り出し、業務の効率化を実現できます。情報検索機能
情報検索機能は、ツール内のストレージに保管されている情報から必要な情報を検索できる機能です。社内に散在している大量の情報から必要なデータに短時間でアクセスできます。
また自然言語処理やAIなどを使って高精度な検索、情報の可視化や分析も行えます。
ただし、検索の精度やスピードはツールによって差があるので注意が必要です。グループウェア・SNS機能
グループウェア・SNS機能は、掲示板やチャットなどを活用し、従業員間の情報共有やコミュニケーションを促進する機能です。メッセージのやりとりのみならず、業務に関する情報共有、成功・失敗事例の共有にも役立ちます。
またスマートフォンでメッセージのやりとりや閲覧を行えるツールも多いため、時間や場所を問わず最小限の労力で情報の共有が可能です。従業員間の情報共有やコミュニケーションを促進することで、コミュニケーション不足によるトラブルを防げます。データ連携機能
データ連携機能は、既存のシステム、サーバーと連携し、分散しているデータを統合する機能です。さまざまな場所に散財していたデータやファイルを一括管理できるようになります。
ビジネスチャットやオンラインストレージなどと連携するとさらに利便性が高まるでしょう。eラーニング機能
eラーニング機能は、ツール内に蓄積されたナレッジをeラーニング教材として活用できる機能です。
例えば営業成功率が高い従業員のノウハウを研修教材に利用することで、自社の従業員全体の営業力をアップできます。これにより、社内全体のスキル向上が図られ、企業の利益拡大につながります。
またツールがスマートフォンやタブレットに対応していれば、移動中や次のアポまでの空き時間といった隙間時間に学習が可能です。従業員に過度な負担をかけることなく、効率的にスキルアップを促進できるでしょう。 -
ナレッジマネジメントツールを導入するメリット
企業がナレッジマネジメントツールを導入することで、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。
主なメリットとして、以下の6つが挙げられます。
● 属人化を解消・防止できる
● 業務効率化につながる
● 教育・研修コストを削減できる
● イノベーションが促進される
● 顧客対応の品質が向上する
● 部門間の連携が強化される
それぞれの点について確認していきましょう。属人化を解消・防止できる
ナレッジマネジメントツールを活用することで、従業員全体に業務内容やノウハウを周知することが可能です。これまでは担当者やベテランのみが行っていた業務も、ノウハウをデータ化(形式知化)して社内で共有することで、これまでよりも多くの従業員がその業務をこなせるようになります。
このように属人化を解消することで、一部の従業員にのみ負担が偏ることを防げたり、特定の従業員不在時に対応できない事態を回避できたりします。
さらに属人化を解消することで、企業は有益な知的財産の保管が可能です。企業の財産として優秀な従業員やベテランの従業員のノウハウを蓄積することで、担当者が離職した後も別の従業員に再現してもらいやすくなります。担当者の離職や異動による業務や取引の成功要因となっていたノウハウの喪失を回避できるでしょう。業務効率化につながる
ナレッジマネジメントツールによって、それぞれの従業員が保有しているノウハウを従業員全員で共有することで、社内全体の業務効率化を実現できます。
例えば、機械操作の方法が分からずに時間を浪費した、必要なデータを探すのに膨大な時間を要したといったことがなくなります。また残業時間や休日出勤の削減につながり、従業員の負担を軽減できるだけでなく、各種コストカットにもつながるでしょう。教育・研修コストを削減できる
ナレッジマネジメントによって蓄積された知識やノウハウは、新人教育や従業員研修の教材としても利用できます。蓄積された情報を教材として活用できるため、教育担当者の負担を軽減し、人材育成に要する各種コストを削減することが可能です。
また従業員はナレッジベースを参照することで、疑問を自己解決しやすくなります。メンバーからの質問や相談が減るため、ベテランの従業員やマネージャーが自分の業務に集中しやすくなります。イノベーションが促進される
従業員間でさまざまな知識や情報が共有されることで、新しいアイデアが生まれやすい雰囲気が育まれます。それぞれのアイデアをうまく活用することで、社内におけるイノベーションが促進されるでしょう。
また蓄積されたナレッジの分析を行い、経営戦略や意思決定に役立てることも可能です。きちんと分析を行ったナレッジに基づいた意思決定を行うことで、判断ミスを回避できます。ビジネス環境がますます複雑化・変化している現在では、過去の経験だけに頼るのではなく、事実に基づいたデータを活用した意思決定の重要性が高まっているといえるでしょう。顧客対応の品質が向上する
ナレッジマネジメントでは顧客対応に関する知識をFAQなどの形式で蓄積し、従業員同士で共有できます。顧客からの問い合わせに迅速かつ正確に対応できるようになり、顧客満足度が向上します。
また対応するスタッフによって顧客への説明が異なる事態も回避できるため、顧客が混乱を招く事態も防ぐことが可能です。顧客は担当スタッフが異なっても説明内容が一貫しており、対応に差がないことで安心感を得られるでしょう。部門間の連携が強化される
ナレッジマネジメントを実施することで、従業員の間で互いに連携し、情報を共有し合う文化が育まれます。社員同士の横のつながりが強化されることで、ひいては組織エンゲージメントも向上していくでしょう。従業員が自社に愛着を抱くことで、離職の防止にもつながります。
またナレッジマネジメントは離れている店舗同士の連携の強化にも効果的です。ある店舗や支店でトラブルが発生した場合、全体で共有を行うことで、他店で同様のトラブルが発生したときに適切な対応を行いやすくなります。 -
ナレッジマネジメントツールの活用アイデア
ナレッジマネジメントツールのメリットを最大限生かすためにも、さまざまなシーンにおけるツールの活用方法を知っておきましょう
ここでは、以下の3つのケースを想定したナレッジマネジメントツールの活用アイデア。
IT企業の場合 コールセンターの場合 医療機関の場合
それぞれ確認していきましょう。IT企業の場合
IT企業でナレッジマネジメントツールを活用することで、ノウハウやトラブルシューティングを従業員間で共有したり、ベテランエンジニアの暗黙知を若手エンジニアの育成や自主的な問題解決に役立てたりできるでしょう。
また、IT業界ではプロジェクトの中で失敗やトラブルが発生することは珍しくありません。こうした経験をチーム内だけでなく社内全体で共有することで、同じ失敗の繰り返しを防ぎ、全体としてのサービス品質の向上につながります。特に、IT業界では似たようなプロジェクトが多いため、他社の事例から学ぶ姿勢も重要です。コールセンターの場合
コールセンターにおいては、ナレッジマネジメントツールを活用することで、従業員同士で製品知識や最新情報の共有を行いやすくなります。
企業によっては新製品の発売やサービスのアップデートが頻繁に行われる場合があります。ナレッジマネジメントツールを通してオペレーターに共有することで、全員に迅速かつ容易に最新情報を周知することが可能です。
またコールセンターにおいてナレッジマネジメントツールはサービスの質向上にも役立ちます。優秀なオペレーターの会話術、問い合わせ内容ごとの適切な対応方法、トラブル発生時の対処方法を共有することで、オペレーターが同様の問い合わせに対応する際に参考にできます。コールセンター全体の対応品質を向上させ、サービスの質を均一化できるでしょう。医療機関の場合
医療機関でナレッジマネジメントツールを活用することで、院内ルールや感染対策の周知を容易に行えます。患者対応や記録の仕方に関するルール、感染症対策などを職員間で共有することで、全職員で遵守を目指します。
またインシデントの共有を行うことで、医療事故の発生率を下げることも可能です。職員同士で情報を共有し、トラブル回避に努めることは医療事故防止に有効といえます。
さらにナレッジマネジメントツールは患者対応にも効果的です。治療方針や生活指導、入院に関する標準的な説明資料を共有することで、説明漏れを防ぎます。また職員によって説明内容が異なる事態も回避できるでしょう。 -
ナレッジマネジメントツールの選定ポイント
ナレッジマネジメントツールと一括りにしても、搭載されている機能は製品ごとに異なります。ツールの利点を最大限活かすには、自社に必要な機能が搭載された使いやすい製品を選ぶことが前提です。
ナレッジマネジメントツールの選定ポイントとして、以下の5つが挙げられます。
● 操作性が高いか
● 必要な機能が備わっているか
● サポート体制が整っているか
● 十分なセキュリティ対策がされているか
● 既存ツールとの連携ができるか
それぞれ確認していきましょう。操作性が高いか
ナレッジマネジメントツールは従業員が日常的に利用するものであるため、操作性の高さが重要です。操作方法が分かりにくいと従業員から好まれず、導入したものの使ってもらえないという事態に陥りかねません。基本的な操作はマニュアルを読まずとも、直観的に操作できるツールが理想です。
従業員にナレッジマネジメントツールを積極的に活用してもらうためにも、情報の登録、検索のしやすさ、検索スピードや精度を重視して選んでください。
無料トライアル期間がある製品もあるため、この期間を活用し、操作性をチェックしておきましょう。操作性を確認する際はITリテラシーがあまり高くない従業員の立場になって評価することが大切です。必要な機能が備わっているか
製品によって搭載されている機能の種類や数は異なります。自社の課題や目的に合った機能を備えているか確認して選んでください。
ナレッジマネジメントツールに搭載されていると便利な機能として、主に以下の機能があります。
● グループウェア・SNS機能:掲示板やチャットなど
● コラボレーション機能:コメント、同時編集
● マルチデバイス対応:スマートフォンやタブレットなどで利用可能
● 検索・分類機能:全文検索機能、カテゴリ分類など
● テンプレート機能:日報、操作手順書などで使えるドキュメントテンプレート
なおナレッジマネジメントツールは搭載機能が多ければ多いほど優れているわけではありません。多機能ゆえに使いにくかったり、情報が分散したりすることもあります。サポート体制が整っているか
ナレッジマネジメントツールの中でも、説明書や利用マニュアルが充実した製品であれば、ITや機械に苦手意識が強い人も利用しやすいです。
またナレッジマネジメントツールと一括りにしても、製品によってサポート体制は異なります。ツール導入後に不具合や疑問を相談できる体制の有無だけでなく、問い合わせ方法についても確認しておきましょう。
ナレッジマネジメントツールの中には、ベンダー側でAIチャットボットの初期設定を代行しているサービスもあります。十分なセキュリティ対策がされているか
操作性が高く、機能性が優れていたとしても、十分なセキュリティ対策がされていないツールはおすすめしません。ナレッジマネジメントツールには従業員やクライアントの情報、さらには自社の経営状況や自社の機密情報も蓄積されます。これらの情報は社内で適切に管理を行い、外部に漏れないようにしなければなりません。
SaaSプロバイダーが運用するデータセンターの信頼性を調べるのは難しいので、ISMSクラウドセキュリティ認証など、クラウド関連の第三者認証マークの取得状況を確認してください。既存ツールとの連携ができるか
複数のクラウドサービスを利用している企業の場合、ナレッジマネジメントツールを選ぶ際は既存ツールとの相性を確認する必要があります。
API連携などでシステム同士を有機的に接合できれば業務をさらに効率化できるのでおすすめです。
連携方法を事前に把握し、使い分け方を決めてから導入することをおすすめします。 -
まとめ
ナレッジマネジメントツールを活用することで、従業員間の情報共有がスムーズになり、組織全体の生産性向上や業務の属人化解消を実現できます。社内全体で業務ルールやノウハウを共有することで、知識不足によるミス、担当者間の業務品質のバラつきを防ぐことが可能です。
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