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リポジトリとは? データベースとの違いや種類、使用方法を解説

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リポジトリとは? データベースとの違いや種類、使用方法を解説
  • IT分野におけるリポジトリとは、コードやファイルなどを保存する貯蔵庫のようなものを指します。

    リポジトリは共同作業の効率化やデータの保護のために重要なものです。リポジトリを活用することで業務を円滑に進められます。

    リポジトリには、いくつかの種類があることはあまり知られていない他、データベースと混同されることも少なくありません。

    本記事では、リポジトリの概要や種類、データベースとの違いなどを解説します。

  • リポジトリとは?

    リポジトリとは?

    リポジトリには、貯蔵庫や保管場所といった意味がありますが、IT分野においてはデータやファイルを一元管理する場所を意味します。

    リポジトリの主な役割はデータの保管やバージョン管理(変更履歴の記録、過去バージョンへの復元)、バックアップ、共同作業の効率化、データの保護などです。

    リポジトリを利用することで、データの整合性維持、作業効率の向上、リスク管理といったメリットが得られ、業務効率化を実現できます。

  • リポジトリとデータベースの違い

    リポジトリとデータベースの違い

    前述したように、リポジトリとはデータを保管する場所です。例えばシステム開発のプロジェクトにおいて、リポジトリにプロジェクトの設定ファイルを保存しておくことで、複数の開発者が共同で作業できます。

    一方、データベースとは大量のデータを必要なときに取り出しやすくしたシステムです。データベース、保管データの管理の容易さが特長で、検索や更新、格納などを効率化します。身近な例を挙げると、データベースは以下のような場面で活用されています。

    ● 学校での生徒の成績管理
    ● 図書館での本の管理

    リポジトリとデータベースは、どちらもデータの保管場所であることは共通しています。ただし、リポジトリは変更履歴の管理を得意としており、一方データベースは検索や更新を得意としている点が大きな違いです。

    以下、リポジトリとデータベースの違いについて4つの観点から詳しく見ていきましょう。

    目的の違い

    リポジトリとデータベースにおける目的の違いは以下の通りです。

    ● リポジトリ:データのバージョン管理、保護、共有を主な目的とする
    ● データベース:検索や更新といったデータの効率的な利用を主な目的とする

    管理する対象の違い

    リポジトリとデータベースにおける管理する対象の違いは以下の通りです。

    ● リポジトリ:ソフトウェアの設定ファイルやソースコード、ドキュメント、バイナリファイル・アセットなどを管理する
    ● データベース:構造化されたデータを管理する(図書館、金融機関、POSレジなどで主に活用されている)

    リポジトリとデータベースの関係性

    リポジトリとデータベースは異なるものです。両者は併用することで、それぞれの特長をより引き出せます。

    具体的な活用方法として、リポジトリ内でのデータベースの管理があります。データベースのバックアップ、バージョン管理などで主に活用可能です。

    またリポジトリ内のデータを効率的に利用するため、データベース活用するケースも多々あります。

  • リポジトリの種類と用途

    リポジトリの種類と用途

    ここまでに紹介したようなIT分野以外にも、リポジトリにはいくつかの種類があります。これらを理解しておくことで、より適切に活用できるはずです。

    リポジトリの種類と用途として、以下の3つが挙げられます。

    ● ソフトウェア開発におけるリポジトリ
    ● データ管理におけるリポジトリ
    ● 学術機関におけるリポジトリ(IRDB)

    それぞれ確認していきましょう。

    ソフトウェア開発におけるリポジトリ

    リポジトリはソフトウェア開発においても重要な概念です。コードやファイルを保存する役割を担うリポジトリはプロジェクトの共有、バージョン管理など、ソフトウェア開発における効果的な管理を実現できます。

    なおソフトウェア開発におけるリポジトリはGit、Subversion、Mercurialといったバージョン管理システムにおける話です。複数のメンバーでの共同開発におけるソースコードのバージョン管理、過去バージョンへの復元、変更履歴の追跡などの用途でリポジトリが活用されています。

    ソフトウェア開発におけるリポジトリには以下の2種類があります。

    ● ローカルリポジトリ
    ● リモートリポジトリ

    ローカルリポジトリ

    ローカルリポジトリとは、自分のパソコンや機器内に存在するリポジトリです。個々のパソコンにプロジェクトで使うものをダウンロードした際、それらを保管しておく場所になります。

    ローカルリポジトリで管理できるバージョン、ダウンロードしたデータは端末のストレージ分です。

    なお、ユーザーが各自のパソコン内にローカルリポジトリを持ち、これにファイルの変更を記録していく方式を分散管理方式といいます。

    リモートリポジトリ

    リモートリポジトリとはローカル環境ではなく、ネットワークに接続しているサーバー上などのリポジトリです。専用のサーバー内に存在し、複数人で情報を閲覧できるだけでなく、ローカルリポジトリへとデータをダウンロードすることもできます。

    ソフトウェア開発などにおいて、ローカルリポジトリ内のデータを他の人へ共有したい場合、リモートリポジトリにアップロードするのが一般的です。ローカルリポジトリ内でのデータの変更を、リモートリポジトリに反映させるには同期のための操作が必要です。

    なお、リモートリポジトリを使った管理方法を集中管理方式といいます。専用のリポジトリを使い、ファイルのバージョンを一元管理する方式です。

    データ管理におけるリポジトリ

    データ管理におけるリポジトリは、データの検索性向上や品質管理、ガバナンス強化のためにリポジトリを活用する方法です。つまり、データや情報を整理し、保管しておく倉庫のようなものといえます。

    データ管理におけるリポジトリには以下の2種類があります。

    ● メタデータリポジトリ
    ● コンテンツリポジトリ

    メタデータリポジトリ

    メタデータリポジトリとは、データの意味や形式、所在などデータそのものに関する情報を管理するものです。データウェアハウス、データレイクなどで一般的に利用されます。

    メタデータリポジトリは大量のデータの管理を行う組織にとって、データを効率的に整理したり管理したりする上で重要な役割を果たします。

    組織はメタデータリポジトリを活用して、データに簡単にアクセスし、理解できるようにすることで、データガバナンスとコンプライアンスを向上できます。

    コンテンツリポジトリ

    コンテンツリポジトリとは、ドキュメントや画像、動画などの非構造化データを管理するものです。組織において情報共有などの用途で使用されています。

    コンテンツリポジトリを活用することで、多くのアプリケーションにおいてデータを中断させず、同じコンテンツの操作を行えます。また共同データ管理に優れているのも特長です。変更が発生した際にはシグナルを送信し、リポジトリを使用する他のアプリケーションに変更を通知できます。

    学術機関におけるリポジトリ(IRDB)

    機関リポジトリ(IRDB)とは大学や研究機関などで利用されます。

    国立情報学研究所の定義では、機関リポジトリとは大学とその構成員が創造したデジタル資料の管理、発信を行うために大学がそのコミュニティの構成員に提供する一連のサービスとされています。

    機関リポジトリは学術機関による知的生産物である学術雑誌論文、研究報告、紀要などといった資料を収集しています。その後、メタデータを付与し、電子的に蓄積・保存し、インターネットを通じて無償で学内外に提供を行っています。

    なお、学術機関リポジトリデータベース(IRDB)に登録されている大学や施設は700以上です。研究成果を発信することで社会の発展や教育に広く貢献しています。

  • リポジトリの導入・使用方法

    リポジトリにはいくつかの種類がありますが、ここでは代表してGitを用いたリポジトリの導入・使用方法を確認していきましょう。

    リポジトリの導入・使用方法として、以下の6つの項目が挙げられます。

    ● Gitのダウンロード
    ● Gitの初期設定
    ● リポジトリの作成
    ● リモートリポジトリへのプッシュ
    ● リモートリポジトリのクローン
    ● リモートリポジトリからのプル

    それぞれ確認していきましょう。

    Gitのダウンロード

    MacとWindowsのいずれにおいてもgit for windowsの公式サイト(URL https://git-for-windows.github.io/)でインストーラーのダウンロードを行います。

    Downloadボタンをクリックするとダウンロードが始まります。

    Gitの初期設定

    続いてGitの初期設定を行います。

    ターミナルやコマンドプロンプトといったアプリケーションを立ち上げgit config --global user.name “名前”」というコマンドを実行し、ユーザー名の設定を行います。

    自身が設定を行ったユーザー名が間違いないか確認する際は「git config --global user.name」と入力し、実行しましょう。設定された名前が表示されるはずです。

    次にメールアドレス設定を行います。メールアドレスを設定する際はgit config --global user.email “メールアドレス”と入力して実行してください。なお、メールアドレスに間違いないか確かめる際は「git config --global user.email」と入力して実行することで設定されたメールアドレスが表示されます。ユーザー名とメールアドレスが設定されていれば最低限の初期設定は完了です。

    リポジトリの作成

    続いて、GitHubでのリポジトリの作成方法について説明します。

    まずはGitHubのWebサイトにアクセスし、サインアップを行ってください。アカウント登録ができたら、以下の手順でリポジトリの作成を進めます。

    ①ページの右上隅に表示されている「+」マークを選択後、 [新しいリポジトリ] をクリック
    ②[所有者] ドロップダウンメニューから、リポジトリを所有させたいアカウントを選択する
    ③リポジトリの名前に加えて、説明を任意で入力する
    ④リポジトリの公開設定(パブリック、プライベート)を選択する
    ⑤テンプレート未使用の場合はリポジトリに自動入力できるオプションアイテムが複数ある。 既存のリポジトリをGitHubにインポートする場合はオプションのいずれも選択しない
    ⑥作成を行っている個人アカウント、もしくはOrganizationでGitHub Marketplace の GitHub Appsが使われている場合は、リポジトリで使うアプリを必要に応じて選ぶ
    ⑦[Create repository] (リポジトリの作成) をクリックする

    リモートリポジトリへのプッシュ

    続いて、ローカルリポジトリの変更内容をリモートリポジトリに反映させる操作について説明します。

    初回の操作はやや複雑ですが、2回目以降においてGitHubにアップロードしたい場合は、以下のそれぞれのコマンド(add、commit、push)を実行すれば問題ありません。

    git add:ワーキングツリーからステージングエリアに追加を行うコマンド。コミットの必要がないファイルを除ける
    git commit:ステージエリアに上げているファイルをコミット可能
    git push:ローカルリポジトリの変更をリモートリポジトリに反映できる

    リモートリポジトリのクローン

    他の人によって変更が加えられたファイルに対し、自身の手元でさらに変更を加えたい場合は、リモートリポジトリからファイルをクローンしてくる操作が必要です。クローンとは、文字通りファイルを複製することを指し、自身の手元で作業を行えるようにできます。

    なお、ローカルリポジトリにファイルをクローンした場合、その変更履歴も複製されます。クローン前のリポジトリと同じく、コミットや履歴の参照が可能です。

    リモートリポジトリからのプル

    リモートリポジトリ上でファイルを共有し、複数人で共同開発をする場合、複数のメンバーがリモートリポジトリにプッシュすることになります。自分以外の人がプッシュした変更内容を自分のローカルリポジトリに取り込まなければなりません。

    ここで必要になるのがプル(Pull)という操作です。リモートリポジトリからローカルリポジトリを更新するにはプルを実施します。

    プルの実行後、リモートリポジトリから最新の変更履歴をダウンロードできます。自分のローカルリポジトリに内容を取り込むことが可能です。

  • リポジトリやデータベースについてよくある質問

    ここまでリポジトリとデータベースについて説明してきました。しかし、それぞれについて疑問が残っている人もいるのではないでしょうか。そこでリポジトリやデータベースについてよくある質問を取り上げ、回答します。

    リポジトリやデータベースについてよくある質問として、以下の2つが挙げられます。

    ● リポジトリとフォルダ(ディレクトリ)の違いは?
    ● データベースとサーバーの違いは?

    それぞれ確認していきましょう。

    リポジトリとフォルダ(ディレクトリ)の違いは?

    リポジトリとフォルダ(ディレクトリ)は、いずれもファイルなどの置き場所であることは同じです。しかし、両者は使用目的が異なります。

    リポジトリは、ファイルのバージョン管理や複数人での共同作業の効率化といった用途で使用しますが、フォルダはファイルの整理、管理を目的に使用されます。

    それぞれ使用目的が異なることから、機能は同じではありません。フォルダはファイルの作成や移動、削除、コピーなどの機能を備えています。リポジトリはこれらの機能に加え、バージョン管理、ブランチング、マージ、差分表示といった高度な機能を備えています。

    データベースとサーバーの違いは?

    データベースとサーバーは、多くのファイルなどを管理するシステムという点では同じです。しかし、それぞれ目的や機能に違いがあります。

    まずデータベースとは、データの集まり全般のことを示す言葉です。テクノロジー分野だけではなく、電話帳や住所録、電子カルテ、OPAC(オンライン蔵書目録)なども広義のデータベースの一種といえます。

    ただし、テクノロジー分野においてのデータベースはデータを保存、管理、検索するためのシステム(DBMS)を一般的に指しています。例えばMySQLやOracle Database、PostgreSQLなどが広く知られています。

    一方、サーバーとはクライアント(個々人が保有するパソコンやスマートフォン)の要望に応じて、ファイルなどのリソースを送信するシステムです。Webページを配信するWebサーバー、ファイルを共有・管理するファイルサーバー、メールの送受信を行うメールサーバーといった種類があります。

  • まとめ

    IT分野においてリポジトリとは、ソースコードやファイルを保存する場所を指します。リポジトリはソースコードやファイルを保管するだけでなく、変更履歴を残したり変更を追跡したりすることもできます。リポジトリは共同作業を目的に一般的に使用され、複数人で共同作業を行えるのも特長です。

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